リーグ戦4連敗中の神戸。今後の日程もまた、厳しい【写真:Getty Images】

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世界的名手の獲得には乗り越えるべき問題も伴う

 ヴィッセル神戸は22日、J1第27節で浦和レッズとアウェイで対戦して0-4と敗戦を喫した。アンドレス・イニエスタの不在が響いたことは間違いないが、チームが解決すべき問題は少なくない。過去にも攻撃の名手を獲得したことでバランスを崩したチームがあるように神戸も歴史を繰り返すのか。(取材・文:ショーン・キャロル)

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 浦和レッズが埼玉スタジアムのチケットを全席完売したのはAFCチャンピオンズリーグで優勝を飾った時以来だった。日曜日の試合ではアジア王者にふさわしいパフォーマンスを披露し、ヴィッセル神戸を4-0で粉砕してみせた。

 しかし、オズワルド・オリヴェイラ監督のチームの戦いぶりは確かに印象的ではあったが、神戸からさほど対抗を受けなかったこともまた事実だ。まとまりがなく組織力を欠いた神戸は守備が崩壊し、攻撃面でもほとんど何もできていなかった。

 アンドレス・イニエスタのプレーを生で見るためにチケットを購入していた数多くのファンと同じくらい、神戸の選手たちも背番号8の不在に戸惑っているかのようだった。ファンの間でもメディアの間でも、イニエスタの欠場が大きな話題となったのは驚くにはあたらない。

 世界的なスター選手を獲得すれば、ピッチ内外で好影響がもたらされる。たとえばイニエスタが日本で決めた最初の2ゴールもそうだし、Jリーグの露出の面で大きなブームが巻き起こされたことも間違いない。だが神戸のここ最近の苦戦は、そういった選手の獲得には乗り越えるべき問題が伴うことも示している。

 その問題の中でも特に大きなもののひとつは、チームの完成度を高めるための質の高い部品として新戦力を組み入れるのではなく、スター選手へのある種の依存過剰に陥ってしまうことだ。試合の勝利を決めるような極上の瞬間をほぼ一人で生み出す力がイニエスタにあることは確かだが、もちろん限度はある。その頻度は彼の周囲のマーケティングが示唆するほど高いわけではない。

重要視すべきは“守備の名手”

 サッカーは個人スポーツではなくチームスポーツである。レッズ戦の神戸のようにチームメートたちが酷い守備をしているようでは、サッカー界屈指の偉大な選手の存在も結局はほとんど無意味となってしまう。

 たとえイニエスタがピッチ上にいたところで、渡部博文のマークを難なく逃れた興梠慎三の42分の追加点を止める助けには全くならなかっただろう。高橋峻希が浦和の3点目に繋がるボールを武藤雄樹にプレゼントするのを止めることもできなかっただろう。

 アンドレス・イニエスタを獲得するチャンスが訪れたなら、もちろん逃すべきものではない。だがJリーグクラブが大物選手を獲得しようとする時、守備的MFやセンターバックの獲得を試みようとはせず、いつも攻撃的な選手を選んでしまうのは残念なことだ。

 ゴールを生み出す選手、ゴールを決める選手の方がはるかに魅力を感じさせる補強であることは確かだ。だがSNS上での話題性を高めることでなくタイトルを獲得することが最終的な目標なのであれば、相手の侵入を食い止める選手たちも同じくらい重要な存在となる。

 本物のトップレベルの選手を迎え入れることのもうひとつの難しさは、そういう選手たちの扱い方をよく知らない可能性があるという部分だ。神戸はイニエスタとの契約からわずか4ヶ月で監督を交代し、吉田孝行監督に代わってフアン・マヌエル・リージョ監督が就任することになった。

 新監督がより堅固で一貫した組織を導入し、イニエスタとルーカス・ポドルスキから最大限の力を引き出してくれることが期待されているはずだ。埼玉で90分間を戦い抜いたポドルスキも試合にインパクトを及ぼすことができず苦戦していた。

 ポドルスキにできることは多くなかったと言っていいだろう。イニエスタが不在の状況で、元ドイツ代表FWは「何かを起こす」役割を強いられ、ボールを受けてゲームを組み立てるために信じられないほど低い位置まで下がらざるを得ないことも多かった。欧州でのキャリアを通してチャンスメークよりフィニッシュを担ってきた男にとっては厳しい注文だ。

4連敗の神戸、この先も日程は厳しく

 リージョ監督が長期的な発展をもたらすかどうかはまだ分からない。スペイン人指揮官にはACL出場に向けて終盤戦に追い上げを見せることが求められるが、まずは残留争いの集団を引き離すことを最初の目標とする必要があるだろう。

 神戸はACL出場圏内のFC東京と8ポイント差だが、16位の柏レイソルとはわずか6ポイント差。ここ最近の調子を見る限りでは、上位を争うチームよりも下にいるチームに注意した方が良さそうだ。

 ポドルスキも同じことを考えている。

「ミスを犯せばゴールを奪われることになる。こういう結果になったのは相手よりもはるかに多くのミスを犯してしまったからだ」と浦和戦の屈辱的な敗戦後に話していた。

「何より大事なのはこの結果を受け入れることだ。今まではACLを狙うという話をしてきたが、残留争いにも近づきつつある。上も下も差は小さい。自分たちのいる場所をしっかり受け止めて、順位を上げていけるように取り組まなければならない」

 神戸はこれで4連敗となった。今後数週間の試合日程も楽なものではない。

 土曜日にはホームで鹿島アントラーズと対戦。レッズに続いての大陸制覇を目指して順調な戦いを見せつつ、3位浮上も狙っているチームだ。続いて10月6日には最下位だが連勝中のV・ファーレン長崎をノエビアスタジアムに迎える。

 インターナショナルブレークを挟んで翌週は川崎フロンターレとのアウェイゲーム。昨季王者は今季のタイトル獲得に向けサンフレッチェ広島とのマッチレースを演じている真っ最中だ。

 その頃までに勝ち点を獲得できていなければ、神戸が残留争いに巻き込まれている可能性は高い。昨夏にポドルスキを獲得した時点でその状況を予測していた者は多くはなかっただろうし、今年5月に契約したイニエスタももちろん想定していなかったことだろう。

(取材・文:ショーン・キャロル)

text by ショーン・キャロル