娘の彼氏に一目ぼれ…ドラマ『黄昏流星群』のような、47歳主婦の恋

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<亀山早苗の不倫時評――ドラマ『黄昏流星群』の巻 vol.2>

 弘兼憲史の大ヒット漫画を原作に、人生の岐路にたたずむ男女の恋愛を描いたドラマ『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』(フジテレビ系、木曜夜10時〜)。
 佐々木蔵之介(50)、中山美穂(48)、黒木瞳(58)の豪華キャストで話題の本作を、男女関係・不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんがレビューします。(以下、亀山さんの寄稿)

◆中山美穂演じる妻が、娘の婚約者にときめいてしまうまで
 出世コースから外れて出向(つまり左遷)が決まったことを家族に言えないまま、銀行支店長として最後の日を迎えた瀧澤完治(佐々木蔵之介)。

 完治の出向先の食堂では、偶然にもスイスで出会った栞(しおり・黒木瞳)が働いていた。彼女は両親の介護をしつづけることに人生を費やしてきた。ようやく母を施設に入れ、急に余った時間をもてあましてスイスへ行ったのだとチャーミングな笑顔を見せる。
 一方、妻の真璃子(中山美穂)は、夫が出張と偽ってスイスへ行ったこと、部下たちにもらったネクタイを娘(石川恋)が「これを選んだのは女性だね」と言ったこと、さらに会社から送られてきた荷物の底が抜けて(それは完治が送った会社での私物だったのだが)、その中に秘書(本仮屋ユイカ)がこっそり入れたプレゼントがあったこと、などなどから夫の浮気を疑っている。友人で翻訳家として活躍している聡美(八木亜希子)も、何度も「それは浮気だね」と決めつけるため、どんどん疑惑が深まっていく。

 その晩、妻の真璃子は大学時代の先輩であるパティシエのパーティへ。ここへ来ないはずの完治がやってきて、この夫婦は大学時代の先輩後輩であったことがわかる。出向の件を妻に言おうとパーティ会場の隅へ誘う夫。だが、妻は苛立って浮気の件を突然責め立て、夫の話に耳を貸そうともしない。
 いまどき、こんなある種の「世間知らず」の妻がいるのかとふと疑問がわくが、彼女は彼女で「婚約した娘がこの家からいなくなったら、私はどうやって生きていこう」と内心、大きな恐怖心を感じているのだ。自分だけが置いてけぼりになっている女性たちの危機感は、想像以上に強い。

 そしてガーデニングの最中、うっかり手を切った真璃子の腕をつかんで応急処置をしてくれたのは、挨拶に来た娘の婚約者・春輝(藤井流星)。その青年の目力にすっかり舞い上がってしまう真璃子だったが、帰りがけ、玄関で振り向いてじっと真璃子を見る春輝の目は、かなりヤバイ。この目で見つめられたら、世間知らずの真璃子でなくても、心臓を射貫かれてしまうこと請け合い。

 というわけで、静かに、しかし深く不倫の恋は、夫婦それぞれに訪れているのだった。
◆「初恋は夫でなく、娘の彼氏」ある47歳主婦の話
「娘の恋人に恋する母親なんているわけない」

 そう思いがちではあるが、実際にはいるのだ。

「私の中ではなかったことになっている。彼にとってももちろん消したい過去でしょう」と語るのは、タマキさん(55歳)だ。大学を出たその年に、10歳年上の男性と見合い結婚。23歳で長女を、25歳で次女を授かった。

 長女が24歳のとき連れてきた30歳の男性に、タマキさんは一目惚れした。当時彼女は47歳。生まれて初めて、ズキュンと心臓を射貫かれたのだという。

「小学校からずっと女子校だった私にとって、それが初恋でした。でも娘の恋人ですからね、どうこうなろうなんていう気持ちはない。紹介されると同時に娘が妊娠していることも知らされました。そんな状態だから、すぐにあちらのご両親とも顔合わせして。ふたりは結婚式は後回しにして婚姻届を出し、うちの近くにマンションを借りて住み始めたんです」