地方競馬で創設された「ダート競馬の祭典」JBC3競走(スプリント、クラシック、レディスクラシック)が、今年初めて中央競馬で行なわれる。開催日は11月4日。舞台は京都競馬場となる。


これまでは地方競馬場で行なわれてきたJBC競走

 地方開催でありながら、もともと中央所属馬が圧倒的な強さを見せてきた同3競走。今回”アウェー”の舞台に臨む地方馬にとっては、ますます分が悪く、人気の面ではかなり軽視されそうだ。

 だが、”地方馬”というだけで、本当に軽んじていいものなのか。むしろ今回は、ここで激走しそうな地方馬を見つけ出すことこそ、高配当をゲットする近道と言えるのではないだろうか。

 そこで、3競走に挑む地方馬について、あらためて検証・分析し、大駆けが期待できる存在をあぶり出してみたい。

 まずは、JBCスプリント(京都・ダート1200m)。

 ダート1200mという設定のGIは、中央競馬にはない。その分、同舞台に特化した実力馬というのは中央の馬にも見当たらず、昨年のJBCスプリント(大井・ダート1200m)を制したニシケンモノノフ(牡7歳)も、その後は精彩を欠いており、確固たる”主役”は不在と言える。

 そうした状況のなか、地方から4頭が出走予定。なかでも注目は、昨年のこのレースでも5着と善戦した、船橋のキタサンミカヅキ(牡8歳)だ。目下3連勝中と勢いに乗っており、前哨戦のGII東京盃(10月10日/大井・ダート1200m)では、今回も名を連ねる中央のマテラスカイ(牡4歳)やネロ(牡7歳)らを一蹴している。

 同馬の戦績を見てみると、地方に移籍した昨年の夏以降の成績が際立っている。そのため、地方馬相手に強さを見せつけているようにも見えるが、移籍前の中央でもオープン特別の京葉S(中山・ダート1200m)で勝ち星を挙げるなど、潜在能力は高い。

 京葉Sに勝ったあとは、中央の舞台で惨敗を繰り返してきたが、”地方の水”が合って、再浮上のきっかけをつかんだのなら、決して侮れない。中央での実績を考えても、勝ち負けに加わる可能性は大いにある。

 ただ、現状の勢いからして、キタサンミカヅキは人気の一角に推されるかもしれない。ならば、穴候補としては、岩手のラブバレット(牡7歳)がオススメだ。

 これまでに、中央のGIII根岸S(東京・ダート1400m)に2度挑戦して、10着(2017年)、9着(2018年)。地方の重賞競走にも14回参戦し、3回ある2着が最高成績で、勝利を飾ったことは一度もない。

 こうした戦績を見ると、実力的な見劣りを感じるかもしれないが、ダート重賞でも1200mのレースに限ると、6戦0勝、2着2回、3着3回、着外1回と、安定した結果を残している。唯一の着外、6着に敗れたGIII東京スプリント(4月18日/大井・ダート1200m)も、スタートで後手を踏みながら、勝ち馬からコンマ6秒差と大崩れはしていない。

 夏のGIII北海道スプリントC(6月7日/門別・ダート1200m)では、勝ったテーオーヘリオス(牡6歳)とゴール前まで接戦を演じて、中央の実力馬にも引けを取らないレースを披露。舞台さえ合えば、一発あっても不思議ではない。

 父は、第1回のJBCスプリントの勝ち馬ノボジャックで、ちなみに京都のダート戦は1戦1勝。そして祖母は、1992年のGIIスワンS(京都・芝1400m)で金星を挙げたディクターガールである。そのDNAは、京都で行なわれるJBCスプリントでこそ、真価を発揮するのではないだろうか。

 メインレースとして行なわれるJBCクラシック(京都・ダート1900m)は、ダート1900m戦と、中央の馬にとってもややイレギュラーな距離設定。地方馬が付け入る隙は十分にありそうだ。

 ここに参戦する地方馬は3頭。そのうち、今夏地方競馬に移籍して、現在2連勝中の浦和のシュテルングランツ(牡7歳)が注目を集めている。鞍上が今年、地方競馬の通算最多勝記録を更新し、今なおその記録を伸ばしている的場文男騎手というのもある。

 だが、ここで推奨したいのは、名古屋のカツゲキキトキト(牡5歳)である。

 これまで、地方のダート重賞には11回出走して未勝利だが、2着が1回、3着が4回ある。今春には、ダート一線級が集まるGI帝王賞(6月27日/大井・ダート2000)にも参戦。結果は7着に終わったものの、アウォーディーやオールブラッシュ(牡6歳)、アポロケンタッキー(牡6歳)など、中央の実績馬たちに先着する健闘を見せた。

 常識的には、上位を狙うのは厳しいだろう。それでも、昨年3月のGIII名古屋大賞典(名古屋・ダート1900m)では、勝ったケイティブレイブ(牡5歳)から2馬身差の3着。昨年10月のGIII白山大賞典(金沢・ダート2100m)では1着インカンテーションから2馬身半差の2着と、中央馬の一線級とも差のない競馬を展開するなど、相手なりの走りができるのは強みだ。

 1400mから2500mまで、幅広い距離に対応し、結果を出してきたカツゲキキトキト。中央ではイレギュラーな距離設定において、何かしらの展開のアヤが生じれば、勝てないまでも、上位に食い込むチャンスはあるはずだ。

 最後は、当日の最終レースに行なわれる牝馬限定のJBCレディスクラシック(京都・ダート1800m)。こちらも、JBCスプリント同様にズバ抜けた存在はいない。下馬評では、芝、ダート両方で重賞勝ちのあるラビットラン(牝4歳)が1番人気と目されているが、同馬は取りこぼしも多く、絶対視するのはどうだろうか。

 同レースに出走する地方馬は4頭。注視すべきは、大井のブランシェクール(牝5歳)だ。

 前走のGIIレディスプレリュード(10月11日/大井・ダート1800m)では、ジョアン・モレイラ騎手騎乗のプリンシアコメータ(牝5歳)の2着に敗れたが、直線で追い詰めて、ゴール直前まで熾烈な攻防を繰り広げた。

 そのレース後、ブランシェクールの鞍上を務めた吉原寛人騎手は、「普通なら、かわせる手応えだったのに、(プリンシアコメータが)内から差し返してきて、『マジックマン、すげぇな』と思った」と舌を巻いた。しかし、吉原騎手はこのあと、こんな話をしている。

「前にいたモレイラ騎手のステッキが、パンッと僕のステッキを弾いてしまって、肝心なところで、手で追うしかできなかったんですよ」

 それが偶然だったかどうかは別として、吉原騎手のステッキが弾かれていなければ、もっと際どい勝負になっていたに違いない。 今年1月まで中央に所属しており、GIII TCK女王盃(1月24日/大井・ダート1800m)では2着と好走。”地方馬”という単なる所属だけで人気を落とすようであれば、なおさら買い。”マジックマン”をも脅かすブランシェクールの、中央の大舞台での逆襲を期待したい。