新日鉄住金を訪問する原告側の弁護士や支援者ら=12日、東京(聯合ニュース)
【東京聯合ニュース】韓国の大法院(最高裁)が新日鉄住金に対し、日本による植民地時代に強制徴用された韓国人被害者に賠償を命じる判決を下したことを受け、被害者側の弁護士は12日、新日鉄住金(旧新日本製鉄)本社を訪問したが、同社関係者との面会はかなわなかった。

 裁判で原告側(強制徴用被害者)弁護人を務めるイム・ジェソン氏、キム・セウン氏はこの日、韓国と日本の支援団体の関係者と共に東京・丸の内の新日鉄住金本社を訪問。判決を受け入れ賠償を行うよう求める内容の要請書を渡し、被害者への賠償問題について話し合おうとした。

 対応した同社建物の管理会社側は、要請書については受け取ったものの、これを新日鉄住金に伝達するかについては言及せず、弁護人側は新日鉄住金の関係者に会えないまま30分後に建物を後にした。

 イム弁護士は、建物の前で待っていた記者に対し、新日鉄住金側が面会自体を拒否したことに不快感を示した上で「賠償計画を明らかにせず、交渉にも応じないことから、計画通り新日鉄住金の韓国内の資産差し押さえの手続きを踏む」と説明した。

 今回の訪問には韓国と日本の取材陣約100人が集まり、関心の高さをうかがわせた。

 

 

 新日鉄住金は大法院の判決に従い、強制徴用被害者4人に1億ウォン(約1000万円)ずつ賠償しなければならないが、これを履行する動きはみられない。

 同社は大法院が原告敗訴の原審判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した2012年の株主総会で大法院の判断について「どのような場合も法律は守らなければならない」として受け入れる方針を示したが、判決確定後は「日本政府の対応状況などを踏まえ、適切に対応していく」として、賠償を行わないとする日本政府の方針に従う意向を示している。

 同社の4〜6月期と7〜9月期を合わせた売上高は約2兆9034億円、純利益は1412億円に上る。

 日本政府は新日鉄住金以外にも、韓国の被害者との間で同様の訴訟を抱えている自国企業に対し、賠償や和解に応じないよう求めたと伝えられた。

 一方この日、新日鉄住金の本社前には日本の市民団体の連合体「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」の関係者が集まり、韓国大法院の判決の正当性を説明しながら、新日鉄住金は損害賠償に応じるべきだとする内容の印刷物を市民に配布した。