ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 秋の中山・阪神開催も3週目。GIシリーズへ向けたトライアル戦、前哨戦が真っ盛りです。今週も、東西で注目の前哨戦となるGII、2レースが行なわれます。

 阪神競馬場で行なわれるのは、3歳牡馬三冠の最終戦となる菊花賞トライアルの神戸新聞杯(9月23日/芝2400m)。今年は、ダービー馬と皐月賞馬がそろい踏みして注目されますが、中山競馬場で行なわれる秋の古馬”王道路線”の前哨戦オールカマー(9月23日/芝2200m)もまた、今後を占う意味で重要な一戦となります。

 近年、好走例の多い牝馬の参戦が今年はないのですが、代わりに、復活をかけた実績馬、2015年のGI有馬記念を制したゴールドアクター(牡7歳)や、昨年のGII日経賞2着以来の出走となるミライヘノツバサ(牡5歳)など、興味深いメンバーが集結し、馬券的には面白くなりそうです。そこで、ここではオールカマーを取り上げたいと思います。

 ところで、以前にもこのコラムで触れたことがありますが、このオールカマーが行なわれる中山・芝2200mというコースは、きれいな楕円形の芝2000mとは大きく異なり、独特なコース形態をしています。ゆえに、騎乗するほうとしても、やや乗り難い舞台と言えます。

 とりわけ厄介なのが、向こう正面です。普通はどのコースも、直線のバックストレッチがあるのですが、中山の外回りは向こう正面が”おにぎり型”のようになっていて、コーナーをずっと回っているような感覚に陥ります。その分、外を回すと常に外に振られてしまっている印象を受けます。

 しかも、はっきりとした2コーナー、3コーナーがないため、ペースがどこで緩むのか、あるいは上がるのか、その辺が微妙なところで、他のコースに比べて判断しづらい点があります。結果、乗り手には難しい対応を迫られます。

 同じ中山・芝2200mで行なわれた先週のセントライト記念でも、1番人気を背負っていたレイエンダ(2着)は、外枠だったこともあって、少し大事に乗っていた感がありました。おかげで、前を行くジェネラーレウーノの押し切りを許してしまいました。こうした結果に終わったことも、このコースならではでしょう。

 そして、今回のオールカマーには、そのレイエンダの全兄レイデオロ(牡4歳)が出走します。鞍上も同じクリストフ・ルメール騎手。先週のことがあるので、今度はもう少し積極的な競馬をするのではないでしょうか。

 レイデオロは昨年のダービー馬で、ジャパンカップではゴール前でキタサンブラックをとらえて2着と好走しました(勝ったのはシュヴァルグラン)。今春のパフォーマンスはパッとしませんが、紛れもなくGI級の、現役屈指のトップホースであることは間違いありません。

 この秋の競馬を盛り上げるためにも、いい競馬を見せてほしいですね。

 強敵となるのは、昨年の皐月賞馬アルアイン(牡4歳)。こちらは、その皐月賞以来勝ち星がありませんが、今回と同舞台のセントライト記念で2着。レイデオロよりもコース実績はあります。

 また、今春のパフォーマンスも、結果は出ていませんが、トップホースに恥じない内容の走りを見せています。その安定した走りは、レイデオロよりも安心感がありますね。

 鞍上は、今回初騎乗となる北村友一騎手。その点は多少気になるところですが、ちょうど同じような立ち位置となる松山弘平騎手で皐月賞を制しました。しかも、北村騎手はこの夏の小倉でリーディングジョッキーに輝いた、今勢いのあるジョッキーですから、問題はないでしょう。

 レイデオロ&ルメール騎手にどこまで肉薄していくのか、見物です。

 神戸新聞杯とオールカマー、奇しくも東西で同世代のダービー馬と皐月賞馬が対決することになりました。そういう意味でも、それぞれ楽しみなレースになりましたね。

 さて、オールカマーの「ヒモ穴馬」ですが、独特なコース形態ということで、先週のセントライト記念を勝ったジェネラーレウーノのような馬を取り上げたいと思います。注目しているのは、ガンコ(牡5歳)です。


中山・芝2200の舞台が合っていそうなガンコ

 昨年末、久しぶりの芝のレースで1000万条件を圧勝すると、その勢いでハンデ重賞のGII日経新春杯(1月14日/京都・芝2400m)に挑戦して、3着と善戦しました。となれば、その後に自己条件の1600万特別を楽勝するのは当然のこと。続く日経賞(3月24日/中山・芝2500m)でも”横綱競馬”で完勝し、初の重賞制覇を成し遂げました。

 日経賞ではGIIとはいえ、GI級のメンバーがそろっていたわけではなく、メンバーレベルもそこまで高かったわけではありませんが、別定戦で、しかも自ら勝ちにいくレースをして快勝。力をつけていることを再確認できた一戦でした。

 聞けば、昨年末の勝利の前には、障害入りするために障害の練習をしていたそうですね。それが、ガンコの筋力、体力アップにつながったのでしょう。まさにガラッと一変していました。

 日経賞のあと、GIの天皇賞・春(4月29日/京都・芝3200m)では14着と大敗を喫しましたが、使い詰めだったことや、距離など、敗因はいろいろと考えられます。そこから休んでリフレッシュして、今回は実績のある中山の中距離戦です。

 強力なGI馬が相手となりますが、1カ月以上前からじっくりと乗り込んで仕上がりも進んでいるそうです。日経賞同様のパフォーマンスを見せてくる可能性は、大いにあると踏んでいます。 この馬もまた、どんな競馬をしてくれるのか、楽しみな1頭です。