ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 2001年にJBC競走が創設されてから18回目となる今年、初めて中央競馬の競馬場で開催されることになりました。

 舞台は京都競馬場。スプリント(ダート1200m)、クラシック(ダート1900m)、そして牝馬限定のレディスクラシック(ダート1800m)の3競走が同日(11月4日)に行なわれます。

 中央競馬でも2004年に一度だけ、ジャパンCとジャパンCダートと2鞍のGIレースを同日、同会場で開催したことがありますが、1日にGI級のレースを3鞍も開催するのは、おそらく今回が初めてでしょう。ぜひ、盛り上がってほしいですね。

 3鞍の中でもメインレースとなるのが、JBCクラシック。「ダート王決定戦」という立ち位置です。

 ただ、現在のダート界で実績ナンバー1と言えるゴールドドリームと、そのゴールドドリームを先日の地方交流GI、マイルチャンピオンシップ南部杯(盛岡・ダート1600m)で破った3歳馬ルヴァンスレーヴの2頭は不参加。実際のところは、その2頭への”挑戦者”を決めるレースと言えそうです。

 出走メンバーのうち、まずは古馬の中で実績ナンバーワンとなるのは、中央、地方交流のGIで3勝を挙げているサウンドトゥルー(せん8歳)。昨年のこのレース(大井・ダート2000m)の覇者でもあり、年齢を考えなければ、優勝候補の最右翼と言えるでしょう。

 実際、8歳馬とはいえ、まだまだ元気な姿を見せています。これで、今年も大井競馬場で行なわれるならば、連覇のチャンスは十分にあると思うのですが、今回の舞台は京都。京都競馬場のダートは、やや馬場が軽く、時計の速い決着が多いので、その辺りがどう影響するのか……そこは、懸念材料のひとつになります。

 ノンコノユメ(せん6歳)とケイティブレイブ(牡5歳)の2頭も、中央、地方交流のGIを2勝しています。

 前者は、2016年の夏前に去勢。以降、昨年末までは今ひとつの成績が続いていましたが、今年に入ってGIII根岸S(1月28日/東京・ダート1400m)、GIフェブラリーS(2月18日/東京・ダート1600m)と連勝を飾りました。1年半経過して、ようやく去勢の効果が出てきたのかと思われました。

 しかしその後、地方交流GIかしわ記念(5月2日/船橋・ダート1600m)では、ゴールドドリームに完敗して4着。秋の復帰戦となった前走の南部杯でも4着に敗れました。

 南部杯については、ここに向けてのトライアルと考えれば、仕上がり途上ゆえの仕方のない結果ととらえることもできます。まして、今回は上位3頭が不在ですから、巻き返しが期待されるところでしょうが、上位2頭にはかなり離されていましたし、重賞未勝利の3着メイショウウタゲにも先着を許してしまったことはいただけません。

 そして何より、南部杯には馬体重マイナス11kgで出走。休み明けで大きく体を減らしていたのは、気になる要素です。

 一方、後者は今が最も充実期にあるとうかがえます。とにかくレースぶりが安定していて、競馬の”取り口”が大人です。GI級の勝利は地方交流GIのふたつだけですが、今回出走する古馬の中では、最上位の存在と言えるのではないでしょうか。

 鞍上の福永祐一騎手も完全に手の内に入れ、自信を持って騎乗しているように見えます。ここでも、好勝負を演じてくれることでしょう。

 ともあれ、先にも触れたように、南部杯では現時点で古馬の大将格であるゴールドドリームが、3歳馬のルヴァンスレーヴにあっさり敗れました。実は、これが今のダート界の、世代間の力関係なのかもしれません。

 先週の天皇賞・秋は、当コラムでもお伝えしたように、予想どおり4歳世代が上位を独占しました。それと同じように世代の比較をすると、ダート界は古馬よりも3歳世代がやや上のように思えます。

 南部杯の結果もさることながら、3歳馬のダート巧者グリムが地方交流のGIII白山大賞典(金沢・ダート2100m)を圧勝。そして、ここに出てくるオメガパフューム(牡3歳)が、前走のGIIIシリウスS(9月29日/阪神・ダート2000m)を快勝しています。

 また今週、大井競馬場で行なわれたマイルグランプリ競走(10月31日/ダート1600m)でも、3歳馬の頂点を決する地方交流GIジャパンダートダービー(7月11日/大井・ダート2000m)で、中央馬に混じって4着と健闘した大井のクリスタルシルバーが勝利。3歳世代の勢いはとどまることを知りません。

 こうした状況を踏まえると、現時点では3歳世代”ナンバー2”といった存在となるオメガパフュームとしては、ここで好結果を出して、12月のGIチャンピオンズC(12月2日/中京・ダート1800m)で、世代”王者”のルヴァンスレーヴに再チャレンジしたいところでしょう。

 さて、先週の天皇賞・秋では、芝で”レベルの高い4歳世代”の中から、サングレーザーを「ヒモ穴馬」に取り上げました。その流れでいくと、今回の「ヒモ穴馬」も、ダートで”レベルの高い3歳世代”から指名したいところです。

 とはいえ、先に挙げたオメガパフュームの他に出走する3歳馬は、1頭しかいません。テーオーエナジー(牡3歳)です。


JBCクラシックで一発が期待されるテーオーエナジー

 同馬は、前走のオープン特別・グリーンチャンネルC(10月8日/東京・ダート1400m)で14着と惨敗を喫して、すっかりノーマークになっているようですが、侮れないと思いますよ。

 前走は、休み明けだったことに加えて、距離も初めて走る1400m戦でした。大敗もやむ得ないところです。さらに、芝のレースとはいえ、日本ダービー(5月27日/東京・芝2400m)でも大敗していることを考えると、東京競馬場、あるいは左回りが極端によくない可能性があります。

 今回は、実績のある京都コース、距離も1900mとなって、一変があってもおかしくないでしょう。そもそも春には、夏のGIIIレパードS(新潟・ダート1800m)で勝ったグリムに迫った3着ビッグスモーキーを破っていますし、5着だったジャパンダートダービーでは2着オメガパフュームとはコンマ2秒差でした。 決して見限ってはいけない存在です。このメンバーなら、一発あっても驚けません。