10月12日、16日とサッカー日本代表はパナマ、ウルグアイと対戦する。その強化試合を前に、テレビ朝日の竹内由恵アナウンサーが注目しているポイントや、印象に残る取材現場での森保一監督の言葉やエピソードとは――。

 森保一監督が日本代表に就任して2試合目となる『キリンチャレンジカップ2018』パナマ戦が10月12日に、そして3試合目となるウルグアイ戦が16日に行なわれます。(12日よる7時32分〜 16日よる7時〜≪※一部地域を除く≫ テレビ朝日系列で放送)

 森保監督には、サンフレッチェ広島を率いていた時にも何度かお話をお聞きしたことがあったのですが、そのころから「穏やかで優しい監督」というイメージでした。選手からは「ポイチさん」と呼ばれて親しまれ、現役時代のプレースタイル同様、とてもバランス感覚に優れた指揮官という印象を持っています。


パナマ戦、ウルグアイ戦に臨む日本代表の森保監督 photo by Matsuoka Kenzaburo

 先日、『報道ステーション』の収録で、その森保監督と野球の日本代表「侍ジャパン」の稲葉篤紀監督の対談が行なわれ、ともに東京五輪を目指す監督ということもあり、とても盛り上がりました。取材時間が終わってもおふたりはずっと話しあっていたほどで、稲葉監督も森保監督も東京五輪で金メダルを取りたいと熱く語り合っていました。

 監督としていちばん大切にしていることがテーマになると、森保監督のそれは「プレーヤーファースト」。それぞれの選手の本来の良さを最大限に引き出し、力を発揮できるようにすること。そして、各選手の個性を生かす。なによりも選手それぞれが思い切ってプレーできる環境を整える。もちろん、選手にチームとしての指針や目標を示すことはしますが、押さえつけるのではなく、選手の自主性、自分で考えることを尊重するマネジメントを心掛けているといいます。そしてそれは、稲葉監督の考え方とも共通していることでした。そうしたふたりの監督の選手とのコミュニケーションの方法や、選手に自主性や自立を求める点を考えると、まさに今の時代にふさわしい指揮官なのだと思います。

 その後、対談がロシアW杯の話題になると、稲葉監督も日本代表の試合はテレビで観戦されていたそうで、とくにグループリーグのポーランド戦については、非常に関心があったそうです。

 この試合は、後半残り約10分で日本がポーランドに1-0とリードされていたものの、このまま試合が終われば、フェアプレーポイントの差で日本の決勝トーナメント進出が決まる可能性が高い状況だったため、日本は攻めることなくそのまま試合終了。決勝トーナメント進出を決めましたが、その試合運びが話題になった一戦でした。そんな試合で、監督は何を考えて、あの決断をしたのか。稲葉監督はとても興味深く見た試合だったということでした。

 コーチとしてポーランド戦を経験した森保監督は、「あのシーンは日本サッカーの成長が見えた戦い」と表現していました。勝ち点を取りに行くことが何よりも求められる勝負の世界。日本には正々堂々戦うという考え方があるなかで、それに加えて、状況に応じて前に進む選択をすることができた。その意味で、「ひとつの転換点になるのではないか」と考察されていました。

 当然、チーム内には葛藤があって、試合後、監督が選手に謝罪したという報道があったように西野朗前監督もあの選択は「本意ではなかった」と森保監督はお話しされていました。それでも森保監督は「シミュレーションをしていたことのひとつではあるし、選手にも伝わっていたが、選手全員が納得したかどうかはわからない。でも、あの試合で勝ち上がったことは大きい。結果を残すために、勝ち進むことが大事」と苦渋の決断の舞台裏を語ってくれました。

 次に、「キャプテン」について話が移り、稲葉監督が「いまはまだ定めていない。それは、選手がこの人がキャプテンだと認める人がいまのところ出てきていないので、無理やり決めなくてもいいと考えています。もちろん、キャプテンがチームをまとめてくれることがベストです」とチームの現状と、今後の見通しの一端を語ると、森保監督も「キャプテンを誰にするのかは、メディアに聞かれることも多いですし、何人か候補を考えていますが、キャプテンはつくられるものというより、自然と認められて出てくるものだと思っています。練習や普段の行動を見て、時間をかけて決めようと考えています」と、ここでもおふたりは同じような考えでした。

 12日のパナマ戦、16日のウルグアイ戦で誰がキャプテンマークを腕に巻くことになるのか、注目したいですね。

 先日のメンバー発表の会見でも話されていたように、森保監督が掲げているのは「全員攻撃、全員守備」。『報道ステーション』のインタビューでも、「チームのために戦える選手を選んでおり、とくに守備にこだわりがある」と語っています。また、初戦のコスタリカ戦については「ピンチの数が少なかったのでよかった。ボールをロストしたときの切り替えの早さ、すぐにプレッシャーをかけに行けたことが評価できる」と分析。欧州のトップクラブでも切り替えの早さ、すぐにボールを奪い返すことが徹底されているのと同様、代表レベルでも、求められることが今後さらに高度になっていくのだと感じます。


photo by Yamamoto Raita

 また、森保監督は攻撃面では、個だけではなく、多くの選手が連動し、チームとして組織力を生かして攻めることを追求しています。同時に、「常にボールを保持して攻撃的にいきたいですが、いつもそれができるとは限らない。受けに回った時も、崩れずに戦っていけるようにしたい」と、パナマ、ウルグアイという強豪相手との試合をシミュレーションしていました。

 今回の2試合には、ロシアW杯に出場した選手も招集されています。実績十分の選手と新戦力がどんな化学反応を見せてくれるのか楽しみです。個人的には、とくに前線の大迫勇也選手と中島翔哉選手、堂安律選手らがどんな連係を見せてくれるのかに注目しています。各世代の融合、化学反応によってさまざまな攻撃のバリエーションを見せてほしいですよね。

 森保監督は「まだまだ試したい選手がたくさんいる」とおっしゃっていたので、この先、11月の強化試合、1月のアジアカップ、そして次のカタールW杯まで、日本代表がどんなチームになっていくのか目が離せません。