低視聴率の上に、落語鑑賞の趣味がない筆者が、義務感で見始めたら、これがびっくり。何がびっくりかと言えば、大御所の真打になってからの岡田将生が色っぽいのである。若い頃の菊比古(岡田将生)は、師匠のところに転がり込んで大きくなった薄幸の青年にしては、背が高すぎてピッタリ来ず、足を引きずっている暗い青春が余り的確には出ていなかった。ところが、八代目八雲になってからの、隠隠滅滅ぶりに、ゾクッとする色気が出ているのだ。
菊比古にはライバルがいた。同じく七代目八雲(平田満)に育てられた初太郎(後の助六、山崎育三郎)で、彼は天才的に語りが上手かった。物語の核には謎があり、助六が菊比古の恋人だったみよ吉と一緒に事故死する顛末がまだわれわれには知らされていない。第1回のしょっぱなに出てくる八代目八雲の養女・小夏(成海璃子)は、助六の遺児で、八代目八雲(現在の菊比古)を親の仇と恨んでいた。即ち、助六とみよ吉の事故死に菊比古が関わっているらしい。
本物の真打たちに指導された岡田の落語はなかなかのもので、間といい高座での所作といい、ノッペリした現代のイケメン青年とも思えぬ寄席の雰囲気もある。ミュージカル歌手の山崎育三郎が天才落語家に扮するのも驚きで、どこかで読んだエピソードでは、歌を下手くそに歌えと言われて難しかったとか。クセッ毛にギョロ目の助六に山崎を振ったスタッフは慧眼と言えるだろう。(放送2018年10月26日22時〜)

(黄蘭)