森保ジャパンの戦術は「欧州基準」!11月の2試合を徹底分析

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就任してから無敗を継続していた森保監督率いる我らがサムライブルーは今月の16日にベネズエラ、20日にキルギスと対戦し1勝1分けの結果を残して無敗記録をさらに伸ばすことになった。

この2カ国は戦い方やシステムが大きく違っていたので日本はどう挑むのか注目していたところ、相手や状況に応じて戦術を使い分けて戦っていた。

欧州のサッカーシーンでは当たり前になっている多種多様な戦い方を明確に取り入れていた森保ジャパンの攻守の形をまとめてみたので、ぜひ最後まで楽しんでほしい。

対ベネズエラ (攻撃)

ベネズエラが敷く4-1-4-1のブロックに対し、日本は2-4-3-1のような陣形でビルドアップを進めた。

日本の3列目に対してベネズエラは4人がマンツーマン気味に付いて、同数でマークを噛み合わせようとする。ここで登場するのが新10番の中島だ。

ウルグアイ戦でもやっていた形ではあるが、彼は味方の左サイドバックの内側に降りてきてボールをもらい、前進していく形を好む。これによって3列目のラインで5対4の数的優位が生まれてマークもずれるし、もしも降りる中島にベネズエラの右サイドバックが付いていたらそこが空くのでサイドに流れる大迫を使えばいい。

さらに中島は、ボールを持てば易々とロストすることはまずない。付いてきたマーカーを簡単にかわし、日本の攻撃に厚みを加えることができる。

さらにもう一つのアクセントになったのが、相手のアンカーポジションを務めたリンコンの両脇だ。守備時にベネズエラの3列目を一人で担当していた彼の横のスペースは広大で、そこに南野や大迫が降りてくると吉田らが正確なフィードでボールを預ける。柴崎のパスコースを作る動きも見事であった。

リンコンが自力で降りる選手に付いて行ってインターセプトする場面も見られたが、パスが通った回数の方が多かったのではないだろうか。これで一気にベネズエラの選手5人を通り越せるので、日本にとっては有効な攻撃手段となっていた。

また、押し込んだ状態から奪われてカウンターを受けそうになっても中央で守備用のポジショニングを取った遠藤がしっかり回収。リスクマネジメントもできていた。

対ベネズエラ (守備)

ベネズエラの2-4-3-1のシステムに対し、日本はいつも通りの4-4-2の陣形でプレスに行く。大迫と南野がセンターバックをサイドに誘導し、中島と堂安がサイドバックから見て斜め前に立ち、縦パスを酒井と佐々木で潰す。 

相手の最終ラインは2枚なので2トップが同数で奪いに行けるはずだったのだが、ここで立ちはだかるのがリンコンだ。彼は味方のセンターバック間に降り(サリーダ・ラボルピアーナとも呼ばれる)、大迫と南野の判断を遅らせる。

こういったシステム変更に対して素早く修正できないのが日本の現状での課題ではないだろうか。前半の内にしっかりと対策が出来ず、リンコンはフリーの状態で何度かロングボールを蹴っていた。

後半に入ると大迫と南野はお互いの間を閉めてリンコンへのパスコースを防ぎつつセンターバックにプレスに行き、ひとまずリンコン問題は解決したがこれからは前半の内に修正したいところである。

対キルギス (攻撃)

終始5-4-1でディフェンスしていたキルギス。

日本はボランチの守田(三竿)がセンターバック間に降りてきてビルドアップを開始。最終ラインで安全にボールを持てることが最大の強みとなった。 

また、キルギスの2列目は中央によりがちで、大外の室屋と山中はウィングバックが担当することが多く、おびき出されて空いたスペースを使われることも何度かあった。押し込んだ時には伊東と原口がセンターバックとウィングバックの間に位置し、2人まとめてピン留めし、室屋と山中をフリーにさせていた。

さらにはサイドでボールを動かしている隙に守田が中盤に上がり、6対4の数的優位を作り出すこともしばしば。なお、最終ラインでは槙野と三浦が残りカウンターのリスクを軽減する。

それに加えて、キルギスは2列目の意識が前寄りになっており、北川や原口がDF-MF間に一度ってどフリーでボールを受けられていた。

相手チームの欠陥も何か所はあったが、5-4-1に対して有効な攻めを披露していた日本代表であった。

ちなみに筆者は、最終ラインで余裕でボールを持てるので槙野や三浦はもう少し持ち上がって中盤に厚みを持たせても面白かったのでは、と感じた。

対キルギス (守備)

キルギスは攻撃時3-4-3の形を採用し、日本は状況に応じて4-4-2または上図のように少し最終ラインがいびつな形をとるシステムで対応。おそらく、キルギスの選手の能力を見極めて室屋がマンツーマン気味に付くことにしたのかもしれない。

4-4-2で守る時には最終ラインは4対3で1人多いので、下がって受けに行くキルギスのフォワードにも安心して付いていくことが出来る。

また、臨機応変ではあるが相手のウィングバックが上がってきた際にはディフェンダーがスライドし、サイドバックがウィングバックを迎え撃つ。サイドハーフの伊東や原口を下げずに対応することで、キルギスのウィングバックが空けたスペースを彼らを使って突くことが出来るという利点がある。

5バックの弱点はカウンターだとよく言われている通り、2分にはその形で見事な先制弾を沈めた。

まとめると…

上記の通り、現在の森保ジャパンは相手や状況に応じて臨機応変にシステムや戦術を使い分けて戦うことが出来る。

しかし、そんな中でも一貫しているのが2ボランチの縦関係と中島翔哉の降りるビルドアップだ。前者は、ボールをロストした際の保険として有効であり、ベネズエラ戦の前半42分のように素早く奪い返すことが出来る。

後者は日本の攻撃の組み立てにおける切り札と呼んでも過言ではない。困ったときには彼が降りてきてボールを運んでくれる。高いプレス耐性をもつ中島に預けて前進していくシーンはこれからの代表戦でも見られるはずだ。