自身3度目の来日を果たしたウルグアイのタバレス監督。写真:サッカーダイジェスト写真部

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[キリンチャレンジカップ2018]日本 4-3 ウルグアイ/10月16日/埼スタ

 ウルグアイのオスカル・タバレス監督は試合後、杖を突きながら会見場に入ってきた。なにしろ御年71歳。さらに今年に入ってギラン・バレー症候群(足が痺れたり動かなくなる神経疾患)を患うなど、無理が利く身体ではない。韓国と日本を巡ったこのアジア遠征の肉体的負担は想像に難くない。

 しかし、その発言は実に滑らか。熱意と愛に溢れ、試合の考察から日韓のスタイルの違いまで実に的確なものばかりだった。

 1988〜90年に初めてウルグアイ代表を率いたタバレス監督はその後、ボカ、カリアリ、ミラン、オビエド、ベレスなどを指揮。06年に再びウルグアイ代表監督に就任すると、育成年代を含めた抜本的な改革に乗り出す。W杯は98年大会以降の4大会で3度の予選敗退と低迷するなど「古豪」に成り下がっていた母国を、再び「強豪」に押し上げた。W杯は10年大会から4位、ベスト16、ベスト8と3大会連続で決勝トーナメントに進出し、11年にはコパ・アメリカで優勝も飾っている。

 今年9月下旬にはウルグアイ・サッカー連盟と2020年までの契約延長に合意。すでに第1次政権を含めて14年指揮しているが、このままカタールW杯まで率いるとなれば、18年という異例の長期政権を築くことになる。ウルグアイにとってはまさに“生けるレジェンド”とも言うべき監督だ。

 会見を聞いていて印象的だったのが、“素直さ”と“プライド”の絶妙なブレンドだ。「我々はフィジカル面で劣っていたし、日本は勝利に値した。長距離移動や疲労は言い訳にしたくない」と素直に負けを認める一方で、「フィジカル面は技術面、戦術面は密接に繋がっており、切り離すことはできない。我々はまだまだ発展途上で、親善試合とW杯のような本番はまったくの別物」とプライドを覗かせていた。

 元小学校教師というキャリアも関係しているのだろうか。温かさと厳しさがあり、その佇まいそのものに引き込まれた。同じ年でライバル意識が強いというルイス・スアレス(今回は夫人の出産のためメンバー外)とエディンソン・カバーニが、少なくともピッチ上では好連携を築くなど、近年のウルグアイ代表がいつも勝利という目標に向かってひとつにまとまっているのは、この父親のような指揮官の存在ゆえなのだと改めて実感した。

 会見のラストも何とも粋だった。質疑応答を終えたあと、自ら「最後に付け加えたいことがある」と口を開いたのだ。

「ウルグアイから日本への旅は長い時間がかかります。時差も12時間ある。でも、素晴らしいこともあるんです。私が日本を訪れるのは3回目です(08年、14年、今回)が、日本はいつも温かく迎えてくださる。みなさんに感謝を申し上げたい」

 単なる社交辞令ではなく、心からの言葉に思えた。だからだろう。再び杖を突きながら会見場を後にするタバレス監督には、私を含めて多くの記者が思わず立ち上がって拍手を送っていた。

取材・文:白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト編集部)

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