ファーウェイCFOがカナダで逮捕。米国からの要請、対イラン制裁に違反した疑い
カナダ政府は12月5日(現地時間)、HUAWEIの最高財務責任者(CFO) の孟晩舟(Wanzhou Meng)氏をバンクーバーで逮捕しました。 米国の対イラン貿易制裁に違反した疑いがもたれています。なお、孟氏はHUAWEIの創業者 任正非(Ren Zhengfei)氏の娘でもあります。

カナダ司法省の広報担当は、カナダメディア The Globe and Mailに対し、逮捕は米国からの要請であると明らかにしていますが、詳細は孟氏側からの要請を受けて裁判所が報道禁止命令を出したため、公開できないとのこと。保釈のための聴聞会は12月7日に開かれる予定です。この件について、HUAWEIは、容疑に関しての情報はほとんどなく、孟氏の過失も認識していないとの声明を発表しています。
詳細は明らかではないものの、孟氏は中国企業 Skycomの役員を務めていた際、米国の対イラン貿易制裁に違反し、HP社製品をイランに輸出しようとしていた疑いがあると報じられていました。この件について、ニューヨーク連邦検察当局が中心になり、捜査が行われていたとのことです。

米国は自国からHUAWEI製品の排除を進める一方で、同盟諸国にもHUAWEI製通信機器の使用を中止するよう呼びかけを行っているとのこと。

これを受けてかは定かではありませんが、オーストラリアでは米国同様にHUAWEI製のネットワーク機器の使用を禁止し、ニュージーランドではHUAWEI製品を使用した5G網の構築計画を却下していました。

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また、英国の秘密情報部(SIS、通称MI6)長官が、英国もHUAWEIの排除を行うべきだと、セントアンドルーズ大での講演で述べたとのことです。

これらの動きに対して、HUAWEIは一貫して、中国政府とは関係のない一般企業であり、米国やEU、国連などの法規制を順守しているとの立場を繰り返し説明しています。

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スマートフォンの世界シェアでは、Samsungに続く第2位のHAUWEI。製品の完成度やアフターサポートなどにより、シェアはついてくると強気の姿勢を見せていましたが、この緊張状態が続くと、さすがに業績への影響も少なくないと考えられます。

また、2018年に大きな話題となったZTEへの制裁も、対イラン制裁違反がきっかけでした。通信機器の排除だけでなく、禁輸措置などさらに踏み込んだ制裁が課されかもしれません。

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今後、何らかの形で中国政府の介入も想定されるため、当面は目が離せない問題となりそうです。