古市コータロー氏が自らの少年時代を語った【写真:NBNL】

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リトルリーグ時代は強気なアンダースロー

 ソフトバンクが2年連続日本シリーズ制覇を果たし、幕を閉じた今季プロ野球。セ・リーグでは球団史上初となるリーグV3達成の広島が安定感ある強さを見せつけたが、昨季の球団ワースト96敗から2位へ大きく躍進したヤクルトの快進撃もペナントレースを盛り上げた。

 そんなヤクルトを1970年代から応援し続ける筋金入りのファンがいる。キャリア30年を超えるバンド「ザ・コレクターズ」のギタリスト、古市コータロー氏だ。第3回は、日本を代表するモッズバンドのギター番長が、リトルリーグ時代、そして野球ではなくギターを選んだ理由を明かす。

 お相手を務めたのは、おなじみFull-Countプレゼンツ「NO BASEBALL, NO LIFE.」(FMおだわら)でメインMCを務めるオカモト“MOBY”タクヤ(SCOOBIE DO)だ。

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MOBY「さて、また少年時代の話に戻るんですけど、コータローさんはピッチャーをやってたんですよね?」

古市「そう。少年野球でピッチャーをやっていて、よせばいいのにアンダースローで投げててね。結局、ギターほどはうまくはならなかったね。僕は頭にくるとバッターによくぶつけてたんですよ、もろに」

MOBY「もろに(笑)」

古市「中学の春の大会の時にね、頭にきてさ、バッターにぶつけまくってたら審判に怒られてちゃってね。結局、退場になったんです(笑)。球は速かったんだけどノーコンだったんだよね」

MOBY「そういえば去年(2017年)、久しぶりに野球をされましたね」

古市「やったね。『風とロック芋煮会』というイベントで、ピッチャーは僕しかいないということになって。全然投げてなかったから、高校野球をやっていた仲間たちを招集して特訓して、なんとか投げられるようになってね」

MOBY「投げたのは1イニングですか?」

古市「いやいや、2イニング投げた」

MOBY「2イニング!?」

古市「そう。解説は古田(敦也)さんですよ。で、僕がマウンドに立っていたら『古市投手はどんな球を投げるんでしょう?』なんて解説が向こうから聞こえてくるの。もう緊張しちゃってね(笑)。でも、2イニング無失点でしたよ」

MOBY「無失点はすごいですね! でも、古田さんに見られてマウンドに立つコータローさんて、92年、93年と立場が逆じゃないですか?(笑)」

古市「そうだね(笑)。やっぱり子供の頃、野球選手になりたかったんだよね。自分は白黒はっきり決着がつくものがやりたくてね。でも、結局白黒つかない音楽の世界に進んだけど」

古市氏が「白黒つかない音楽の世界」に進んだ理由とは…

MOBY「あえて白黒ちゃんとつかない世界の方に進んだ理由があるんですか?」

古市「それは、やっぱり野球よりもギターならプロになれると思ったからだね。プロとアマチュアの違いって、例えば、ここに箸があるとするでしょ。この箸の持ち方を覚えたばかりの人がいたとして、練習せずに一発できれいに箸を持てる人と、何度か練習してもぎこちない人がいたとしたら、僕はプロになれるのは前者だけだと思うんですよ。もちろん、後者もプロになる人はいるんだろうけど、いくら練習してもその差って縮まらないというか、それが才能だと思う。僕はそれがギターだったんだよね。だけど、白黒つかない世界だからさ、いつまでたっても満足感は得られないし、フラストレーションは溜まるよね(笑)」

MOBY「そんなフラストレーションが溜まる中でも長く続けられている理由って?」

古市「それはやっぱり、いいパートナーと出会えたことが大きいですよね」

MOBY「いやあ、いい話です。そんなザ・コレクターズですが、11月23日から映画『THE COLLECTORS〜さらば青春の新宿JAM〜』(東京・新宿ピカデリーほか)が公開されるそうですね。なぜ新宿JAMかと言いますと?」

古市「スクービードゥーも僕らもお世話になった新宿JAMというライブハウスが、ビル自体取り壊しになり、なくなってしまうということで、2017年の暮れに最後のライブをやったんですよ。それを追ったドキュメンタリーです」

MOBY「新宿JAM出身の現役バンドで一番年長の先輩がザ・コレクターズですから」

古市「もうそうなっちゃいましたかね。ヤクルトだと若松かな?(笑) 野球を球場で見るとテレビで見るより100倍楽しいし、映画も映画館で見る方が100倍楽しいから。自分から動いて見に行くものって、どんなものでも楽しめるよね。すごくいいことだと思うし。もし機会があったら是非見に行って下さい」

THE COLLECTORS(ザ・コレクターズ)
1986年初頭、THE WHOやPINK FLOYDといったブリティッシュ・ビート・ロックやブリティッシュ・サイケ・ロックに影響を受けた加藤ひさし(Vo.)と古市コータロー(G.)が中心となって結成。翌87年11月にアルバム『僕はコレクター』でメジャーデビュー。2017年になり、サポートとして参加していたドラマー、古沢“cozi”岳之がメンバーとして正式加入。新生ザ・コレクターズとしてメジャー・デビュー30周年を迎え、2017年3月1日に日本武道館公演を開催した。2018年1月より、12か月連続のマンスリーライブを渋谷クラブクアトロで開催中で全公演チケットは即日完売。11月7日には23枚目となるアルバム『YOUNG MAN ROCK』が発売された。初のドキュメンタリー映画『THE COLLECTORS〜さらば青春の新宿JAM〜』が11/23から新宿ピカデリーほかにて公開される。2019年1月より久々の全国ツアー『THE COLLECTORS TOUR 2019 “YOUNG MAN ROCK”』の開催も決定している。(福嶋剛 / Tsuyoshi Fukushima)