秋の古馬”王道路線”となるGIシリーズの前哨戦、GIIオールカマー(中山・芝2200m)が9月23日に行なわれる。

 過去10年で1番人気が3勝、2着4回、3着1回と安定した成績を残しているため、比較的”堅いレース”といった印象があるが、過去には伏兵の台頭が何度か見られている。代表的なのは、2013年に9番人気で勝ったヴェルデグリーン。休み明けながら、重賞実績豊富な人気馬たちをまとめて蹴散らした。

 また、2010年には5番人気のシンゲンがドリームジャーニーら実力馬を下して勝利。昨年も5番人気のルージュバックが勝って、初秋のお馴染みの一戦は、意外と波乱含みのレースなのである。

 その他、2、3着に人気薄が飛び込んでくることが多く、2014年には2番人気のマイネルラクリマが勝利し、2着に7番人気のラキシス、3着に12番人気のクリールカイザーが入って、3連単は25万5930円という高配当をつけた。

 とすれば、穴党の出番も十分にある。そこで、過去10年の結果を参考にして、今年、人気馬にひと泡吹かせそうな「穴馬」を探し出してみたい。

 まず注目したいのが、先述したヴェルデグリーン。同馬はその年の1月から3月にかけて、500万下、1000万下、1600万下と3連勝を飾った。まさに”上がり馬”と言える勢いを見せていたが、重賞初挑戦となる続くGIII新潟大賞典(新潟・芝2000m)で10着と惨敗。そのまま休養に入った。

 そして、およそ4カ月半の休みを挟んで臨んだオールカマーで、見事な勝利を挙げた。初重賞で馬群に沈み、さらに休み明け初戦ということもあって、人気は急落していたが、休養中に立て直しを図って結果を出した。条件戦とはいえ、3連勝した実力も伊達ではなかったということだ。

 また、前述の2014年に2着に入ったラキシスも、ヴェルデグリーンと似たような状況だった。こちらは、前年の秋に500万下、1000万下と連勝し、そのまま格上挑戦となるGIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)で2着と好走。年が明けてもその勢いは止まらず、重賞戦線で善戦を繰り返した。

 だが、2度目のGI挑戦となったGIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)で15着と大敗し、休養を取った。そして、ラキシスもGIでの完敗、休み明けという状況を受けて、オールカマーでは人気薄となったが、休養中に立て直して2着と巻き返した。

 勢いある”上がり馬”であったなら、一度重賞で大敗を喫したとしても、休養して立て直しを図れれば、再びかつての活気を取り戻せるということ。実は今年、このパターンにはまりそうな馬がいる。

 ガンコ(牡5歳)だ。


アルアイン、レイデオロの「2強」崩しが期待されるガンコ

 同馬は昨年12月に1000万下を制すると、格上挑戦となるGII日経新春杯(1月14日/京都・芝2400m)で3着と健闘。勢いに乗って、続く自己条件の1600万下を制すると、GII日経賞(3月24日/中山・芝2500m)も勝って重賞制覇まで成し遂げた。

 ところが、初のGI挑戦となる天皇賞・春(4月29日/京都・芝3200m)では3番人気に推されるも、GIの厚い壁に跳ね返されて14着と惨敗。その後、休養に入った。

 そして、今回が復帰戦。GIでは力の差を見せつけられたが、使い詰めの影響もあったのだろう。大敗後で、休み明けという条件から、上位人気は見込めないが、休養中に馬体的にも、精神的にも回復していれば、ヴェルデグリーンやラキシスのように、再浮上できるはず。一発があっても不思議ではない。

 続いて目についたのは、重賞で常に善戦していながら、長期休養明けのために人気が上がらなかった馬の激走パターンだ。

 冒頭でも触れた2010年の勝ち馬シンゲンがそう。同馬は前年に重賞を2勝し、GI天皇賞・秋(東京・芝2000m)でも5着に入るなどしていたが、オールカマー出走がその天皇賞・秋以来、約11カ月ぶりのレースだった。そうなると、さすがに上位人気を争うまでにはいかないのも頷ける。

 2012年に6番人気で3着となったユニバーサルバンクも、2走前の天皇賞・春で6着、前走のGII目黒記念(東京・芝2500m)で5着と、重賞で善戦していたものの、やはり目黒記念からおよそ4カ月の休み明けということで、評価が上がらなかった。

 2015年に7番人気で3着に入ったミトラも、前年にGIII福島記念(福島・芝2000m)を快勝。年が明けてからも、GIIアメリカジョッキークラブC(中山・芝2200m)で2着、GIII中日新聞杯(中京・芝2000m)で5着と奮闘していたが、オールカマーではそこから半年ぶり、という点が嫌われて低評価にとどまった。

 しかし、これらの実力馬は、休み明けでもきっちり力を示した。今年、このパターンで狙えるのは、ミライヘノツバサ(牡5歳)だ。

 同馬は昨年、1月のアメリカジョッキークラブCで3着、続く3月の日経賞で2着と重賞で好走を続けていた。しかし、その後は脚部不安で休養。今回は、日経賞以来、約1年6カ月ぶりのレースとなる。

 とすれば、当然人気は望めないものの、重賞で善戦してきた実力であれば、長期休養明けでも十分に戦えることは歴史が証明している。シンゲン同様の復活劇を見せてもおかしくない。

 最後にピックアップしたいのは、中山巧者である。オールカマーの歴史を見ると、やはり中山を得意とする馬の活躍が目立っている。

 例えば、2007年のGI有馬記念(中山・芝2500m)を9番人気で勝ったマツリダゴッホは、「中山の鬼」と称されて、オールカマーでは3連覇という快挙を達成している。

 先に触れたヴェルデグリーンも、それまでに挙げた5勝のうち、3勝が中山だった。さらに、2014年に12番人気で3着に食い込んだクリールカイザーは、それまでの全5勝中、4勝を中山で挙げていたのである。

 その視点で考えると、軽視できないのは、ゴールドアクター(牡7歳)だ。

 2015年の有馬記念を制してGI馬となった同馬。コースは問わない実力馬ではあるが、とりわけ中山では強く、有馬記念以外にも、2016年の日経賞、オールカマーと2度の重賞制覇を果たしている。

 だが、今年はアメリカジョッキークラブC(1月12日)で11着、GI大阪杯(4月1日/阪神・芝2000m)で16着と、ともに最下位。約5カ月半の休み明けという条件も重なって、到底上位人気は見込めない。

 すでに「終わった馬」といった声も囁かれているが、回復に向けてじっくりと調整されてきていれば、得意の中山で復活する可能性は大いにある。人気薄の今回こそ、狙ってみる価値がありそうだ。 それぞれの秋を見据えて、昨年の皐月賞馬アルアイン(牡4歳)とダービー馬レイデオロ(牡4歳)も参戦する伝統の一戦。その「2強」の間隙を突いて、番狂わせを起こす馬が今年もいるのか。ここに挙げた3頭は、その有力候補であることは間違いない。