JR品川新駅、なぜ「高輪ゲートウェイ」なのか?

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田町―品川間に建設中の新駅。駅名は公募の結果「高輪ゲートウェイ」に決まった(撮影:尾形文繁)

山手線30番目の駅として、2020年春の暫定開業を目指してJR東日本が田町―品川間に建設中の新駅。その駅名が、12月4日に発表された。

高輪ゲートウェイ」。これが新駅の駅名だ。

JR東日本は6月5日から6月30日にかけて駅名案の募集を行っていた。6万4000件を超える応募が寄せられ、その駅名案は1万3000種類を超えた。

寄せられた案のうち、第1位は「高輪」、第2位は「芝浦」、第3位は「芝浜」という結果だった。JR東日本によると「高輪ゲートウェイ」は36人が応募し、130位だった。

再開発エリアの玄関口として

JR東日本は、駅名の選定理由について以下のように説明している。

この地域は、古来より街道が通じ江戸の玄関口として賑わいをみせた地であり、明治時代には地域をつなぐ鉄道が開通した由緒あるエリアという歴史的背景を持っています。 新しい街は、世界中から先進的な企業と人材が集う国際交流拠点の形成を目指しており、新駅はこの地域の歴史を受け継ぎ、今後も交流拠点としての機能を担うことになります。新しい駅が、過去と未来、日本と世界、そして多くの人々をつなぐ結節点として、街全体の発展に寄与するよう選定しました。

新駅は、JR東日本が開発している13万?の再開発エリアの玄関口となる。また、この再開発エリアは「グローバルゲートウェイ品川」というコンセプトが掲げられ、「世界中から先進的な企業と人材が集い、国際社会に受け入れられる街」を目指している。

つまり、高輪ゲートウェイとは、投票1位の「高輪」と、再開発コンセプトの「ゲートウェイ」の組み合わせというわけだ。


2018年1月の新駅建設現場(撮影:尾形文繁)

新駅のすぐそばには都営地下鉄浅草線の泉岳寺駅がある。新駅と泉岳寺は乗り換えに際しての利便性が保たれるはずで、その意味では新駅に泉岳寺という駅名を付ける選択肢もあったはずだが、再開発エリアのコンセプトを優先した格好となった。かつて泉岳寺駅の駅名をめぐっては、寺側が使用差し止めを求めて提訴したこともあった。

山手線の駅名のうち、カタカナが含まれる駅名は今回が初めて。しかし、昨今はカタカナ混じりの新駅名が見られることもあり、近年の流行に沿ったものともいえる。

隈研吾氏は予想していた?


駅舎の公開時、報道陣の質問に答える隈研吾氏(撮影:尾形文繁)

新駅の駅舎をデザインしたのは建築家の隈研吾氏。駅舎の特徴である白い大屋根は「日本の伝統的な折り紙をモチーフとしました」と、隈氏は説明する。この白い大屋根からは障子越しのような柔らかい光が駅舎内に差し込むという。つまり、和のテイストがふんだんに盛り込まれた駅舎だ。

8月29日の駅舎の報道公開時に、隈氏は「和のテイストを取り入れているが、シンプルでモダンなデザインなので、どんな駅名でも合うと思う」と話していた。カタカナ混じりの駅名になることをある程度は予想していたのかもしれない。

高輪はこの再開発エリアから品川駅前エリアの周辺の地名である。都営浅草線に高輪台、都営三田線・東京メトロ南北線に白金高輪という駅名がある。そこへ山手線高輪ゲートウェイが仲間入りする。

再開発エリアが、JR東日本のもくろみどおり、世界へのゲートウェイになるとしたら、高輪という地名もグローバルになる可能性がある。「グローバルゲートウェイ品川」は、あくまで再開発エリアのコンセプト。駅名の決定を受けて、エリア自体の名前も「高輪」を冠することになるかもしれない。