3歳牡馬クラシック三冠の最後を飾るGI菊花賞(京都・芝3000m)が10月21日に開催される。

 皐月賞(中山・芝2000m)、日本ダービー(東京・芝2400m)という春の二冠と違って、菊花賞は3000mという多くの馬にとって未知の距離で行なわれる。その分、これまでも予想もしなかった穴馬が何度となく台頭している。

 過去10年を振り返っても、2008年に15番人気のフローテーションが2着、2010年には13番人気のビートブラックが3着に入線。さらに、2017年には10番人気のクリンチャーが2着、13番人気のポポカテペトルが3着に食い込んで、馬連や3連単などで高配当がしばしば生み出されている。

 また、今年は前哨戦のGII神戸新聞杯(9月23日/阪神・芝2400m)でも磐石の競馬で勝利を飾った、ダービー馬ワグネリアンが不在。波乱ムードが一段と高まっている。

 ということで、過去10年の結果を参考にして、今年のレースで大駆けしそうな”穴馬”候補をあぶり出してみたい。

 まずピックアップしたいのは、古馬混合の1000万下を勝っている馬だ。先述のビートブラックやポポカテペトルをはじめ、2009年に8番人気で金星を挙げたスリーロールス、2014年に7番人気3着に入ったゴールドアクターなど、このパターンの激走馬はたくさんいる。

 そして今年も、古馬混合の1000万下を制してこの舞台に挑んでくる馬が何頭かいる。なかでも、一発の匂いが漂うのは、アフリカンゴールドとグロンディオーズだ。

 ともに前走の1000万特別で歴戦の古馬たちを粉砕。アフリカンゴールドは兵庫特別(10月2日/阪神・芝2400m)で4馬身、グロンディーズは信濃川特別(8月4日/新潟・芝2000m)で3馬身の差を後続につける圧勝劇を演じた。

 過去の例を踏まえても、この2頭は穴馬候補としてかなりのオススメである。だが、今年はこの2頭以上に食指を動かされる馬がいる。

 グローリーヴェイズである。


準オープンを勝ち上がって菊花賞に臨むグローリーヴェイズ

 同馬は前走で、1000万下のさらにひとクラス上、1600万下のレースで古馬相手に勝利を飾っているからだ。

 春先はGIIIきさらぎ賞(2月4日/京都・芝1800m)で2着、GII京都新聞杯(5月5日/京都・芝2200m)で4着と、重賞戦線でも善戦してきたグローリーヴェイズ。休養明け初戦となった前走、1600万下特別の佐渡S(7月28日/新潟・芝2000m)では、古馬相手とあっても1番人気に支持されて、その人気に見事に応えた。

 今回は、そこからじっくり調整しての参戦。1600万下、いわゆる準オープンのレースをきっちり勝った実力があれば、1000万下の勝ち馬が台頭してきた歴史からして、十分に勝負になるはず。金星を期待したい1頭だ。

 続いて着目したのは、王道路線となる春のクラシックではパッとした成績を残せなかったものの、休み明けの菊花賞トライアルで好走し、再び上昇気配にある馬だ。

 例えば、2009年に6番人気で3着となったセイウンワンダー。同馬は、2歳時にGI朝日杯フューチュリティS(中山・芝1600m)を制し、皐月賞こそ3着と奮闘したが、ダービーでは13着と惨敗を喫した。

 結局、その結果が響いて、休養を挟んで臨んだ神戸新聞杯で3着と好走するも、菊花賞で再び人気が上がるようなことはなかった。

 前哨戦のGIIセントライト記念(中山・芝2200m)で2着に入ったあと、本番でも3着入線を果たした2011年のトーセンラーも似たようなタイプと言える。

 同馬は3番人気という評価を得ていたが、1番人気オルフェーヴル、2番人気ウインバリアシオンからは大きく水をあけられてのもの。前哨戦の好走よりも、皐月賞7着、ダービー11着という結果が影響して、そうした人気の差になったのだろう。

 これらの例から、春のクラシックで結果を残せなかったことによって、前哨戦で上位争いに加わっても評価が上がらない馬が狙い目となる。

 面白いのは、グレイルだ。

 2歳時にはGIII京都2歳S(京都・芝2000m)を制しながら、皐月賞では6着、ダービーでは14着に沈んだ。そのため、休み明け初戦の前走・セントライト記念(9月17日)で3着と健闘するも、「GIではやはり役不足……」という見方が強く、上位人気にはなりそうもない。

 だが、過去にもこうしたタイプが台頭していることを思えば、軽視は禁物だ。前哨戦で上り調子にあることは実証済み。春とはひと味違う走りを見せてくれるかもしれない。

 これ以上の”大穴”を狙うなら、春の王道路線でも振るわなかったうえ、前哨戦でも惨敗している馬の”変貌”を期待する手がある。

 2008年に15番人気で2着となったフローテーションや、昨年2着に入ったクリンチャーがいい例だ。

 フローテーションは、皐月賞で11着、ダービー8着のあと、秋初戦の神戸新聞杯でも12着とまったくいいところがなかった。おかげで相当な人気薄となったが、3000mという距離延長を味方にして、アッと驚く快走を見せた。

 クリンチャーも、皐月賞こそ4着と健闘したものの、ダービーは13着と惨敗。休養を挟んだあとも、前哨戦のセントライト記念で9着と再び大敗を喫した。さすがに巻き返しは望めないと思われて人気は急落したが、本番で2着という大躍進を果たした。

 やはり特殊な舞台設定ゆえ、予想もしなかった馬の大激走が時に見られる。そこには、近走の成績だけでは推し量れない”変化”があるのだろう。

 ただし、そうした”激変”の可能性を秘めるのは、早いうちに能力の高さを示して、春のクラシックに駒を進めるだけの実力があった馬。フローテーションにしても、クリンチャーにしても、3歳春までにはオープン特別を勝ったり、重賞で好走したりしていた。

 実はこれら2頭と似たタイプで、激変があってもおかしくない馬が今年もいる。

 タイムフライヤーだ。

 同馬は、皐月賞で10着、ダービーでも11着と大敗。休み明けの前走、神戸新聞杯でも6着となって好材料は見当たらない。

 だが、フローテーションやクリンチャーと同じく、タイムフライヤーはデビュー早々に頭角を現して、2歳GIのホープフルS(中山・芝2000m)を制覇。GI馬ゆえ、春のクラシックでは有力馬の1頭に数えられていた実力馬だ。

 ならば、出走予定のどの馬も経験したことのない舞台で”大変身”を遂げる可能性は大いにある。フローテーション、クリンチャーに続く、とんでもない波乱の立役者になっても不思議ではない。「強い馬が勝つ」と言われているとおり、菊花賞は三冠の中でももっとも実力が問われるレースではある。しかし、近年は伏兵の台頭もよく見られる。ここに挙げた5頭の中から好みの馬をピックアップして、一攫千金を狙ってみるのも一興ではないだろうか。