2019年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牡馬編:第1弾)

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 いよいよ2018年もあとわずか。例年の傾向からすれば、現時点で2019年のダービー馬はすでにデビューしていて、ある程度の評価を受けていてもおかしくない。実際に昨年は、今年のダービー馬ワグネリアン(牡3歳)がこの時期に高く評価されていて、当ランキングでも断トツのトップだった。

 はたして、今年はどうなのか? パソコン競馬ライターの市丸博司氏はこう語る。

「今年はこれまでのところ、牝馬とは対照的に、牡馬は明らかに不作。飛び抜けた馬がいない状況だと思います。昨年のこの時期は、ワグネリアンやダノンプレミアムを筆頭に、キラ星のごとく逸材が多数いて、群雄割拠の状態だったことを思うと、いささか寂しいですね。

 TF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)的にも、現時点の馬齢重量を加味すると、牝馬の上位3頭が牡馬を上回る、という従来にはなかった状況が生じています。昨年の同時期には、同じく馬齢重量を加味しても、牝馬の最高指数の馬よりも高い指数をマークしていた牡馬が11頭いましたから。その差は歴然です。

 このあと、来春のクラシックが楽しみになるような素質馬がどんどん出てくることを期待したいですが……。どうでしょうか……」

「牡馬は不作」と市丸氏が言うとおり、現に週末のGI朝日杯フューチュリティS(12月16日/阪神・芝1600m)では、牝馬のグランアレグリアが人気の中心と見られている。


名牝シーザリオの子、サートゥルナーリア

 とはいえ、一昨年も「豊作の牝馬に比べて、牡馬は不作」と言われながら、クラシックでは多彩なタレントが躍動。アルアインやペルシアンナイト、レイデオロらが台頭し、さらにその後のGI戦線も、これら現4歳世代が主軸となって盛り上げてきた。

 当然、現2歳牡馬たちも今後、そうした状況を作り出しても不思議ではない。そんなことを夢見ながら、まずは朝日杯FSを前にして、現時点における2歳牡馬たちの『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、来春のクラシックを目指す2歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、サートゥルナーリア(父ロードカナロア)。エピファネイア(父シンボリクリスエス)、リオンディーズ(父キングカメハメハ)など、多くの活躍馬を送り出してきた名繁殖牝馬シーザリオの子だ。ここまで2戦2勝と、評判どおりの結果を残している。

吉田順一記者(デイリー馬三郎)
「新馬戦(6月10日/阪神・芝1600m)では、逃げるのを嫌って強引に下げる形にもっていき、結果的にスムーズさを欠いて、4角では1列ポジションを下げるはめに。それでも、抜群の瞬発力で着差以上の完勝劇を見せました。

 そして、およそ4カ月半ぶりとなった前走のオープン特別・萩S(10月27日/京都・芝1800m)でも、好位の内からあっさり突き抜ける芸当を披露。7頭立てながら、メンバー的には興味深い一戦だと思っていましたが、終わってみれば、当馬の強さばかりが目立つ結果となりました。ムチいらずで、追うところなしの勝ちっぷりは、”世代ナンバー1”の評価を与えられるほどです。

 母のシーザリオは、エピファネイアやリオンディーズらGI馬を出していますが、父がロードカナロアに代わったことで、スピードの絶対値や瞬発力は明らかに高まっています。しかも、ロードカナロア産駒のわりに、気性が安定しているのはプラス要素。間違いなく、クラシックの主役を張れる逸材です」

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「新馬、萩Sともに大楽勝。好位で運ぶことができて、速い上がりも使える。唯一の不安は、同馬がこのあと出走を予定しているGIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)組の、年明け初戦の不振です。2歳馬にはタフな設定となるホープフルSを”走る”→”好走する”となったあと、どうやってクラシックまでもっていくのか。そこは大きな課題になるでしょう」

 2位には、重賞2勝のニシノデイジー(父ハービンジャー)がランクイン。評判馬のそろった前走、GIII東京スポーツ杯2歳S(11月17日/東京・芝1800m)で見事な勝利を飾った。

土屋真光氏(フリーライター)
「ハービンジャー産駒のわりには仕上がりが早く、”現時点で”という意味では、世代ナンバー1の完成度と言えるでしょう。前々走のGIII札幌2歳S(9月1日/札幌・芝1800m)、前走の東スポ杯2歳Sと、ともにインパクトのある勝ち方ではないのですが、逆に、そこにセンスのよさを感じさせます。

 祖母が父セイウンスカイ、母ニシノフラワーというニシノミライ。そうした血統背景は、1980年代後半から1990年代の競馬全盛期を知る往年のファンには、たまらないものがあるのではないでしょうか」

本誌競馬班
「勝っても人気が上がらない地味な存在ですが、札幌2歳S、東スポ杯2歳Sと重賞2勝の実績は世代トップ。それを素直に評価したいです」

 3位は、GIII京都2歳S(11月24日/京都・芝2000m)を勝ったクラージュゲリエ(父キングカメハメハ)。ここまで、常に好メンバーと戦って好走を繰り返している。

市丸氏
「京都2歳Sを勝って、指数ではトップタイです。同レースでは、素質馬ワールドプレミア(牡2歳)を3着に退け、4馬身引き離している点も強調材料となります。

 札幌2歳Sでも、1戦1勝馬の身で3着と健闘。今後の成長次第では、クラシック戦線でも期待できそうです」

 4位には、ブレイキングドーン(父ヴィクトワールピサ)が入った。ここまで2戦1勝、2着1回。京都2歳Sでは、クラージュゲリエと叩き合いを演じて、惜しくも敗れた。

本誌競馬班
「好メンバーがそろった新馬戦を圧勝。京都2歳Sではクラージュゲリエに敗れるも、約5カ月ぶりの実戦だったことも思えば、上々の走りだったのではないでしょうか」

 5位は、3戦3勝のアドマイヤマーズ(父ダイワメジャー)。前走で、GIIデイリー杯2歳S(11月10日/京都・芝1600m)を制している。

吉田氏
「ダイワメジャー産駒らしいスピードとパワーが売り。ただ、デイリー杯2歳Sでは、2着メイショウショウブ(牝2歳)に外から一度かわされて、ヒヤリとする場面もありました。

 一瞬の速い脚はなく、前につけて適度に上がりのかかる流れが向くことは間違いありません。脚長ですが、肩のやや立ったフォルムで、ストライドが伸びるタイプではなく、本質的にはマイル以下に適性がある印象です」 前評判の高さと、それに見合ったレースを披露してきたサートゥルナーリアに票が集まったものの、識者の票が数多くの馬に割れたことを見れば、牡馬戦線はいまだ力関係がはっきりしていないことがよくわかる。そういう意味でも、大勢を左右するであろう、週末の朝日杯FS、年末のホープフルSの行方に注目である。