「新しく(選手が)代わって、また合わせることも増えましたけど、これからですね」

 パナマ戦後、先制点を記録した南野拓実(ザルツブルク)は淡々と説明している。

 世代の融合。それは森保ジャパンにおいて、ひとつのキーワードになっている。ロシアW杯、ラウンド16でベルギーと激闘をかわした後、長谷部誠、本田圭佑という一時代を築いた選手が相次いで代表引退を発表した。その存在は絶大だった。率直に言って、今も実力と経験は捨てがたい。

 しかしながら、チーム全体の平均年齢は高かっただけに、「世代交代」は待ったなしだった。


パナマ戦で日本代表デビューを飾った北川航也

 パナマ戦の先発メンバーには、代表キャップ5以下のルーキーが目立っている。これが代表デビュー戦となった冨安健洋(19歳/シント・トロインデン)を筆頭に、三竿健斗(22歳/鹿島アントラーズ)、南野(23歳)、室屋成(24歳/FC東京)、伊東純也(25歳/柏レイソル)と”ホープ”が並ぶ。交代出場した堂安律(20歳/フローニンゲン)、北川航也(22歳/清水エスパルス)も進境著しい。

 この夜は出場機会がなかったものの、中島翔哉(24歳/ポルティモネンセ)、遠藤航(25歳/シント・トロイデン)も、コスタリカ戦では及第点以上のプレーを見せていた。続々と新鋭選手が入り、若返りを遂げつつある。日本代表は革新され、ロシアW杯で伝説を残したチームを超えるのか?

 森保ジャパンには、パナマ戦でコスタリカ戦に続いてパナマ戦も3-0の快勝を飾って、どこか楽観的なムードが漂っている。

 2試合連続で先発した南野は、風格を増した。この日、縦パスをディフェンスラインの前で受けると、裏に抜けるトラップからのドリブルでラインを破り、左足で流し込んだ。ボールを前に運ぶ推進力とゴールを仕留める際の落ち着きは、欧州でプレーする経験のなせるわざか。ゴールへ向かう迫力は傑出していた。2得点目も、ゴールに突き進むようなプレーでシュートまで持ち込み、こぼれ球を伊東が押し込んだ。

「左サイドからの攻撃には手こずった」

 パナマのガリー・ステンペル監督が語ったように、南野、伊東、室屋が絡んだ日本の右サイドからの攻撃は脅威を与え、若い力のほとばしりがあった。

 しかしチーム全体としては、手放しで喜べるような内容でもない。

「ミスも少なくなかったし、ボールを奪われる悪い時間帯もあった。90分間を通し、安定してプレーできるようになる必要があるし、もっと得点も取れた。自分たちのことは自分たちがわかっています」

 ピッチでの舵取りを任せられた青山敏弘(サンフレッチェ広島)はミックスゾーンで洩らしている。

 森保一監督も試合後に指摘したように、不用意なボールロストは少なくなかった。強豪相手だったら、致命傷になっていただろう。

 見過ごせないのは、ボールを失ったとき、カウンターを発動されていた点で、パナマの拙攻によって守り切れた場面も実は少なくなかった。スキルとコンビネーションには改善の余地がある。

 現時点では、「出場機会を与えられた若手選手が士気の高さで結果を出している」というのに近い。

 もっとも、その状況こそが若返りを図るチームには必要なのかもしれない。キャップ数の少ない選手たちが、自分たちで時代を作ろうと必死になっている。その連帯感と野心が、ポジティブな連鎖を生み出しつつある。

「自分が高い位置を取るのを敵は嫌がっていた。前半は(伊東)純也に中へ入ってもらって(自分は外に出て)、後半は(純也を前で)使う場面も出てきたし。実戦の中で合わせながら、って感じですね」

 室屋がそう語っているように、今は呼吸をつかんでいるところなのだろう。

 そんななかで新たな発見もあった。

 後半66分に出場し、代表デビューを飾ったFW北川航也(22 歳/清水エスパルス)は、非凡なセンスを証明した。ワンタッチで川又堅碁(ジュビロ磐田)にパスを流し、ゴールに向かって効率的な選択をしたのと同時に、ゴールを取れるポジションにもいち早く入った。相手ボールになったときのプレッシャーの掛け方もうまく、出どころに蓋をすることでミスを誘発し、ショートカウンターにつなげていた。

 攻守両面で、シンプルな判断を高い精度でやってのける。代表を長く支えてきた岡崎慎司に近い印象だが、持っているスキルはそれ以上だ。

「できるだけ多くの選手がピッチに立って、力を見せてほしいと思っています。A代表デビューとなった選手が、経験のある選手とプレーし、化学変化というか、(世代を)融合するように。試合を戦うなかで、戦術の浸透やチームとしてのレベルアップを目指したい」

 森保監督はこう明らかにしたように、チームを刷新しつつある。過去の代表チームと比較しても、申し分のない船出と言えるだろう。ルーキーたちが、戦術、システム、プレースタイルでかみ合い、ベテランと融合すれば、革新も期待できる。ただし、日本人監督のおかげで(脆弱な相手も含めて)、混乱なくプレーできている部分は差し引くべきなのだろう。

 16日に行なわれる、世界有数の強豪であるウルグアイ代表を相手にした戦いは、船出したばかりの若いチームにとって、ひとつの試金石になるはずだ。