10月に銀座でオープンしたニューヨーク・ブルックリン発のアミューズメント型フィットネス「PLAYGROUND」(編集部撮影)

フィールサイクルに代表される暗闇フィットネスの系列に連なるフィットネスが、10月18日に銀座でオープンした。ニューヨーク・ブルックリン発のアミューズメント型フィットネスをうたう、「PLAYGROUND(プレイグラウンド)」だ。


トランポリンは高く跳ぶのではなく、小刻みに跳ねるのが正しい(編集部撮影)

展開するのはベンチャーバンクグループ。グループがフィットネス産業に乗り出したのは2004年、ホットヨガのLAVAが始まりだ。LAVAは現在、全国約400店舗超に拡大している。

その他フィットネス・健康関係としては15ブランドを展開しており、特に2016年以降はジャンピングフィットネスの「ジャンプワン」、マインドフルネスワークアウト「バーネスタイル」、EMSワークアウトの「エヴォルブ」など、ハイペースで新ブランドを立ち上げている。

筋トレに対するイメージが変化しサービスが拡大

主にNYをはじめとした海外流行のフィットネス文化や理論を日本に導入する形で展開。近年、日本でも筋トレやフィットネスに対する興味や意識が高まってきたことや、特に女性の間で、筋トレへの拒否感が薄まってきたことが、グループがサービスを広げる土壌になっている。

2012年からスタートしたフィールサイクルも好調で、首都圏23店舗のほか、国内の都市部に展開を広げ9月13日にオープンした広島スタジオを含め全部で36店舗を展開している。

では、このたび新たに導入されたプレイグラウンドとはどのような特徴を持つのか。

ブランド名のプレイグラウンドは「遊び場」を意味するが、文字通り、遊びながらトレーニングするというのが、この新たなフィットネスのコンセプトだ。


同グループでは初導入という、アサルトバイク。前輪にファンが取り付けられており、強くこぐと風力の抵抗で運動強度が上がる(編集部撮影)

ボール、バイク、ダンベル、トランポリンなどなど、約20種類のツールを使いながらトレーニングを行っていく。いわゆるサーキットトレーニングと呼ばれるもので、その都度違う部位を鍛えて、筋肉を休ませる時間をとる。

筋トレマシンを使ったトレーニングと異なるのが、人間の体の構造に適した動きを取り入れているところ。パワー・スピード・持久力・柔軟性といった、本来の体に必要な要素を包括的に鍛えられる。たとえばマラソンをやっている人が並行してこのトレーニングを行うと、マラソンだけを行っているよりもタイムが上がる。またスポーツをやっていない人でも、日常動作が楽になる、疲れにくくなるといった効果が得られる。

短時間で効果的にトレーニング

プレイグラウンドのクラスでは、ウォーミングアップとクールダウンに5分程度かかるほか、「1分筋トレをして1分休む」というリズムでトレーニングを行い、1クラス45分間。HIIT(高強度インターバルトレーニング)という方法で、短時間の負荷の強い筋肉トレーニング+短時間の休憩を何度も繰り返すことで、筋肉中の糖を燃やし、トレーニング後の脂肪燃焼効果を高めるという。


5分間のウォーミングアップもかなりきついメニュー(編集部撮影)

45分間のトレーニングで消費カロリーは約500〜700キロカロリー。最大48時間のアフターバーン効果を含めると約4200キロカロリーだという。ちなみに、体重60キロの人がランニングを1時間行った消費カロリーがだいたい520キロカロリーだ。

上記をまとめると、「遊び場」というかわいらしい名称に反し、相当きついトレーニングということになる。確かに、軽快なダンスミュージックにのって、ボールにつま先でタッチしたり、トランポリンでジャンプをするなど、その姿を見ると、子どもが公園で遊んでいる姿を思わせるかもしれない。

しかし実際の体験者にとっては、遊びの感覚というより、ひたすら1分を耐える、どちらかと言えばストイックなトレーニングだと思われる。以下、実際に体験しての感想を交えて紹介する。

