10月6日に閉場する東京・築地市場

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 豊洲移転に伴い、東京・築地市場はきょう10月6日で閉場、83年の歴史に幕を下ろします。7日から引っ越しが本格化しますが、市場内には野良猫やネズミがすみついており、関係者は閉場後も対応に追われます。特に、ネズミについては周辺地域への移動を懸念する声があり、都や中央区が駆除を進めています。都と区の担当者に聞きました。

天敵が消え、えさも失ったネズミは…

 築地市場の監察担当者によると、場内には多い時期で200匹近い野良猫がすみつき、約10年前から、都の委託を受けた動物愛護団体が猫を保護し、去勢や不妊手術をしてきました。約30匹に減った残りの猫も、すでに愛護団体が保護しています。

 中央区は2019年3月をめどに、市場内にいた野良猫の保護施設を区立晴海臨海公園内に整備します。猫を保護している愛護団体から「保護スペースが足りない」と相談を受けていたためです。施設は鉄骨平屋の2棟で、電気や水道も使用可能。整備費として、区は本年度一般会計補正予算に5626万8000円を計上しています。施設は愛護団体に貸し出し、猫の保護や譲渡などの拠点にする予定です。

 猫たちの「引っ越し先」は確保されたわけですが、中央区保健所生活衛生課の担当者は「猫を保護してもらえると考え、施設周辺に猫を捨てる人がいるのでは」と懸念しており、「猫を捨てないで」と呼びかけています。

 天敵である猫がいなくなったことや、えさを失うことで、懸念されるのがネズミの移動です。都と中央区は、市場内だけでなく周辺に生息するネズミの駆除を強化。築地市場の監察担当者によると、ゴールデンウィークやお盆、9月の連休中、場内でネズミ駆除を行いました。

 通路や下水溝に粘着シートを貼ったほか、ごみ集積場の周辺に捕獲用かごを設置。ネズミが通りそうな場所に殺鼠(そ)剤入りのえさをまき、これまで約1800匹を捕獲しました。また、敷地周辺で塀がない部分には、高さ1.5メートルの樹脂製の波板を設置するなどして、ネズミが場外に出るのを阻止しています。

 場内になお「居座る」ネズミの数は分かりませんが、豊洲市場への引っ越し調整期間にあたる10月11日から17日と、解体工事の初期段階にあたる10月18日から11月16日にも、都は引き続き駆除をする予定です。「えさがなくなり、出てきたところを捕獲したい」としています。

 中央区も7月に特別チームを編成し、築地、銀座、勝どきの3地区でネズミの駆除にあたっています。11月からは区内全域で駆除を実施します。

 豊洲移転後も営業を続ける場外市場など、築地市場周辺には飲食店が多く、市場から約2キロ離れた場所には、外国人観光客も多く訪れる銀座があります。天敵とえさがなくなったネズミの移動を防げるのか。関係者は気をもみながら、閉場の日を迎えます。