11月18日に行なわれるGIマイルCS(京都・芝1600m)は、7頭のGIウイナーが集結し、例年以上に好メンバーがそろった。そのうえ、今週から短期免許を取得したライアン・ムーア騎手、ウィリアム・ビュイック騎手ら、海外のトップジョッキーが新たに加わって、上位混戦の、ハイレベルな戦いになることが予想される。

「裏を返せば、絶対的な存在がいなくなり、レースを予想する我々記者にとっては、『(有力馬が多すぎて)印が足りない……』と思ってしまうほどなんですよ」

 そう語るのは、日刊スポーツの太田尚樹記者。「でもその分、当たれば好配当が見込めるということで、馬券を購入するうえでは、かなり面白いレースになりそうです」と、穴馬探しには力が入っている様子だ。

 レースの傾向を見ても、過去10年で1番人気は1勝のみ。3連単はすべて万馬券となっており、穴党垂涎のレースと言える。

 だが、波乱のパターンは定まっておらず、穴を開けた面々もさまざまで、何かしらの特徴があったわけではない。そのため、GIレースの中でもレース予想の難解さはかなり高くなっている。

 そうした状況にあって、太田記者は、ある血統に注目している。

「マイルCSは、ステップレースや年齢などのデータに、あまり偏った傾向がなく、つかみどころのないレースと言えます。そんななかで見逃せないのが、ディープインパクト産駒です。2012年から6年連続で馬券圏内に入っており、勝ち馬も3頭います(2013年のトーセンラー、2014年のダノンシャーク、2016年のミッキーアイル)」

 そして今年は、6頭のディープインパクト産駒が出走を予定している。しかも、人気上位と目されているモズアスコット(牡4歳)、アエロリット(牝4歳)、ペルシアンナイト(牡4歳)は、いずれもディープインパクト産駒ではないため、ディープインパクト産駒が上位に絡んでくれば必然、好配当につながることになる。

 太田記者が続ける。

「オッズも含めて気になるのは、そのディープインパクト産駒のアルアイン(牡4歳)です。ご存知のとおり、昨年の皐月賞馬で中距離を主戦場としてきましたが、今回3歳の1月以来となるマイル戦へ、矛先を向けてきました。


もともとマイラーとしての資質が買われていたアルアイン

 新馬戦の手綱をとったムーア騎手が、『すごいマイラーになる』と”予言”したのは有名なエピソード。以後も、騎乗した騎手のほとんどが、マイル適性を見込んでいたそうです。

 母のドバイマジェスティは、アメリカのGI BCフィリー&メアスプリント(ダート1400m)の勝ち馬。距離短縮に不安はなく、(アルアインが)これまで戦ってきた相手を考えれば、能力上位は明らかで、食指が動きます」

 さらに、太田記者は「より穴馬っぽいところで」と前置きしたうえで、同じくディープインパクト産駒のミッキーグローリー(牡5歳)を推奨する。

「思ったより下馬評が低いんですよね。それだけに、狙い目なのではないでしょうか。前走のGIII京成杯オータムハンデ(9月9日/中山・芝1600m)では、重賞初挑戦初勝利を飾り、最近5戦4勝と充実一途ですしね。

 しかも、その前走では次戦で重賞勝ちを収めている3着ロジクライ(牡5歳)、4着ロードクエスト(牡5歳)を一蹴。それら強敵を、外からねじ伏せる強い勝ちっぷりで難なく退けています。

 超のつく大型馬なので、脚もとへの負担を考えて、これまで中間に放牧を挟みながら大事に使われてきました。今回の、前走から2カ月という間隔も、むしろちょうどいいでしょう。GI初挑戦でも、いきなりやれていいと思います」

 奇しくも、太田記者と同じディープインパクト産駒を推すのは、中日スポーツの大野英樹記者。最初に名前を挙げたのは、この春にマイル女王となったジュールポレール(牝5歳)だ。

「前走のGII府中牝馬S(10月13日/東京・1800m)は4着でしたが、自分から前をとらえに行く形で悪くない内容でした。もともとマイルCSを目標に調整されてきただけに、結果は度外視していいでしょう。

 春もGII阪神牝馬S(5着。4月7日/阪神・芝1600m)を叩いてからの、GIヴィクトリアマイル(5月13日/東京・芝1600m)を制覇。叩き良化型であることは明らかです。

 しかも、この馬は今回と同じ斤量55kgを背負ったときは、1着、3着、1着、1着と好結果を残していて、大きなプラス材料。半兄サダムパテック(2012年優勝馬)に続く、戴冠の可能性は大いにあると思います」

 牝馬によるこのレースの勝利は、2008年のブルーメンブラット以来途絶えているが、同馬も府中牝馬Sからの転戦だった。また、今年の府中牝馬Sからは、2着リスグラシューが先週のGIエリザベス女王杯を制覇。5着クロコスミアが同レースの2着となっている。4着ジュールポレールもその勢いに続いて、ここで激走を果たしてもおかしくない。

 大野記者ももう1頭、ディープインパクト産駒の3歳馬に目を向ける。

「昨年は、17年ぶりに3歳馬のペルシアンナイトが勝利しましたが、その流れが今年も引き継がれるかもしれません。その意味で注目するのは、ケイアイノーテック(牡3歳)です。

 前走のGII毎日王冠(10月7日/東京・芝1800m)は、明らかに仕上げ途上で、追い切りの動きにも重苦しさが残っていました。それでいて、5着と大崩れしなかったのは、夏を無事に越すことができた証拠でしょう。

 もともと目標は、一度叩いてからのこの舞台。現に追い切りでは力強さが増しており、今度はいい意味で気合いも乗ってくるはずです。一発あっても不思議ではありません」 今やどんなレースにおいても人気を集めるディープ産駒だが、秋の”マイル王決定戦”では波乱の立役者となるのか。難解なレースにおける「困ったときのディープ産駒」という馬券検討の鉄則(?)を踏まえても、その公算がかなり高い。