日銀の資産残高と日本株の大幅下落のリスク

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日本銀行は量的緩和政策の出口について具体的な方針を示していませんが、日本銀行の資産の増加率は低下傾向が続いています。

2018年10月10日時点で日本銀行の資産は547兆円にまで膨らんでいますが、資産額の増加率を見ると2014年以降、低下傾向が続いています(図1)。増加率が低下しているのは保有残高が膨らんだことが原因です。国債を一定額で買い続けていれば、保有残高が積み上がるほど変化率は小さくなるからです。例えば100兆円保有時の1兆円の買いは1%ですが、500兆円保有時の1兆円の買いは0.2%です。残高が大きくなるほどインパクトは小さくなります。

2013年以降の日本株相場の上昇は量的緩和政策によるところが大きいと考えるのであれば、資産残高の変化率がマイナスになると日本株相場にとっては悪材料となると考えられそうです。2006年2月末には変化率がマイナスとなりましたが、その後の日本株相場はピークを付けて反落しています(図2)。資産残高の変化率がマイナスとなるのは時間の問題であり、長期的な視点で見た日本株の大きな下落はこれからなのかもしれません。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。