10月28日に行なわれるGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)は、今年もすごい面々が顔をそろえた。

 まずは、昨年のGI皐月賞(中山・芝2000m)を勝ったアルアイン(牡4歳)、GI日本ダービー(東京・芝2400m)を制したレイデオロ(牡4歳)、そしてGI菊花賞(京都・芝3000m)を快勝したキセキ(牡4歳)と、前年のクラシック覇者が勢ぞろい。

 加えて、昨年のダービー2着馬で、今年のGI大阪杯(4月1日/阪神・芝2000m)で戴冠を遂げたスワーヴリチャード(牡4歳)に、一昨年のダービー馬マカヒキ(牡5歳)、さらに今年のGI宝塚記念(6月24日/阪神・芝2200m)の勝ち馬ミッキーロケット(牡5歳)など、タイトルホルダーがズラリと名を連ね、その豪華メンバーの激突が大いに注目されている。

 これだけのメンバーがそろうと目移りして、馬券検討においては悩ましい限りだが、こうしたレースにおいては、通常なら上位人気を争うような実績馬が、下位人気にとどまることが結構ある。つまり、うまく人気の盲点をつけば、オイシイ馬券をゲットできるわけだ。

 過去のレースを振り返っても、GIジャパンカップ(東京・芝2400m)を勝っているスクリーンヒーロー(2009年、7番人気で2着)や、ダービー馬のエイシンフラッシュ(2012年、5番人気で1着)、海外GIの覇者リアルスティール(2016年、7番人気で2着)などの実績馬が、人気を落として好配当をもたらしている。

 今年も、狙い目となるのはそういうタイプ。実績とは裏腹の低評価を受けて、レースではそれに反発して台頭する馬だ。そこで、過去10年の結果を参考にして、そんな”実績のある穴馬”を探し出してみたい。

 そうした”穴馬”のパターンで目立つのは、不振続きながら休み明けで激走するケースだ。

 前述のスクリーンヒーローやリアルスティール、さらに2011年に6番人気で3着となったペルーサらは、そのいい例となる。

 スクリーンヒーローとリアルスティールはGI勝ちがあり、ペルーサも前年の天皇賞・秋で2着と好走しているが、やや勝ち星から遠ざかっていたり、直前のレースで惨敗を喫していたりして、人気を落としていた。それこそ、好メンバーが集ったゆえ、そのあおりを受けたとも言える。

 だが、もともとトップレベルで結果を出してきた実力馬たち。休養中に立て直しを図って、本番では本来の力を発揮して勝ち負けを争った。

 今年、同様のパターンで面白そうなのは、ヴィブロス(牝5歳)だ。


過去には世界の強豪牡馬も蹴散らしているヴィブロス

 3歳秋にGI秋華賞(京都・芝2000m)を勝って、昨年の4歳春にもドバイターフ(UAE・芝1800m)で海外GIを制した実力馬だが、その後は5戦して未勝利。1番人気に推されたGIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)で5着に敗れ、年明け初戦のGII中山記念(2月25日/中山・芝1800m)でも人気を裏切って8着と完敗を喫している。

 前々走のドバイターフ(3月31日)では2着、前走のGI宝塚記念では4着と健闘しているものの、結局、勝ち星がない分、全盛期に比べて物足りなさを感じている人も多いようだ。そして、今回は牡馬一線級がそろうこともあって、人気は急落しそう。

 だが、過去の例からして、軽視は禁物。休養中のリフレッシュによって、世界の強豪馬を蹴散らした末脚が再び炸裂すれば、そうそうたる面々を一蹴し、頂点に立ってもおかしくない。

“実績のある穴馬”パターンとして次に多いのは、不振続きのうえ、休み明けの前哨戦でも敗れている馬の急変だ。

 たとえば、先に触れた2012年の勝ち馬エイシンフラッシュがそう。同馬は2010年、ダービー馬となって世代の頂点に立つが、以降はずっと勝ち星から見放されてきた。2012年の春も海外と国内のGIを2戦して、ともに6着。休養を経て、直前のGII毎日王冠(東京・芝1800m)も9着に完敗していた。

