料亭「花ずみ」の御曹司で、板長を務める旬平(萩原聖人)と20年間連れ添った妻、通子(木村佳乃)、そこへ現れた酒造会社社長で旬平の愛人、矢萩多衣(水野美紀)の3人が、毎回修羅を繰り広げる。深夜枠らしい大人のどろどろドラマである。

多衣が通子に向かって、「ご主人をいただきにまいりました」と宣戦布告してお話は始まった。ここに通子に思いを寄せる建設会社社長の笠井芯太郎(田中哲司)が絡み、いよいよ入り乱れ、四角関係に発展していく。

原作は連城三紀彦「隠れ菊」で、これまで2度テレビドラマ化された。

6000万円で夫を愛人に売却?

通子と旬平は離婚し、旬平は多衣と再婚するが、通子は経営の傾いた「花ずみ」を立て直すため、多衣から6000万円の「融資」を受けて女将に収まる。その下で働く旬平。旬平は6000万円で多衣に売られたのか。離婚は6000万円を手に入れるために、通子と旬平が仕組んだ偽装なのか。ドラマはサスペンスの要素をはらんでいく。

そして、通子、多衣、旬平の3人は「花ずみ」の立て直しに協力し合うのだが、奪われた女、奪った女がモヤモヤを抱えバチバチ火花を散らす。

それにしても、木村佳乃も水野美紀も、男を取り合う女のどす黒い嫉妬、いやらしさがまるで感じられない。さっぱり清潔な印象で、なんだか優等生のクラスの1番争いのケンカのよう。

ナレーションやモノローグはおどろおどろしい言葉が並ぶが、いまいちピンとこなくて空回り。

存在感希薄な萩原聖人・・・女二人が奪い合うほどの男か?

それに、萩原聖人の存在感も希薄で、二人の女に挟まれて、いつも「困ったなあ」という顔をしている。いい年して愛人に走った激情とか、男の純情みたいなのをチラッとでいいから見たいのだ。こんな面白くない男じゃ、女は奪いあったりしないよ。

通子を狙う笠井もついに告白して関係を迫る。今のところ最も気になる存在だ。先代のときから女将代理だった堀口八重(荻野目慶子)は、通子を盛り立てているように見せて、ライバル老舗料亭の板長の愛人でもあった。

いったい、だれがだれを騙しているのか。ドロドロの愛憎劇のはずだが、あまりしんどくなく描き、発泡酒で軽く喉を潤しながら週末の夜に楽しむというのが、いまどきの鑑賞スタイルなのかもしれない。

かたくりこ