羽生結弦選手を起用したロッテ社のキャンペーン(※筆者撮影、丸ノ内線新宿駅での広告掲出の模様)

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フィギュアスケートの羽生結弦選手を起用したロッテ社のキャンペーンが、粋な計らいによって羽生選手ファンを喜ばせました。

羽生選手をCMキャラクターに起用したロッテ・ガーナチョコレートでは、26日から販促キャンペーンを展開しています。ガーナチョコレートを使用したホットチョコレートを作り、その写真をSNSにアップすると抽選で羽生選手グッズが当たるというものです。

この販促キャンペーンの告知も兼ねて、ロッテ社は全国の主要駅構内にガーナチョコレートの広告を掲出中。東京では東京メトロ丸ノ内線・新宿駅構内のメトロプロムナード壁面に大判の広告が掲出され、道行く人の目を引いていました。
(※筆者撮影、丸ノ内線新宿駅での広告掲出の模様)
新宿駅、札幌駅前、仙台駅、名古屋駅と各地方の主要な駅で羽生選手の広告が目撃されるなか、近畿地方では何故か阪急電鉄の御影駅という小さな駅で広告が目撃されています。2017年の阪急電鉄調べの駅別乗降人員数では、御影駅の乗降人員は平均16604人で、阪急電鉄全体では50位にランクされているとのこと。名だたる主要駅に比べると、ずいぶんと小さな駅への掲出のように思われます。

しかし、この駅をあえて選んだことが、結果的に告知効果をアップさせることにつながりました。実はこの阪急電鉄御影駅は、羽生選手がたびたび詣でたことから、ファンの間で聖地と化した「弓弦羽神社」の最寄駅。あえて「聖地」を掲出場所に選んだことで、ファンからは「なんて素敵なことを!」「ありがとうございます」「ピンポイントで狙いにきている」などの声が上がり、聖地詣でを兼ねて広告を見に行こうとする動きも生まれたのです。

羽生選手をめぐっては、写真集発売の告知が羽生選手の故郷である仙台市を中心に行なわれ、仙台市営地下鉄全駅の構内に告知ポスターが掲出されるということもありました。この際も、まるでスタンプラリーのように各駅をめぐり、熱心に写真を撮影してはSNSで報告するファンが多数現れています。ただただ大都市の人口が多い場所だけを意識するのではなく、「聖地」や「故郷」といった意味を持たせることで、ファンの行動を引き出し、好意的なクチコミが広がっていったのです。

ファンの行動力を信じて、人の多さではなく意味のある場所に「あえて」広告を出す企業。そうした粋な計らいを察知して、「わざわざ」見に行くファン。両者の信頼関係のようなものが、ただの広告さえも楽しいイベントへと変え、羽生選手が試合に出ていない期間も楽しみに事欠かない好循環を生んでいると言えそうです。

文=フモフモ編集長