相手DFを背負ったところから反転、ドリブル、チャレンジし続け、仕掛けられる。そういう選手が多いと、多彩な攻撃パターンが生まれます。そこにボランチの位置から効果的なパスを出せる柴崎岳選手が絡み、常に相手が嫌がるところにチャレンジしているように感じました。ウルグアイ戦で日本はシュートのこぼれ球を2度に渡って押し込みましたが、あれも相手が嫌がるところを攻略し、シュートを撃てる選手が増えたことに起因しています。

 
 3点目は、「Jリーグ下部組織の出身選手」が互いに近くでプレーし、コンビネーションやインスピレーションがマッチングしている点です。
 
 先ほど挙げた2列目の中島、南野、堂安の3選手は、それぞれ東京ヴェルディ、セレッソ、ガンバの下部組織でコンビネーションを駆使しながら攻撃する術を学んできました。タイプの部分と感性の部分で近い選手が同時に出場する効果は、ロシア・ワールドカップで乾選手、香川真司選手の元セレッソコンビ(山口蛍選手を含めれば“トリオ”)が明確に示してくれました。
 
 ワールドカップ予選の時はそこに清武弘嗣選手もいました。セレッソでコンビネーションを磨いてきた複数のセットを起用する利点は、日本代表のような調整時間は限られている状況下では、きわめて大きなアドバンテージになります。
 
 現代表は、練習で合わせた時間で言えば上のセレッソの選手たちより断然少ないと思いますが、それぞれがすでに海外である程度の実績、経験を積んでいることもプラスに働いていると思います。海外に行けば日本人選手は、外国籍いわゆる助っ人になります。その扱い、感覚で戦えるようになったことで、ウルグアイのような強豪チーム、外国籍との試合でも互角以上に渡り合えたのだと思います。
 4点目は、長友佑都選手や吉田麻也選手、本田圭佑選手が出てきた頃のように、「若手にギラついた雰囲気」がある点です。これがもっとも重要な要素かもしれません。
 
 目立ちたい精神、活躍して自分が代表の中心だと見せつけたい! こうした想いが存分に伝わってきました。
 
 以前までは本田選手、香川選手、長友選手など主力で活躍していた選手のギラつきに対して、下の世代はなかなかそこを突き崩すことができませんでした。しかし時間は止まりません。彼らももう30代。本来は力で押し退けるべきだと思いますが、時間によって道が拓けた部分も大きかったと思います。

 
 4年後のワールドカップを目ざすチーム作りを森保監督が進めていくなかで、乗り越えるべき壁をしっかり理解して、チャレンジする姿勢を見せられた。新たな日本代表のカタチと、そこへ邁進していく雰囲気が感じられた3試合でした。
 
 個人的には、まだまだ長友選手や吉田選手が健在ですが、今回森保ジャパンに呼ばれなかった香川選手や乾選手も“おっちゃん代表組”にも注目しています。若手に道を開けようとする流れに抵抗し続けてほしい。30代でも結果を出し続ける姿を見たいです!
 
 なにはともあれこの3試合、とりわけウルグアイ戦は、年明けに開催されるアジアカップに繋がる、ワクワクさせてくれる試合でした。ただ、アジアカップは親善試合ではなく、当然ながら公式戦です。そのステージでも思い通りに戦えるのか、格下と言われる相手が自分たちのサッカーを研究してくる、そして、そのような相手との試合でも高いモチベーションでチャレンジ精神を持って戦えるか──。アジアカップではこうした点も試されるのではないでしょうか。
 
<了>
 
橋本英郎
 
PROFILE
はしもと・ひでお/1979年5月21日生まれ、大阪府大阪市出身。ガンバ大阪の下部組織で才能を育まれ、1998年にトップ昇格。練習生からプロ契約を勝ち取り、やがて不動のボランチとして君臨、J1初制覇やアジア制覇など西野朗体制下の黄金期を支えた。府内屈指の進学校・天王寺高校から大阪市立大学に一般入試で合格し、卒業した秀才。G大阪を2011年に退団したのちは、ヴィッセル神戸、セレッソ大阪、長野パルセイロでプレーし、昨季から東京ヴェルディに籍を置く。日本代表はイビチャ・オシム政権下で重宝され、国際Aマッチ・15試合に出場した。現在はJリーガーとして奮闘する傍ら、サッカースクールの主宰やヨガチャリティー開催など幅広く活動中。Jリーグ通算/438試合・21得点(うちJ1は339試合・19得点/2018年10月18日現在)。173センチ・68キロ。血液型O型。