ツールの数とスタジオのスペースの関係上、トレーニングでは2人1組になってサーキットを回るよう設定されている。同時に同じトレーニングをすることになるため、どうしてもお互いを意識してしまう。“負けず嫌いの人”ほど自分を鍛える効果が高まるかもしれない。


2人1組で1分間のメニューをこなしていく(編集部撮影)

インターバルの1分間は、次のツールへの移動と準備に費やされるので、あまり体を休めることにはならない。水をとるのもやっとで息が上がったまま、次のトレーニングを始める。スタジオ内をグルグル回る効果と相まって、頭もモウロウとしてくる。

なお、参加者は50人程度。メイントレーナーのほか、初めて参加する人がいる場合はサポートのトレーナーが付き、ツールの使用法を指導したり、移動をサポートする。モウロウとした頭では、何度も使っているツールの使用法が思い出せなくなったが、その都度教えてもらえた。

おしゃれに体を鍛えられる

フィールサイクルもそうだが、最近のフィットネスでは「楽しむ」ことが、トレーニングを継続させる原動力になる。しかし少なくともプレイグラウンドに関しては、普段から運動不足の人では、楽しむところまで到達できない可能性がある。


初導入のトレーニングマシン、コンセプト2。いわば立位のローリングマシンで、とくに背面を中心に、全身の筋肉を鍛える(編集部撮影)

ただし、筋肉を鍛えること自体が、体に大きな負荷がかかるもので、本来鼻歌交じりにできる運動ではない。

また、プレイグラウンドのトレーニングも、筋肉が鍛えられ持久力も高まってくると、リズムにのって反復運動をすることに楽しみや快感が感じられるようになると思われる。しかも、従来の筋トレのように黙々と励む汗臭いイメージではなく、非日常的な空間の中、おしゃれに体を鍛えられるということがポイントになっている。

その非日常感を演出するのが、ブルックリンを意識した店舗・スタジオの内装。そして、トレーニング中には薄暗いスタジオ内にライトの演出が施され、トレーナーによるDJのような声かけ・カウントダウンが参加者を応援してくれる。また、トレーニング終了後には「よくがんばりました」のハイタッチが行われる。

そのほか今回のプレイグラウンドで新しいのが、その場でつくるオリジナルのプロテインドリンクを提供するフューエルバーを設置していることだ。筋トレ後の30分は、たんぱく質を吸収しやすくなっているゴールデンタイムと言われ、この時間にプロテインをとることで、筋肉がつきやすくなるそうだ。

ドリンクは1食あたりにとるとよいとされる20グラム以上のたんぱく質をとることができるほか、ビタミンやミネラル、乳酸菌が配合されており、砂糖・添加物は不使用。1カップ420ミリリットル600円で、チョコレート、バナナ、ストロベリーの3種類のテイストから選べる。プロテインは動物性のホエー系、植物性のソイ系どちらも用意されている。

ダイエット目的から健康を意識した体づくりへ

料金は入会金1万円のほか、月料金が1万2800円〜1万6800円。また3000円(ウェブ決済の場合)と有料だが、体験もできる。現代社会では多くの人が運動に必要性を感じていると思われるが、プレイグラウンドの1レッスンは、自分の体力、筋肉を試す意味で役立つかもしれない。

超高齢社会の今、スタイルアップのためだけのダイエットから、生き生きした生活を送るための体づくりへと意識が転換してきていると感じられる。つまり、健康寿命を引き延ばすカギとなるのが、自分で歩けること。そのための骨や筋肉を、しっかり蓄えておくことが重要とされているのだ。

マンツーマンのパーソナルトレーナーを利用する人も、徐々に増えてきている。フィットネスジムに比べると高額だが、個々の体質に合わせ、効果的な指導をしてくれるのがメリットだ。このように、月に数万は体づくりに投資するのが当たり前の時代になりつつある。一方で、お金をかける以上は、それだけの成果が得られているかをつねに自身で納得しておく必要がある。フィットネスの市場が今後も広がり、選択が増えていくなかで、知識を身に付け、自分に合った選択を行うことが大切だ。