新型iPhone、アップルにとって最大の旨味はストレージの利益?部品の値下げが価格に反映されてないとのうわさ
今月21日に発売されたiPhone XSiPhone XS Maxにて、アップルにとって最大の魅力はストレージの利益であるとの分析が報告されています。

これら新iPhoneに搭載されているNand型フラッシュメモリの製造コストは25セント/GBに対して、アップルは顧客に78セント/GB(ストレージ64GB版と512GB版の差額=350ドルから概算)請求しているとのこと。同社は64GB版よりも512GB版から、241ドルも収益を上げていると伝えられています。米Bloombergによると、アップルは世界的なスマートフォン売上減速に取り組むにあたり、新たなデジタルサービスを提供したり、コモディティ化(高付加価値だったものが価格が下がり、一般的な商品になること)した部品からより多くの利益を得て対処しようとしているとのこと。その後者の例が、ストレージによる増収というわけです。

IHSマークイットのアナリスト、Wayne Lam氏いわく「アップルにとってはチップを交換するだけで済みますから。画面サイズを大きくすると、端末を完全に再設計する必要がありますし」とのこと。

そこで取られたとされる戦略が、ストレージ容量ごとの差額です。iPhone XSの場合、アメリカでは256GB版と64GB版の差額が150ドルに対して、組み立てやソフトウェアにかかる費用を除いたストレージのコストは前者が66.24ドル、後者が23.68ドルで約42.6ドルの違い。すなわち、150ドル-42.6ドル=約107ドルもの利益が上積みされた計算となります。

さらに512GBと64GBの価格差は350ドルですが、前者のストレージ費用は132.48ドルでコストは約109ドル増に留まります。つまり、「512GB版のほうが64GB版より、1台あたり241ドル儲かる」と見積もられるわけです。

ちなみに2017年モデルのiPhoneでは、64GB版と256GB版の価格差は150ドルに対して、アップルが余分に得られた利益は107ドルだったとのこと。この2つについては変化はないものの、512GBモデルを追加することで「ストレージで儲ける」傾向は強まっているようです。

さらにNAND型フラッシュメモリ価格は去年より下がっているにもかかわらず、価格には反映されていません。もっとも、Bloombergはアップルが価格を固定した調達契約により、まだ利益を得ていない可能性もあると指摘しています。

とはいえ、サムスンのGalaxy Note 9ではストレージ128GB版と512GB版の差額は65セント/GBと見積もられ、新iPhoneよりも控えめだとか。iOS機器でmicroSDカードなどが使えず、大容量の内蔵ストレージを利用するにはアップルが用意したオプションを選ぶしかない方針が、ビジネス上で有利に働いているのかもしれません。