レクサス×バーミキュラ 0.01mmにこだわりが共鳴した世界品質の「匠(たくみ」」
LEXUS(レクサス)とVERMICULAR(バーミキュラ)。
高級車と鋳物ホーロー鍋、この2つの人気ブランドのコラボから見える両者の共鳴とはなにか?
このコラボレーションは、東京ミッドタウン日比谷に今年3月29日にオープンした高級車ブランドLEXUS(レクサス)の世界感を体験できる施設「LEXUS MEETS...」にて、9月19日から10月16日まで開催された。
今回のイベントは、日本ならではのものづくりにこだわる2社の共鳴によって実現したものであり、果たしてなにが2社を惹きつけたのだろうか。
カフェの装飾はレクサスのスピンドルグリルをイメージ
会期中はコンセプトカフェ「THE SPINDLE」にて、バーミキュラの無水調理メニューから「無水ポトフカレー」と「ローストビーフ丼」を数量限定で提供した。
10月6日には、トークショー「LEXUS meets VERMICULAR 〜CraftからExperienceへ、Made in Japanの挑戦〜」を開催。
スピーカー
・バーミキュラを生んだ老舗鋳造メーカー 愛知ドビー
代表取締役社長の土方邦裕氏
代表取締役副社長の土方智晴氏
・レクサス・インターナショナル
マーケティング部 ゼネラルマネージャーの沖野和雄氏
愛知ドビー社は、
レクサスブランドを持つトヨタ自動車同様に会社創業時は織機製作メーカーであった。
しかし繊維産業の衰退により業績が悪化。世界最高のドビー機と誇っていた最盛期には約60人いた従業員も、社長の土方邦裕氏が入社した2001年には15人にまで減少していたと言う。
社長の土方邦裕氏は鋳造の職人として会社を建て直そうとする。
そして、自身の鋳造の技術を、副社長の土方智晴氏が精密加工の工程を担当し、新たなチャレンジをはじめる
愛知ドビー 代表取締役副社長 土方智晴氏
バーミキュラの開発には、試行錯誤があり3年半を費やしたという。
それでも開発を続けたのは
「もう一度、自分たちで町工場から世界最高と思えるものを世に出したい」
という想いがあったと副社長の土方智晴氏は語る。
副社長の土方智晴氏によると、新たにチャレンジをはじめた鋳物ホーロー鍋の開発の経緯について従来の調理鍋は、
・シェフが使いやすい
・ハードユースに耐える
といった要件を前提として作られている。
しかしながら、こうした調理鍋は果たして食材をおいしくするために考えられているのか?
という発想からであったという。
バーミキュラは、
熱源の熱をどういう手順で食材に伝えるのか?
これを考えぬいた。
例えば、
鍋の底にあるリブは、食材を浮かして熱源から出た熱が直に食材に伝わらないようにしてある。また無水調理をする際に、食材の下にも蒸気対流が発生して均一に火が入るよう設計されている。
そして職人の手によって0.01mmという極限まで高められたフタと本体の密閉性で、食材から出た蒸気をまた食材に返す。
こうして素材の味を凝縮し、美味しい無水調理を実現する。
美味しい料理がつくれると人に振る舞いたくなる、人との関係を変えていく調理器がバーミキュラの目指すところ
副社長の土方智晴氏は、
「バーミキュラのブランドスローガンは『手料理と、生きよう。』であり、バーミキュラを使うことで、料理が好きになり、生活が変わり、そして人と人との関係も変わっていくことを追求している」と説明する。
レクサス・インターナショナル マーケティング部 ゼネラルマネージャーの沖野和雄氏
レクサス・インターナショナルの沖野和雄氏は、
レクサスとバーミキュラの共通性について
「レクサスもお客様の体験を最高のものにしたい、という想いで、ものづくりやデザインをしている」と話す。
レクサスの「LC」のインテリアは、
運転席では
・運転に集中できる
・運転が楽しくなる
また助手席では、
・快適性を重視
というデザインを施していると例を挙げた。
エクステリアには、
刻一刻と変わる季節の移ろいを感じられるような塗装が施されている。
これは、障子や灯籠など、光の当たり方で見え方が変わるという日本文化の特徴を取り入れており、日本人の感性を世界に広げるというという意図があるのだという。
海外の高級車と違うものを提供するデザインを心がけているそう。
さらに最終の品質確認には、職人が表面の傷の確認を行うという。
なんと各部署には「匠(たくみ)」と呼ばれる職人がおり、機械では検出できない部品の段差を人の手で見極めている。
これがレクサスのものづくりなのである。
レクサス・インターナショナルの沖野和雄氏は、
「我々の考えるものづくりは、
その製品を使ったときにお客様がどう感じるのか、
どういった気持ちになれるのか
これらをよく考えて、デザインや製法を考えている」と話す。