 そうした戦績によって、天皇賞・秋では当然人気は得られなかったが、同舞台で一変。好メンバーを相手に、ダービー以来2年ぶり、2度目のGI制覇を果たしたのだ。

 2015年に6番人気で3着となったイスラボニータや、2016年に6番人気で3着に入ったステファノスも同様のタイプ。

 イスラボニータはGI皐月賞の覇者で、1年前の天皇賞・秋では1番人気に推されていた。しかし、同レースで3着に敗れてから勝利がなく、休み明けの毎日王冠でも3着に敗れて人気が上がらなかった。

 ステファノスも、前年の天皇賞・秋で2着となるも、以降は勝利に恵まれず、前哨戦の毎日王冠でも2番人気に推されながら5着に敗れて、低評価に甘んじた。

 それでも、ともに天皇賞・秋では地力の高さを示した。

 今年もこれらに似たパターンの馬がいる。キセキだ。

 冒頭で触れたとおり、同馬は昨年の菊花賞馬だが、それからは不振にあえいでいる。昨年末の海外GI香港ヴァーズ(香港・芝2400m)で9着に敗れたあと、年明けのGII日経賞(3月24日/中山・芝2500m)で9着、続く宝塚記念でも8着と惨敗続き。そして、前走の毎日王冠でも3着に敗れている。

 この成績から、今回のメンバーでは上位人気は見込めないだろうが、前走・毎日王冠では復調の兆しが見られた。一発あっても不思議ではない。

 ここまでは、GI馬かGIで連対している”実績のある穴馬”にフォーカスしてきたが、最後は別の視点からの”穴馬”をピックアップしてみたい。それは、GIでは「力不足」と見られた上がり馬だ。

 このタイプは、過去に何度も金星を挙げている。カンパニー(2009年)、ジャスタウェイ(2013年)、スピルバーグ(2014年)らがそうだ。

 3頭はいずれもGI勝ちはもちろん、GIでの連対もなく、カンパニーはGIの常連ではあったものの、掲示板に載るのが精一杯で、常に「GIでは力不足」と見られていた。そのため、前哨戦の毎日王冠を勝っていながら、人気は上がらなかった。

 ジャスタウェイもGIでは振るわず、前走の毎日王冠を含めて、直前の重賞で3戦連続2着と好走するも、ここでは人気を得られなかった。

 スピルバーグは、前年の秋に1000万下、1600万下と連勝。年が明けて、春にオープン特別も制して3連勝を飾ったあと、再び休み明けで臨んだ毎日王冠でも3着と善戦したが、一段とメンバーが増す天皇賞・秋では主力に数えられるようなことはなかった。

 だが、3頭は皆、5番人気の評価を覆(くつがえ)して戴冠。並み居る強豪をまんまと蹴散らして見せた。

 これらの再現を果たしそうな存在が今年もいる。サングレーザー(牡4歳)である。

 昨年、4連勝を飾って重賞制覇を果たした同馬だが、昨秋のGIマイルCS(京都・芝1600m)では3着。今春のGI安田記念(6月3日/東京・芝1600m)でも5着と、GIでは勝ち負けを演じるまでには至っていない。

 おかげで、前走のGII札幌記念(8月19日/札幌・芝2000m)ではマカヒキ相手に勝利し、2000mという距離も克服していながら、今ひとつ評価が上がってこない。

 これでもし、前述の3頭と同じく当日5番人気にとどまるようなら、なおさら面白い存在となる。金星の可能性は一層膨らむゆえ、同馬を軸にして勝負をかけてみるのも悪くない。 秋の”古馬三冠”の第1弾となる天皇賞・秋。今年は、その舞台にふさわしいメンバーがそろった。そのハイレベルな戦いを存分に堪能するためにも、できるなら旨みのある馬券も手に入れたいところ。もしかすると、ここに挙げた3頭が、その”夢”を叶えてくれるかもしれない。