アップルが独自モデムチップを開発中?2021年以降のiPhoneに採用のうわさ
アップルはiPhone XSなどのA12 Bionicプロセッサをはじめ独自チップの開発と採用を拡大していますが、新たにモデムチップの開発に取り組んでいるとの噂が報じられています。

テクノロジー系メディアThe Informationによると、アップルは「モデムチップの技術者」を募集しているとのこと。iPhoneを含むスマートフォンを構成する部品の中でも最も複雑で高価とされるハードウェアまでも、アップルは自社開発を目論んでいる可能性が伝えられています。The Informationによると、1週間前にアップルが「サンディエゴのオフィスで働くモデムチップの技術者」を募集する求人リストを公表していたとのこと。サンディエゴとは、モデムチップの大手メーカーであるクアルコムのお膝元です。

なお今年11月半ばにも、アップルは「ニューラルエンジンとワイヤレスチップを扱うエンジニアを含む10の求人リスト」をサンディエゴにあるチップ設計関連拠点のWebサイトに掲載したと報じられていました。

このときも5Gやミリ波通信といった次世代のネットワークに加えて、LTEやBluetooth技術の経験者を募集していたことから、単なるワイヤレス部品を超えたモデム開発を意味しているとの憶測を呼びました。今回の報により、改めて「モデムチップ」と分野が特定されたわけです。

さらにモデムチップに精通した匿名情報筋によると、これは実際に稼働しているプロジェクトであるとのこと。ただし、iPhoneやその他のアップル製品に搭載されるまでには3年ほどかかる可能性があるとされ、リリースは2021年以降になるようです。

アップルは長年に渡ってクアルコムからモデムチップの供給を受けていましたが、特許およびロイヤリティをめぐる問題がこじれて、現在では「クアルコムが中国でiPhoneの販売差し止めを求める」ほどに険悪な関係となっています。

2018年のiPhone XS/XS MaxやiPhone XRではインテル製のモデムチップが採用されているものの、リリース直後にLTEとWi-Fiの不具合が報告された一件もあり(現在では修正済み)アップルが必ずしも品質に満足していない可能性もあります。

米9to5Macは、アップルが独自モデムチップを開発することには、品質管理を改善できるほか、MacBookシリーズなど他のアップル製品にも組み込みやすいとのメリットを指摘しています。著名なアナリストMing-Chi Kuo氏は2020年〜2021年にかけてアップルの独自設計プロセッサに移行すると予測していましたが、いずれiPhoneやiPad、Apple Watchなど全ての製品で自社開発チップの比率が高められる布石かもしれません。

[img=Reuters]