ベネズエラ戦の前日公式記者会見の最中、メディア関係者のものと思われる携帯の着信音が鳴った。すぐには鳴り止まず、会見は中断された形になり、緊張感が高まる。すると壇上の森保監督はにっこりして「どうぞ」と電話の持ち主らしき人物に一言。続けて「えー、ちょっと質問が(頭から)飛びそうになってますが」と言うと、会見場を一気に和やかなムードにした。

穏やかな雰囲気ではあるものの、森保監督は戦術的な質問に対しても真摯に答えるなど、正直な回答が期待できる。今回も、これまで4バックを採用しているが、広島時代に多用した3バックは試さないのかという質問には正面から説明していた。

「私の中で3バック、4バックというところの戦い方の違いは捉えていない。選手たちも試合中にビルドアップのときや、状況に応じて3バックは自然とやってくれている。なので選手たちが状況を見て、そういう形(3バック)になればやっていく」

もっとも、すべてを選手の判断でやっているかといえばそうではない。メディアに公開されているトレーニングでは、自然に3バックを形成し、サイドを使いながらすばやくボールを動かしていくボールキープゲームや変型コートでの紅白戦が9月以来続いている。ほぼ同じことを繰り返しながら戦術を選手に浸透させているため、選手が動きを理解しているのだ。

10月に監督が説明した3バックの特徴は、「3バックだと、サイドの幅(68メートル)の使い方が、攻撃において高い位置でできる。守備においては68メートルを守るときに、横の揺さぶりに対してより相手との間合いを詰めながらサイドに起点を作らせない」だった。

この日の会見で監督は、ベネズエラ戦はウルグアイ戦をベースにメンバー選考すると語った。ということは4バックでのスタートになるのだろうが、3バックへの自然な変化も見ることができるだろう。

【森雅史/日本蹴球合同会社】