MLBの観客動員は約300万人減少【写真:Getty Images】

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トータルでは7000万人を割り込む

 NPBの観客動員は今季、2555万人と史上最多を記録。対照的にMLBの観客動員は、今季、大きく減少した。

 過去5年間のMLB観客動員数の推移。()は1試合平均動員数。

2014年 7373万9622人(3万346人)
2015年 7376万30人(3万366人)
2016年 7315万9674人(3万132人)
2017年 7267万8797人(2万9908人)
2018年 6967万1272人(2万8660人)

 2016年まで7300万人、平均3万人強で推移してきたが、2017年に3万人を割り込み、今年はトータルで300万人減となり、7000万人を割り込んだ。

 30球団の観客動員の推移をリーグ、地区別に見ていこう。%は前年比の増減

◯ア・リーグ東地区
1142万2876人(2万8204人)-9.0%

レッドソックス
289万5575人(3万5748人)-0.8%

ヤンキース
348万2855人(4万2998人)10.4%

レイズ
115万4973人(1万4259人)-7.9%

ブルージェイズ
232万5281人(2万8707人)-27.4%

オリオールズ
156万4192人(1万9311人)-22.9%

◯ア・リーグ中地区
901万6792人(2万2264人)-12.2%

インディアンス
192万6701人(2万3786人)-5.9%

ツインズ
195万9197人(2万4188人)-4.5%

タイガース
185万6970人(2万2926人)-20.0%

ホワイトソックス
160万8817人(1万9862人)-1.3%

ロイヤルズ
166万5107人(2万557人)-25.0%

◯ア・リーグ西地区
1198万977人(2万9583人)3.8%

アストロズ
298万549人(3万6797人)24.0%

アスレチックス
157万3616人(1万9427人)6.6%

マリナーズ
229万9489人(2万8389人)7.7%

エンゼルス
302万216人(3万7287人)0.0%

レンジャーズ
210万7107人(2万6014人)-16.0%

 ア・リーグの東地区、中地区はともに1割前後の落ち込み。東地区では田中将大がいるヤンキース以外の5球団が動員数を減らした。なかでもブルージェイズは3割近い落ち込み。中地区ではロイヤルズとタイガースの落ち込みが激しい。

 西地区は唯一増加しているが、これは2017年世界一になったアストロズが24%と大幅な伸びを示したことが大きい。大谷翔平が入団したエンゼルスは前年とほぼ変わらず。イチローがいるマリナーズは7.7%の増加。慢性的な不入りが続くアスレチックスは、新球場建設を発表した。

ジーター氏が再建中の前年の158.3万人から81.4万人まで減少

◯ナ・リーグ東地区
1027万9608人(2万5382人)-6.4%

ブレーブス
255万5781人(3万1553人)2.0%

ナショナルズ
252万9604人(3万123人)0.2%

フィリーズ
215万8124人(2万6644人)13.3%

メッツ
222万4995人(2万7469人)-9.6%

マーリンズ
81万1104人(1万0014人)-48.8%

◯ナ・リーグ中地区
1253万0223人(3万939人)-3.9%

ブルワーズ
285万875人(3万5196人)8.5%

カブス
318万1089人(3万8794人)-0.6%

カージナルス
340万3587人(4万2020人)-1.3%

パイレーツ
146万5316人(1万8316人)-23.7%

レッズ
162万9356人(2万116人)-11.3%

◯ナ・リーグ西地区
1444万0796人(3万5568人)1.0%

ドジャース
385万7500人(4万7043人)2.4%

ロッキーズ
301万5880人(3万7233人)2.1%

ダイヤモンドバックス
224万2695人(2万7688人)5.1%

ジャイアンツ
315万6185人(3万8965人)-4.5%

パドレス
216万8536人(2万6772人)1.4%

 ナ・リーグでも東地区、中地区が動員数を減らした。なかでも東地区のマーリンズは、前年の158.3万人から81.4万人とほぼ半減。元ヤンキースのデレク・ジーター氏らが経営陣に加わったが、昨年オフにスタントンやイエリッチ、オズナらチームのスター選手を放出。イチローも昨年限りで退団した。極端な解体モードで集客に苦しんだ。NPBでも100万人以下の観客動員のチームはない。西地区は微増。平野佳寿がいるダイヤモンドバックスは5.1%増と堅調だ。

 両リーグともに西地区は増加傾向だが、東、中地区で観客が減っている。観客動員減の背景には、ファンの高齢化があるとされるが、MLBは強力なマーケティングでビジネスを拡大してきた。今後の動向が注目される。(広尾晃 / Koh Hiroo)