まるで北欧の雑貨チェーンのような店舗内。中国企業のイメージはそこにはなかった

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 中国の「模倣」ブランドの象徴であり、数年前から話題となっていた雑貨店「メイソウ」が、世界2600店舗のグローバル企業に成長し、今年から日本に本格的に”逆上陸”し始めた!「日本ブランド」を装うナゾの中国企業の社長に数々の謎をぶつけてみた!

◆嘲笑の対象だったアノ中国雑貨チェーンがなんとグローバル企業に成長

 子連れファミリーで賑わう巨大モールの一角。赤い正方形の中に白抜きの文字が配置された、おなじみのロゴを冠した店舗が……と、思いきや、よく見るとユニクロではなく「MINISO」と綴られている。コンビニ2軒分ほどの店内に並んでいるのは衣料品ばかりではなく、モバイルバッテリーやイヤホンといった家電製品から化粧品などの日用品。スタイリッシュな雑貨店といった趣だ。

 実はこの店は、かつてロゴや商品構成がユニクロや無印良品、ダイソーと酷似し、かつ「100%日本品質」を謳っていることで話題となった中国の雑貨チェーン「メイソウ」だ。週刊SPA!が’14年、渦中にあった同社を取材。中国にある本社を訪ね、パクリ疑惑や偽装日本製を日本メディアとして初めて追及した過去がある。

 当時、全商品に記載されていた本社所在地が「渋谷区神社前」という架空の住所だったり、中国での出店より後に突如、東京・池袋に“1号店”ができたりと怪しさ満載だった。いずれも中国市場で「日本品質」を謳うための、イメージ戦略の一環で、特に池袋店の存在はアリバイ的な意味合いが強かった。そして、そんな中国初のパクリ雑貨店はすぐ消え去ると日本人の誰もが思っていた。

 しかし、それから4年、同社は奇跡の成長を遂げ、笑えないほどの規模にまで成長していた! 公式HPによると現在、世界70か国以上、計2600店舗まで拡大。世界に約3500店舗を展開する“本家”ユニクロに迫りそうな勢いだ。ちなみに昨年の売上高は約2000億円に達したという。

 日本でも原宿店やセンター街に面した渋谷店、高田馬場店などをオープンさせ、日本市場に本格的な攻勢を仕掛けるように。今年8月以降、先に記者が訪れたイオンモール幕張新都心に加え、同いわき小名浜、同津田沼など郊外モールを中心に東京以外にも勢力を拡大していたのだ。

 イオンモール幕張新都心店を訪れたときは、平日の昼間だったが店内には10人以上の客がいた。同モールで550坪という広大なスペースに店舗を構えるユニクロと比べても、面積当たりの客数では負けていなかった。

 中国で模倣対策も行う調査会社、アライジェンス・コンサルタンツの太田基寛氏は、メイソウの成功の要因についてこう話す。

「真偽はさておき『日本品質』というイメージをうまく植えつけながら、豊富な商品を低価格で提供していることが成功の最大の要因でしょう。メイソウの商品は物によってはユニクロや無印良品の半額以下で、例えば中国の店舗では靴下は一足10元(約164円)です。中国でこの価格で靴下を買おうと思ったら、これまで卸売市場内の小売店に行くしかなかった。しかもワゴンの中に雑然と投げ入れられた商品の中から自分の趣味やサイズに合うものを根気よく探す必要があった。メイソウは、そんな小売店に格安商品を卸すメーカーと直に契約し、品質を担保してデザインやサイズの種類を揃え、自社ブランドをつけて売り出した。結果、『市場の小売店で買うのはダサいけど、ユニクロや無印は高い』と考える中間所得層の若者を中心に支持を得たのです」

こうして中国での成功を看板に、海外の現地資本と積極的にフランチャイズ契約を結び、世界中に店舗数を増やしていったのだ。

◆謎だらけの日本人デザイナーを追え!

 さて、メイソウといえば未解決の謎がある。同社が日本品質の根拠とする、謎の日本人ブランドデザイナー兼共同創始者・三宅順也氏の存在だ。4年前、週刊SPA!は彼にインタビューを行ったが、当たり障りのない話で濁された経緯がある。メイソウがグローバル企業になった今、改めて成功した日本人として話を聞きたい。そう思った取材班は本人にメールを送りコンタクトを図ったが梨の礫。世界的企業となったことで、多忙を極めているのだろうか。メイソウの広報担当者にも取材を申し込んだが、返答は得られなかった。

 しかし、三宅氏の直近の姿をネット上で発見できた。昨年夏、南アフリカに出店した際、現地メディアによって撮影されたインタビュー動画だ。

「なぜメイソウは南アに進出を決めた?」と尋ねる記者に、「人類が初めて誕生した場所なので行かねばと……へっへっへ(笑)」とはにかみながら答える三宅氏。自身の学生時代に関する質問にも「えーとぉ」「あのーぅ」を連発し、宙を見つめて言葉を探す。あまりの中身のない回答に通訳者が当惑する一幕も。もともと口下手なのかもしれないが、世界を飛び回る共同創業者なら、もう少し話し慣れていてもよさそうなものだが……。

 三宅氏の行方はわからなかったが、一方でもう一人の共同創業者でCEOの葉国富氏には、メール取材を取りつけることに成功した。 そこで葉氏が述べたのは、かつて模倣元とされた無印良品とユニクロに対する、意外な言葉だった。

「弊社創業前、私は日本を含む数十か国で、人々に支持され尊敬されている複数の企業を研究した。対象となった企業のなかには無印良品やユニクロも含まれている。そういった意味で、今の弊社の成功は、両企業に恩を感じるべき部分がある。ただ、メイソウは単なる模倣者ではなく、両企業とは共通点はないと思っている」

 一方、三宅氏に関しては「彼は弊社の主席デザイナー兼共同創業者であり、今でも弊社の海外展開のために活動している」と現在も重要なビジネスパートナーであることを強調。そのうえで、「’22年までに100か国進出と世界1万店舗、売上高145億ドルを達成したい」と目標を述べた。

 そんな世界戦略のもと、同社は「日本品質」というイメージからの脱却も図っている。

「メイソウは最近、広告に韓国人タレントを起用したり北欧のデザイナーを起用しており、『日本品質』よりも『グローバル品質』にイメージ転換を図っているようです。ファーウェイやシャオミなどもそうですが、創業時は海外の一流ブランドの意匠やブランド戦略をパクリながら着実に実力を養い、のし上がっていくというのが今の中国流。日本人以外はパクリブランドだった過去を気にする人はいないでしょう」(前出の太田氏)

 パクリと揶揄されながらも、今や世界に大きく羽ばたいたメイソウ。もはや日本など眼中にない!?

― 中国パクリ雑貨の社長を直撃! ―
取材・文・撮影/奥窪優木 ドラゴンガジェット同窓会