厳選!2歳馬情報局(2018年版)
第26回:テンペスタージ

 国内の平地GIでは最長距離となるGI天皇賞・春(京都・芝3200m)。この伝統の舞台において、2013年、2014年と連覇を遂げたのが、フェノーメノ(牡/父ステイゴールド)である。

 2011年にデビューした同馬は、翌春にGII青葉賞(東京・芝2400m)を快勝して、GI日本ダービー(東京・芝2400m)へ駒を進めた。同レースでは、直線に入ると、先に抜け出したディープブリランテを猛追。壮絶な叩き合いを繰り広げて、内、外離れた2頭がまったく並んでゴール板を通過していった。

 どちらとも言えない状況だったが、勝利をモノにしたのはディープブリランテ。フェノーメノはわずかハナ差に泣いた。それでも、世代屈指の実力があることを十分に証明した。

 その年の秋には、古馬との対戦となるGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)に参戦。3歳馬ながら1番人気に推され、好位から堂々たるレースを披露したが、内から伸びてきたエイシンフラッシュに半馬身かわされて、またも2着と涙を飲んだ。

 フェノーメノはGI制覇にあと一歩足りない状況が続いたが、古馬になってついに栄冠をつかんだ。2013年の天皇賞・春である。

 圧倒的1番人気のゴールドシップが伸びを欠いて5着に沈むなか、フェノーメノは4コーナーで先頭を捉えると、力強く抜け出して快勝。2着トーセンラーも寄せつけず、悲願のGIタイトルを手にしたのだ。

 その後は長期休養もあって、不本意な成績を重ねたが、5歳の春に再び同じ舞台で輝きを取り戻した。連覇を遂げた2014年の天皇賞・春だ。

 直前のGII日経賞(中山・芝2500m)で完敗を喫したフェノーメノは、前年の覇者ながら4番人気に甘んじた。だが、一団のまま最後の直線を迎えたレースにおいて、馬群を割って鋭く抜け出してきたのは、1番人気のキズナ、2番人気のゴールドシップでもなく、フェノーメノだった。

 その外からは3番人気ウインバリアシオンが競りかけ、さらに外からホッコーブレーヴ、キズナらが強襲を仕掛けるが、最初にトップに立ったフェノーメノがその位置を維持してゴールに粘り込んだ。結果、2着ウインバリアシオンとクビ差の勝負を制して、GI2勝目を挙げた。

 以降、フェノーメノはGI戦で敗戦を繰り返して鳴かず飛ばずに終わってしまったが、春になるとその強さを思い出す人も多いのではないだろうか。

 さて、その兄の背中を追う2歳馬の弟が、まもなくデビュー戦を迎える。美浦トレセン(茨城県)の戸田博文厩舎に所属するテンペスタージ(牡2歳/父オルフェーヴル)である。


兄フェノーメノと同様の活躍が期待されるテンペスタージ

 兄も管理してきた戸田調教師は、その若駒についても、高い能力を感じているようだ。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「テンペスタージは夏前に一度、美浦トレセンに来たのですが、軽い運動をした際に『期待できる逸材だ』と、戸田調教師がすぐに感じたそうです。この兄姉はフェノーメノ以外、あまり活躍していないのですが、戸田調教師は『テンペスタージは他の兄姉とは違う』と見ていますね」

 能力の高さは間違いなさそうだが、一方で不安もあるという。トラックマンが続ける。

「オルフェーヴル産駒にありがちなのですが、走りにかなりムラがあるようです。集中しているときは、走りも、時計も素晴らしいのですが、そうでないときは、追っても反応しないし、ふわふわ走ってしまうんだとか。そういった性格なので、陣営としては『レースで能力を発揮してくれるかどうかがカギ』と話していますね」

 オルフェーヴル産駒は、確かに気難しいタイプが多いようで、その点がレースでどう出るかが、出世できるかどうかのポイントとなりそうだ。 ともあれ、11月18日の2歳新馬(東京・芝1800m)で初陣を飾るテンペスタージ。兄フェノーメノを彷彿とさせる走りを見せてくれるのか、楽しみにしたい。