U−16日本代表は、世界への切符を懸けた準々決勝でオマーンと対戦する。写真:佐藤博之

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 20日に幕を開けたU-16アジア選手権。U-17ワールドカップのアジア最終予選を兼ねるこの大会に臨んだU-16日本代表は、2勝1分の戦績でグループリーグを1位通過。実質的な「世界大会出場決定戦」となる30日の準々決勝へと駒を進めた。
 
 タイとの初戦は開始2分であっさり失点する最悪のスタートとなったが、なんとか巻き返してFW荒木遼太郎(東福岡高)の2ゴールなどから5得点を叩き込んで、5-2と快勝を飾った。続くタジキスタン戦は先発7名を入れ替える大胆な用兵で臨むも、ここは相手の徹底した守備を崩し切れずに0-0のドローに終わった。
 
 悔しい結果になったとはいえ、主力の温存という2番目の目的は達成しており、地元マレーシアを向こうに回した第3戦はFW唐山翔自(G大阪ユース)の先制弾などから2-0と快勝。最後は地元チームの足が完全に止まる中で日本は走り切る流れで、練習量を含めて体力面の慎重なマネジメントを試みてきたことが奏功する形となった。
 
 グループリーグでは、大会直前になってチームへ復帰してきた荒木が序盤戦で得難い仕事をこなし、3試合すべてフル出場した主将のDF半田陸(山形ユース)はタイ戦でこそ失点に絡んでしまったが、その反省も踏まえながら残りの時間はさすがのプレーぶり。1対1での強さや素早いカバーリングでゼロ封に貢献し続けた。また、出れば必ず結果を出す点取り屋としての資質を見せ付けた唐山、高円宮杯プレミアリーグで首位を独走する鹿島ユースの守護神・山田大樹の安定感も頼もしかった。
 
 とはいえ、ここまでの戦いは言ってみれば、助走段階に過ぎない。次の試合こそが本番だ。森山佳郎監督が「この試合で勝つためにやってきた」と位置付ける準々決勝。4強入りすれば、U-17ワールドカップ出場権が手に入るが、負ければそこで終幕である。「勝てば世界、負ければなにもなくなる」(同監督)、極限のワンマッチだ。
 
 対戦相手は中東の強豪オマーン。U-16年代では過去にも輝かしい結果を残してきた難敵である。スピードのあるアスリート能力に秀でたアタッカーが多いだけに、迂闊なボールロストからカウンターを受けるような流れは厳に避けたいところ。これはタイやマレーシアへの対策とも共通する部分があるので、うまく応用できれば理想的だ。
 
 グループリーグ第3戦が雷で一日順延されてしまった影響により、準々決勝まで中3日あるはずだった日程が中2日になってしまったのは地味に痛い。体調不良になる選手が出るなど不慣れな環境で過酷な連戦を消化しているダメージも16歳の身体に徐々に出てきたタイミングだけに、正直に言えば1日多く休みたかったところではある。
 
 ただ、だから勝てないなんてことは当然ない。
 
「そこで勝つためにずっと活動してきたんで」とMF成岡輝瑠(清水ユース)はチームの総意を代弁するように言い切る。必ずしも順風満帆で来たチームではなかったが、「1試合ごとにチームがひとつになってきている」と半田が言うように、大会に入ってから確実にひとつのチームとして完成度も上がってきた。
 
 チーム解散か、世界舞台へのテイクオフか。日本時間の30日17時半から、世代の未来をも左右する戦いの火蓋が切って落とされる。
 
取材・文●川端暁彦(フリーライター)