三鷹の森ジブリ美術館の「映画を塗る仕事」展、スタジオジブリ作品の“彩色”の秘密に迫る

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三鷹の森ジブリ美術館では、新企画展示「映画を塗る仕事」展を2018年11月17日(土)から2019年11月(予定) まで開催する。入場は日時指定の完全予約制。「食べるを描く。」に続く新企画展示は、スタジオジブリ作品の“彩色”にスポットライトを当てた企画展だ。

スタジオジブリ作品における“彩色”の秘密に迫る企画展

「映画を塗る仕事」展は、故・高畑勲と宮崎駿が目指した豊かな画面づくりを“彩色”の面から紐解く展覧会。どのような工夫を用いたのか、また、アニメーションにおいて“色”とは何なのかを、展示パネル37枚、セル画196点を用いて紹介する。

人気作品の"セル画"を実例に紹介

展示内容は、『となりのトトロ』『もののけ姫』『紅の豚』など、スタジオジブリの人気作品を実例にあげながら、テーマごとに分けたパネルを使って解説するというもの。『もののけ姫』の制作まで採用されていた、実際の"セル画"を用いながら、両監督を支えた色彩設計の故・保田道世らスタッフたちの手腕を紹介していく。

時刻や天候によって変わる色

たとえば展示パネル「時刻によって変わる色」では、『となりのトトロ』のネコバスを例にとり、黄昏時、夕方、街灯に明かりが灯る夜と、時刻によってキャラクターを繊細に塗り分ける手法を解説。特にネコバスが街灯に照らされた図からは、透明感を出すために、画面全体を暗くするのではなく、茶系のグリーンを使って影を表現するというスタジオジブリのこだわりが見て取れる。

「天候によって変わる色」パネルでは、『魔女の宅急便』のキキの塗り分け方を紹介。

このように、時刻や天候、モノの質感など、現実を写し取ったかのようにリアルな表現を生み出すため、きめ細やかな彩色が重要な役割を果たしていることがよく分かる。

リアリティのある「光」や「水」

「光」や「水」の表現は、両監督が特にこだわった表現の1つ。展示パネル「光を塗る・5」では、登場人物たちが漆黒の闇の中で飛行石が放つ青い光に照らされている『天空の城ラピュタ』のセル画を紹介。纏っている洋服の色味を消し、青い光に染めることで、光を表現している。

展示パネル『水中と空中の色を塗る』では、『もののけ姫』『紅の豚』のセル画を用いて、揺らいだ映り込みを水面に描くことで、リアリティのある水の動きを表現するテクニックを紹介する。

彩色の着想源となった絵本

これらのテクニックの着想源となった、イワン・ヤコヴレーヴィッチ・ビリービンの絵本を紹介している点も面白い。高畑・宮崎両監督が、『長くつ下のピッピ』の制作準備中に出会い、感銘を受けたロシア絵本の挿絵が、その後のアニメーション制作において大きな影響を与えているのだ。

ショートムービーや絵の具の展示も

展示物はパネルやセル画のみならず、キャラクターの色を決め、セルを完成させるまでを解説したショートムービーや、実際に使用されたセル絵具580色の瓶なども用意。今でこそ、デジタルによる着彩やCGによる画面作りが主流ではあるが、その手段がなくとも、セル絵の具による限られた色数の中で、監督からの要求に最大限に答える努力を惜しまなかった、スタッフの知恵と工夫を間近に感じることができる。

多数の人気作を紹介

展示に使用されたスタジオジブリ作品は、前述のほかにも『魔女の宅急便』『耳を澄ませば』『崖の上のポニョ』など14作品以上。『風の谷のナウシカ』の頃には263色だった使用色が、デジタルによる着彩により無限の色遣いとなった『千と千尋の神隠し』や『ハウルの動く城』のきめ細やかな塗り分けにも注目したい。

開催概要

「映画を塗る仕事」展
開催期間:2018年11月17日(土)〜2019年11月(予定)
場所:三鷹の森ジブリ美術館
住所:東京都三鷹市下連雀1-1-83
※入場は日時指定の完全予約制。
■チケット情報
毎月10日午前10時から翌月入場分のチケットを販売。
発売場所:全国のローソン
公式URL:http://www.ghibli-museum.jp/

【問い合わせ先】
TEL:0570-055777
(ご案内ダイヤル/9:00〜18:00/休館日の火曜日をのぞく)
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