[キリンチャレンジカップ2018]日本 4-0 キルギス/11月20日/豊田スタジアム
 
 4-0。スコアだけを見れば快勝と言えるだろう。だが、相手との実力差を考えれば、諸手を挙げられる勝利ではなかった。特に来年1月のアジアカップのメンバー入りを懸けた争い、そして選手層に厚みを加えるための戦力探しに重きが置かれた一戦だったことを考えれば、残念な結果だったとも捉えられる。
 

 確かにA代表初出場となった山中亮輔は開始2分に豪快な一発を決め、原口元気はGKのミスはあったとはいえ直接FKを突き刺した。ただ、ともにその後に目を見張るプレーがあったかと言われれば、否定せざるを得ず、結局ゲームを決める3点目、4点目を奪ったのは大迫勇也と中島翔哉というレギュラー組だった。
 
 森保一監督は前日会見で公言していたとおり、キルギス戦のスタメンは、11月16日のベネズエラ戦から総入れ替えした。GKに権田修一、4バックは右から室屋成、三浦弦太、槙野智章、山中、ダブルボランチは三竿健斗、守田英正、中盤2列目は右に伊東純也、左に原口元気、2トップはやや下がった位置に北川航也、1トップ気味に杉本健勇という並びになった。
 
 2分に山中、19分に原口のゴールで2点のリードを得た日本は、相手のプレッシャーの緩さも手伝い、その後もボールを保持してハーフコートゲームを続けた。
 
 しかし縦へのボールがなかなか入らず、攻撃のスピードが上がらない。ボランチの三竿は「相手は引いていましたし、縦に入れたかったんですが、そこは相手も狙っていたので焦れずに横に振りながら攻めました。監督も無理して入れる必要はないと言っていました。両サイドから崩そうとの意識は共有できていました」と振り返る。
 
 もっとも両SBの室屋と山中を高い位置に押し上げてサイドからの攻略を図るも、攻撃はどこか単調で、なかなか次の1点を奪えなかった。
 
 一方、59分に大迫勇也、堂安律、柴崎岳を投入すると攻撃にスピードが増し、72分には大迫勇也が3点目を奪う。直後には出場したばかりの南野拓実から堂安につながり、最後はこちらも投入直後だった中島翔哉がネットを揺らし、試合の趨勢を決定づけた。それは皮肉にもレギュラー組の質の高さを改めて際立たせる結果となった。
 
 2度の決定機をモノにできなかった伊東は「チャンスがありながら決められずに悔しいです」と顔を曇らせ、記者陣からゴールを祝福された原口も「ゴールはゴールだったので良かったですが、思い通りに蹴れたわけではないし……」と複雑な表情を浮かべた。
 
 1トップで先発した杉本も「チャンスもあったので、自分自身決めたかったですし、そこは悔しいです」と反省の弁を語る。
 
 キルギス戦で先発したメンバーはどのような想いで戦っていたのか。その複雑な胸中を語ってくれたのは守田だ。
 
「難しいところはありました……、もちろんアピールはしたかったです。ただ、チームが勝たないと意味はないですし、勝つからこそのアピールだとも思います。それにアジアカップへの最後の試合ということで、勝って気持ちよく大会に臨みたいというチームとしての考えもありました。ベネズエラ戦と違った難しさはありました。正直(チーム内の競争に)生き残りたいという気持ちと、チームの一員として戦いたいという気持ちは半々でした。
 
 個人的には今日は90分プレーできたので手応えはありましたが、ラスト10分でミスをしてしまったのでそこは課題です。しっかり反省したいです」
 
 キルギス戦を経て、改めて確かになったのはレギュラー組の能力の高さだ。森保監督はベネズエラ戦後に「チームとして(前線に)もう1セットくらい、もっと選手層の幅とチーム力をアップさせるために、より多くの選手が絡んでこれるようにやっていきたい。私自身の仕事として、そう思っています」と、前線の選手層アップを目指していたが、この日、新たな可能性を見出せたとは言い難かった。
 
 覇権奪還が求められるアジアカップは決勝まで勝ち進んだ場合、約1か月にも及ぶ長期戦となる。そうした大会で求められるのはチーム力だ。今後はレギュラーメンバーに、他の選手たちの付加価値をどう加えていくのか。アジアカップまでの残り1か月半で森保監督がどのようにチームマネジメントしていくのかは注目だ。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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