ドコモとauの2台目狙いの小型フィーチャーフォンはケータイ市場の飽和を越えていけるのか?

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●2018年秋〜2019年冬の携帯電話戦線に異常あり?
今秋、NTTドコモやauから発表された携帯電話端末のラインナップを見ると、小型のユニークなフィーチャーフォン(ガラケー)が多いことに気が付きます

NTTドコモからは
・名刺サイズの超小型ケータイ「カードケータイ KY-01L」
・スマートフォンと同じ電話番号で使える「ワンナンバーフォン ON 01」

auからは
・初代INFOBARから15周年の記念モデル「INFOBAR xv」
などがあります。


名刺入れにすっぽりと入る小ささ&薄さのカードケータイ



15年経っても新鮮な驚きを感じさせるINFOBARのデザイン


スマートフォン全盛な今の時代に、従来型の携帯電話であるフィーチャーフォンが売れるとは思えません。しかし各社が相次いでこういった端末を発表・発売する背景には、
・スマートフォンの大型化
・2台目需要の喚起
といった市場背景や企業戦略が見え隠れします。

●消費者ニーズがスマートフォンを大きくしてきたメリットとデメリットとは
理由の1つであるスマートフォンの大型化は、
・大きな画面で写真を見たい
・大きな画面で迫力のある映像が見たい
・大きな画面でラクに文字入力してSNSを快適に楽しみたい
といった消費者のニーズがあったからです。

当初はディスプレイサイズが5インチクラスでも、大型スマートフォンと言われた時期もありました。しかし今では5インチディスプレイのモデルは小型と言われ、6インチ台のスマートフォンが主流になりつつあります。


iPhone 8では4.7インチだったディスプレイサイズが、最新のiPhone XSで5.8インチまで大型化した


しかしスマートフォンの大型化はメリットばかりではありません。
大型化したことでデメリットも生まれています。
・大きくて片手で操作できない
・重くなった
・電話として使いづらい
・胸やデニムのポケットに入らない

そこで通信キャリア各社が考えたのが、
スマートフォン本体の子機的なフィーチャーフォンなのです。

・移動中には、スマートフォン本体はバッグに入れる
・移動中には、小型なフィーチャーフォン子機を胸ポケットにいれる
・電話は小型のフィーチャーフォンで受ける
という利用スタイルです。

かつてスマートフォンの主流サイズがまだ4インチ台だった頃は、
・小型のタブレットとスマートフォンのセット販売
これが流行りました。

今回の子機的なフィーチャーフォンは、
・スマートフォンは、小型タブレットのポジション
・子機的なフィーチャーフォンは、当時のスマートフォンのポジション
といったイメージです。


スマートフォンと同じ電話番号が使え、スマートフォンに着信した電話をそのまま受けられるワンナンバーフォン


●2台目需要を狙う通信各社の思惑は
そしてもう1つの大きな理由が携帯電話という市場の飽和です。

日本国内における携帯電話の契約件数は2017年度末で1億6000万台を超え、スマートフォンだけでも8000万台を超えています。
すでに携帯電話の市場飽和は指摘され始めて久しく、今以上に日本国内で契約件数を伸ばすことは難しくなっています。

そこで2台目という需要を喚起し、契約件数を伸ばす施策の1つとして考えられたのが、今回の、
・「小型フィーチャーフォン」
・「スマートフォン」
この「2台持ち」です。

たとえばINFOBAR xvには、初めからスマートフォンとの2台持ちを想定した「スマホ音声アシスタント呼出」機能が搭載されています。

この「スマホ音声アシスタント呼出」とは,
スマートフォンとINFOBAR xvをBluetoothで接続して、GoogleアシスタントやSiriといったスマートフォンの音声アシスタントをINFOBAR xvで呼び出して利用できるというものです。


INFOBAR xvでスマートフォンの音声アシスタントと「話す」スタイルだ


フィーチャーフォン全盛期にもウィルコムなどが、音声通話とメールのみに特化したケータイと格安プランで2台目需要を興して人気を集めた時期がありました。
その2台目需要を再び喚起しようというのが、今回の通信キャリア各社の思惑と戦略です。

ワンナンバーフォンは10月26日よりすでに発売が開始されており、カードケータイとINFOBAR xvは11月下旬の発売を予定しています。
これらの端末による2台目需要が消費者に受け入れられるのか、注目が集まります。


スマートフォンの大型化により、フィーチャーフォンが見直されているのかもしれない



秋吉 健