伊東(14番)と室屋(左)は何度か右サイドから好機を演出したものの、トップスピードの使い方に問題が。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 正直勝つには勝ったけど、もう少し手応えのある相手じゃないと、正しい評価を下すのは難しいね。

 フレッシュな選手たちが、前回のコスタリカ戦に続いて必死にアピールしようしていたし、森保監督からも、いろんな選手を試して1月のアジアカップに備えたいっていう意欲は感じたけど、相手が相手だけに、チームとしての力量がいまひとつ推し量れなかったね。

 パナマはチームとしてのコンビネーションがほぼ皆無で、なんとなく個人の力でパスをつなぎ、なんとなくクロスを入れて、それでも3回くらいは決定機を作ったけど、あのレベルの相手だと、日本の悪いところが浮き彫りになってこないんだよね。
 
 僕が気になったのは右サイドのふたり、伊東と室屋の動きだね。ふたり揃って、「ボールを受けたら100%で!」みたいなプレーを見せていたけど、あれ、もうちょっとなんとかならんかな。

 室屋を攻撃に参加させる一方で、逆サイドの佐々木を絞らせて、冨安、槙野と3バック気味で守るというやり方の中で、右サイドはもう、ふたりとも「行ってこい」のサッカーをしているんだよね。走るのも、ドリブルも、オーバーラップも、つねにスピード全快で。あれは観ていてキツかった。

 前に行くことしか考えてないから、「止まる」ってことができないんだよね。いや、いいんだよ、彼らは一生懸命やっていたし、高いテンションでプレーできているのは悪いことじゃないから。ただ如何せん、プレーに余裕がなさすぎたな。

 右から相手に圧力をかけようという狙いはわかったけど、スピードに乗った状態でしかいいプレーができない彼らが止められた時の対応がお粗末。さあ、逆サイドに展開しようと思っても、佐々木が内に絞ってストッパーのような位置にいて、前の原口との距離感が開きすぎているから、次の展開にスムーズに移行できない。

 佐々木のオーバーラップが期待できないところは、大迫が縦に流れたり、南野が遅れてサポートしてカバーしようとしていたけど、そうなると今度は彼らがゴール前で本来すべき役割を果たせなくなる。かといって、原口が単独突破で内に切れ込んでいっても、潰されてマズい取られ方をすると一気に持っていかれる。

 そこを攻め切る力が今日のパナマになかったから大事には至らなかったけど、あれがもう少し力のあるチームだったら、そう簡単にはいかなかったはず。

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 原口の状態が良かったから、相手に疲れが見え始めた後半に彼のサイドから2ゴールが生まれたけど、左右の攻撃のバリエーションとバランスには、改善すべき点が数多く見られたね。まあ、これが右に堂安がいて、左に中島が入ったりすると、コスタリカ戦のようなワクワクするような展開が見られるのかもしれないけどね。

 あと、これはクセのようなものだから簡単には修正できないと思うんだけど、室屋にしても伊東にしてもボールが足下から離れすぎ。ああいうプレーを見ると、残念だけど「あぁ、アジアだなぁ」って思っちゃうんだよね。

 前にスペースがあるとき、スピードに自信のある伊東なんかはとくにそうなんだけど、決まって前に大きく出してトップスピードでプレーしようとする。でも、あれだけボールが足元を離れたら、いくらスピードがあってもDFからしたら、それほど対応は難しくないよ。

 前方に敵がいないときこそ、8割くらいのスピードで、ボールタッチを細かくして、身体からボールが離れないようにドリブルをすべきなんだ。パスも出せるし、シュートも撃てるしっていう状態を維持して、そこからフェイントをかますとか、さらにスピードを上げるとか、そういった余裕がないと、正直、どんなにスピードや運動量があっても世界では戦えない。
 
 スピードのある選手ほど、「トップスピード」の正しい使い方ってヤツを身に付けてほしいものだよ。室屋なんかも、終盤に縦に抜けてボールがゴールラインを割ってしまうというシーンがあったけど、なんであの場面でトップスピードになる必要があったのか。前に敵がいないのに。ホント、理解に苦しむよ。

 そして周囲も、もはやああいうプレーを「惜しい」という感覚で見てはいけないと思うんだ。前が空いてるからってなんでもかんでも縦に突っ走る必要はないんだし、それでゲームのリズムを壊してしまうくらいなら、一度止まって、時間をかけて攻撃すればいい。もっと視野を広げてほしいよね。
 
 コスタリカ戦より良かったなって思えたのは、ダブルボランチの一角を担った青山だね。彼のドリブルや中距離のパスが、チームに縦方向への推進力を与えていたし、そういったプレーが頻繁に見られるようになった後半は、自然と前線の4人の良さが引き出されていたよね。

 もちろん、その青山の活躍の裏には、三竿の適切なカバーリングがあったわけだけど。今日の三竿は、それほど目立った動きをしていたわけじゃないけど、中盤で確実に相手の攻撃の芽を摘んでいたし、かなり効いていたよ。

 ただ、青山がパサーとして機能したのも、三竿のディフェンスが効果的だったのも、相手がお世辞にも強いとは言えないパナマだったから…というところはある。強豪国が相手だったら、正直どうなっていたかわからない。

 だからこそ、ウルグアイ戦が楽しみなんだ。スアレスが不在とはいえ、カバーニがいてストゥアニがいて、他にもラクサール(ミラン)やベンタンクール(ユベントス)やトレイラ(アーセナル)といったヨーロッパでプレーしている20代前半の若手もいる。そして最終ラインにはゴディンという世界屈指のCBも。
 
 そうしたチームを相手に、日本はどのようにして戦うのか。たぶん、相当難しいと思うんだよね。

 南野が2試合連続ゴールを奪って、左利きの川又も面白い存在になりうるという予感を感じさせてくれたけど、その一方で、今日の大迫はあまりに出来が悪すぎた。ボールもそこまで収まってないし、周りも見えていない。散々パスミスを繰り返し、ストライカーにとってもっとも重要な「点を取るような雰囲気」すら感じられなかった。

 大迫が能力の高い選手だっていうのはわかっているし、いまの日本にとって代えの利かない存在であるのはたしかだけど、ゴールの匂いすら感じられないようではね。

「大迫がなにかをやってくれそう」って思いながら今日の試合を観ていたファンは、何人いただろう。次のウルグアイ戦では、「さすが日本のストライカーだ!」っていうプレーを、彼には期待したいよね。