12月16日、阪神競馬場では2歳馬によるGI朝日杯フューチュリティS(芝1600m)が行なわれる。

 前週に同競馬場で行なわれた、牝馬によるGI阪神ジュベナイルフィリーズ(芝1600m)が「2歳女王決定戦」なのに対し、「2歳牡馬チャンピオン決定戦」と位置づけられるこのレース。しかし実は、牝馬も出走が可能だ。今年は、牡馬相手に重賞勝ちがあり、早くから「2歳牝馬最強」と見られていたグランアレグリア(牝2歳/美浦・藤沢和雄厩舎)が出走予定で、例年とは違う様相でレースを迎えようとしている。


2戦2勝で朝日杯FSを迎えるグランアレグリア

 まずは過去にこのレースに出走した、牝馬の成績を振り返ってみよう。2歳牝馬限定のGIレースが創設されたのは1991年(当時のレース名は阪神3歳牝馬S)からで、それ以前は朝日杯フューチュリティSの前身である朝日杯3歳Sに出走した牝馬も少なくなかった。そのため今回は、「牝馬限定のGIレースを回避し、朝日杯に出走した牝馬」という意味で、1991年からのデータを参照する。

 1991年以降にこのレースに出走した牝馬は6頭。2007年フォーチュンワードが9番人気6着、2013年ベルカントが3番人気10着、グリサージュが12番人気9着、2015年コパノディールが14番人気10着、2016年ミスエルテが1番人気4着、ビーカーリーが18番人気10着と、いずれも馬券圏内に入っていない。

 ベルカントやミスエルテなど、比較的人気を集めた馬が敗れているが、この2頭は1600mの実績が乏しかった。ベルカントは初めての1600mで、ミスエルテは同距離の新馬戦で勝利していたものの、牝馬限定戦で1分37秒2という遅いタイムだった。

 両馬とも牝馬限定のGIIIファンタジーS(京都・芝1400m)を勝利していたが、グランアレグリアは牡牝混合の1600mで2戦2勝。新馬戦の走破時計1分33秒6は、東京・芝1600mの2歳新馬戦としては史上最速タイムだ。また、そのレースで2馬身差をつけて破ったのは、先週のGI阪神ジュベナイルフィリーズを勝ったダノンファンタジーだった。

 その新馬戦から約4カ月ぶりの実戦となった2戦目は、GIIIサウジアラビアロイヤルC(東京・芝1600m)。プラス18kgと成長を感じさせる馬体で臨み、スタートで出遅れて最後方からの競馬となったが、すぐに挽回して2番手までポジションを上げ、直線では後続に3馬身半差をつける圧勝だった。勝ちタイムの1分34秒0は、昨年のダノンプレミアムによる1分33秒0に次ぐレース史上2番目の好時計となっている。

 グランアレグリアの1600mの持ちタイム1分33秒6は、今年の2歳馬の中で、ラヴズオンリーユーが白菊賞(京都)でマークしたタイムと並んで最速。今回、朝日杯FSで人気となるだろう、牡馬アドマイヤマーズの持ちタイムは1分34秒7と1秒以上も遅い。また、同馬の前走GIIデイリー杯2歳S(京都・芝1600m)の勝ちタイムは1分35秒4で、グランアレグリアのサウジアラビアロイヤルCのタイムを1秒4も下回っている。

 タイムが絶対ではないが、アドマイヤマーズを基準に考えると、現時点での今年の2歳牡馬のレベルはそれほど高くないと言える。サウジアラビアロイヤルCで見せたパフォーマンスからも、グランアレグリアを「現2歳馬最強」と見ていいだろう。

 血統的には、グランアレグリアの母タピッツフライはアメリカで走り、2歳時にサンタニアパーク競馬場で行なわれた第2回BCジュヴェナイルフィリーズターフ(芝約1600m)を勝利。5歳時には、ジャストアゲームS(ベルモントパーク・約1600m)を1分32秒34という速いタイムで制するなど、芝約1600mの牝馬限定GIを2勝している。グランアレグリアにはそのスピードがストレートに伝わったようで、母が5歳時に本格化したことから、グランアレグリアもまだまだ強くなる余地を残している。 すでにかなりの能力を見せているだけに、グランアレグリアがさらに力をつけるとなると、1歳上の最強牝馬アーモンドアイクラスの名牝になるかもしれない。そんな期待を抱かせる走りに期待しよう。