そして
「バーミキュラと、ものづくりの根っこは一緒だなと思っています」と語る。
愛知ドビー社 副社長の土方智晴氏も、
コンピューター化できる部分や自動化できる部分はロボット化しているが。
「最高の製品を作ろうと思うと、最後は職人の経験と勘が必要であり、それはレクサスさんも同じ考え方で嬉しかった」と話す。
愛知ドビー社 代表取締役社長 土方邦裕氏
レクサス「LS」のオーナーでもある愛知ドビー社 社長の土方邦裕氏は、
ドアを閉めたときの音は輸入車を超えており、さらにエクステリアは隙間がなくすべての曲線が一体になっている、そしてインテリアも走りを楽しませてくれるものであり、今まで乗ったなかでLSがもっとも気に入っているという。
レクサス・インターナショナルの沖野和雄氏は
レクサスの前ドアと後ろドアのサイドウインドウをフラットにする作業について、
「ドアのちょうつがいの部分が0.01mmズレると、ドアの先端では3mmほどズレてしまう。
大量生産ではひとつひとつ寸法が異なるため、その寸法に合うちょうつがいをいくつか用意して、最終的に段差がなくなるよう一生懸命やっている」
と、こだわりについて説明した。
無水調理だけではなくパンの発酵など低温調理の温度管理をも実現した「バーミキュラ ライスポット」
愛知ドビー社 副社長の土方智晴氏は、
「ものづくりをしている我々からすると(レクサスのこだわりは)本当に凄いことで、我々もフタと本体の密閉性が0.01mmということが一番の売りなんですけど、これは2つの部品を組み合わせているだけなんです」と話す。
そして愛知ドビー社 副社長の土方智晴氏は、レクサスの沖野氏のこだわりについて我々にわかりやすく解説してくれた。
「自動車は3万点の部品を組み合わせたものであると言われるんですけど、一個の部品が違っていたらそこは出ないんです。
フラットというのは0(ゼロ)なんです。
1mmの段差のあるものが1.01mmになることは誰も気づかないんですが、
フラットなものが0.1mm違うと気づくんです。
フラットを目指す技術というのは、同じものづくりをするものとして、非常に素晴らしい技術だなと思います」
レクサスとバーミキュラのコラボイベントから見えたことは、
職人の手によるものづくりにこだわり、使う人の生活や価値観を変えていきたいという世界感で、それがたぐいまれな利用者の満足度を生み出してきたということなのかもしれない。
執筆 mi2_303
高級車と鋳物ホーロー鍋、この2つの人気ブランドのコラボから見える両者の共鳴とはなにか?
このコラボレーションは、東京ミッドタウン日比谷に今年3月29日にオープンした高級車ブランドLEXUS(レクサス)の世界感を体験できる施設「LEXUS MEETS...」にて、9月19日から10月16日まで開催された。
今回のイベントは、日本ならではのものづくりにこだわる2社の共鳴によって実現したものであり、果たしてなにが2社を惹きつけたのだろうか。
カフェの装飾はレクサスのスピンドルグリルをイメージ
会期中はコンセプトカフェ「THE SPINDLE」にて、バーミキュラの無水調理メニューから「無水ポトフカレー」と「ローストビーフ丼」を数量限定で提供した。
10月6日には、トークショー「LEXUS meets VERMICULAR 〜CraftからExperienceへ、Made in Japanの挑戦〜」を開催。
スピーカー
・バーミキュラを生んだ老舗鋳造メーカー 愛知ドビー
代表取締役社長の土方邦裕氏
代表取締役副社長の土方智晴氏
・レクサス・インターナショナル
マーケティング部 ゼネラルマネージャーの沖野和雄氏
愛知ドビー社は、
レクサスブランドを持つトヨタ自動車同様に会社創業時は織機製作メーカーであった。
しかし繊維産業の衰退により業績が悪化。世界最高のドビー機と誇っていた最盛期には約60人いた従業員も、社長の土方邦裕氏が入社した2001年には15人にまで減少していたと言う。
社長の土方邦裕氏は鋳造の職人として会社を建て直そうとする。
そして、自身の鋳造の技術を、副社長の土方智晴氏が精密加工の工程を担当し、新たなチャレンジをはじめる
愛知ドビー 代表取締役副社長 土方智晴氏
バーミキュラの開発には、試行錯誤があり3年半を費やしたという。
それでも開発を続けたのは
「もう一度、自分たちで町工場から世界最高と思えるものを世に出したい」
という想いがあったと副社長の土方智晴氏は語る。
副社長の土方智晴氏によると、新たにチャレンジをはじめた鋳物ホーロー鍋の開発の経緯について従来の調理鍋は、
・シェフが使いやすい
・ハードユースに耐える
といった要件を前提として作られている。
しかしながら、こうした調理鍋は果たして食材をおいしくするために考えられているのか?
