[ドバイカップU-23]U-21日本代表 1-1 U-23UAE代表/11月20日/ドバイ

 日本に勝点をもたらしたのは、「FWが得点を取る理由はチームを勝たせるため」と言い切るストライカーだった。
 
 U-21日本代表はドバイカップU-23の第3戦でUAEと激突。優勝を勝ち取るために、なんとしても勝利が欲しい状況でラストマッチを迎えていた。しかし、序盤から相手に主導権を握られてしまうと、粘り強い戦いを続けながらも後半開始早々に先取点を献上。このままでは、3位転落を余儀なくされる展開を強いられていた。
 
 そうした苦しい状況で、流れを一変させたのが法政大2年の上田綺世だ。第2戦のクウェート戦では右足、左足、ヘディングと多種多彩な得点パターンでハットトリックを達成していた大学生ストライカーは、後半開始からピッチに立って前線で躍動。鋭い動き出しで相手の背後を突けば、ポストプレーでチームのパスワークを循環させるなど、前線で起点を作ることに成功した。
 
 そして以前から「チームに数字をもたらすのがFWの仕事」と表現する男は、71分に自分の仕事を遂行する。伊藤達哉のパスに杉岡大暉が抜け出した瞬間、素早い動き出しで前線に走り出すとクロスに対してニアサイドで左足を合わせる。

 難しい体勢から放たれたシュートは「自分的には難易度が高いシュート」だったものの、ゴール左上に突き刺さった。「自分に与えられる時間というかチャンスが何分あるかわからないけど、その時間の中で自分ができる最大限を出して、それが結果につながったらなおいいかなと思う」と試合前に語っていた通りの活躍を見せ、チームに同点弾をもたらしたのである。
 
 ただ、惜しむらくは87分にあった決定機を決められなかったことだ。伊藤達哉のクロスに相手の背後から前に入り、うまくヘディングを合わせたがゴール右に外れた。「今日のヘディングなどは決めないといけない。もう一個取れてようやく一人前かなと思う」とは本人の言葉。チームの勝点獲得に貢献はしたものの、勝たせられなかったことに対する悔しさが口をついた。

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 チームが準優勝に終わったなかで、上田は大会MVPと得点王の個人タイトル2冠に輝いた。ただ、素晴らしい結果に笑顔は見せたものの、決してここが終わりではないことを知っている。代表が終われば、再び大学での戦いが待っている。
 
「僕は常に目の前のことに意識するというのをモットーというか、それが大事だと思っている。『次の代表のために大学でプレーする』という風にしていると大学でのプレーが疎かになったりしてしまう。

 先を見過ぎたりするのは、自分の中でよくないのかなと。まずは大きな目標としてプロになること。そして、その先で活躍できる力を大学中につけるのが僕の目標。まずはそこを達成するために大学で自分のポジションを譲らないようにしつつ、大学サッカーで活躍することを意識していきたい」
 
 ひとつの結果に浮かれることなく、何よりもまずは目の前のことに集中する。その上でチームを勝利に導くためにゴールを取り続ける。「最終的にプロを目指すなかで、プロになれた時に絶対にこの経験というのはすごく大きなものになる」と語るストライカーは代表と大学を行き来しつつ、今に向き合いながら成長を続けていく。
 
取材・文●林遼平(スポーツライター)