という発想からであったという。
バーミキュラは、
熱源の熱をどういう手順で食材に伝えるのか?
これを考えぬいた。
例えば、
鍋の底にあるリブは、食材を浮かして熱源から出た熱が直に食材に伝わらないようにしてある。また無水調理をする際に、食材の下にも蒸気対流が発生して均一に火が入るよう設計されている。
そして職人の手によって0.01mmという極限まで高められたフタと本体の密閉性で、食材から出た蒸気をまた食材に返す。
こうして素材の味を凝縮し、美味しい無水調理を実現する。
副社長の土方智晴氏は、
「バーミキュラのブランドスローガンは『手料理と、生きよう。』であり、バーミキュラを使うことで、料理が好きになり、生活が変わり、そして人と人との関係も変わっていくことを追求している」と説明する。
レクサス・インターナショナル マーケティング部 ゼネラルマネージャーの沖野和雄氏
レクサス・インターナショナルの沖野和雄氏は、
レクサスとバーミキュラの共通性について
「レクサスもお客様の体験を最高のものにしたい、という想いで、ものづくりやデザインをしている」と話す。
レクサスの「LC」のインテリアは、
運転席では
・運転に集中できる
・運転が楽しくなる
また助手席では、
・快適性を重視
というデザインを施していると例を挙げた。
エクステリアには、
刻一刻と変わる季節の移ろいを感じられるような塗装が施されている。
これは、障子や灯籠など、光の当たり方で見え方が変わるという日本文化の特徴を取り入れており、日本人の感性を世界に広げるというという意図があるのだという。
海外の高級車と違うものを提供するデザインを心がけているそう。
さらに最終の品質確認には、職人が表面の傷の確認を行うという。
なんと各部署には「匠(たくみ)」と呼ばれる職人がおり、機械では検出できない部品の段差を人の手で見極めている。
これがレクサスのものづくりなのである。
レクサス・インターナショナルの沖野和雄氏は、
「我々の考えるものづくりは、
その製品を使ったときにお客様がどう感じるのか、
どういった気持ちになれるのか
これらをよく考えて、デザインや製法を考えている」と話す。
そして
「バーミキュラと、ものづくりの根っこは一緒だなと思っています」と語る。
愛知ドビー社 副社長の土方智晴氏も、
コンピューター化できる部分や自動化できる部分はロボット化しているが。
「最高の製品を作ろうと思うと、最後は職人の経験と勘が必要であり、それはレクサスさんも同じ考え方で嬉しかった」と話す。
愛知ドビー社 代表取締役社長 土方邦裕氏
レクサス「LS」のオーナーでもある愛知ドビー社 社長の土方邦裕氏は、
ドアを閉めたときの音は輸入車を超えており、さらにエクステリアは隙間がなくすべての曲線が一体になっている、そしてインテリアも走りを楽しませてくれるものであり、今まで乗ったなかでLSがもっとも気に入っているという。
レクサス・インターナショナルの沖野和雄氏は
レクサスの前ドアと後ろドアのサイドウインドウをフラットにする作業について、
「ドアのちょうつがいの部分が0.01mmズレると、ドアの先端では3mmほどズレてしまう。
大量生産ではひとつひとつ寸法が異なるため、その寸法に合うちょうつがいをいくつか用意して、最終的に段差がなくなるよう一生懸命やっている」
と、こだわりについて説明した。
無水調理だけではなくパンの発酵など低温調理の温度管理をも実現した「バーミキュラ ライスポット」
愛知ドビー社 副社長の土方智晴氏は、
「ものづくりをしている我々からすると(レクサスのこだわりは)本当に凄いことで、我々もフタと本体の密閉性が0.01mmということが一番の売りなんですけど、これは2つの部品を組み合わせているだけなんです」と話す。
そして愛知ドビー社 副社長の土方智晴氏は、レクサスの沖野氏のこだわりについて我々にわかりやすく解説してくれた。
「自動車は3万点の部品を組み合わせたものであると言われるんですけど、一個の部品が違っていたらそこは出ないんです。
フラットというのは0(ゼロ)なんです。
1mmの段差のあるものが1.01mmになることは誰も気づかないんですが、
フラットなものが0.1mm違うと気づくんです。
フラットを目指す技術というのは、同じものづくりをするものとして、非常に素晴らしい技術だなと思います」
レクサスとバーミキュラのコラボイベントから見えたことは、
職人の手によるものづくりにこだわり、使う人の生活や価値観を変えていきたいという世界感で、それがたぐいまれな利用者の満足度を生み出してきたということなのかもしれない。
執筆 mi2_303