あまりの楽しさに100泊を突破!

【詳細】他の写真はこちら

「庭キャンプ」の魅力ってなんですか?

「設営しなくていいのが庭キャンプのメリットのひとつ。100回寝ていますけど、ペグは一回しか打っていません」。そう語るのは、音楽プロデューサーの齋藤久師さん。今年の春から自宅の庭でテント泊をはじめ、取材当日になんと通算100泊目を記録! 頑張らずにキャンプが楽しめる「庭キャンプ」、実体験を踏まえてその魅力を語ってもらった。

何かあったら家に避難!「庭キャンプ」は究極の頑張らないキャンプスタイル

自宅前の歩道から見た構図がこちら。住宅街のなかで異彩を放っているが、逆にいろんな人から声をかけられるようになって、近所付き合いも良くなったとか。庭キャンプの相棒に選んだテントは『スノーピーク エントリーパックTT』。タープとテントのセットで5万円というコスパ抜群の人気モデルだ。

千葉県某所。新旧の戸建てが並ぶ住宅街の一角に、突如としてド派手なクルマと場違いなテントが現れる。音楽プロデューサー・齋藤久師さんのご自宅だ。昨年まで都心で生活をしていた齋藤さん一家、実家の建て直しを機に地元の千葉県にIターンしてきたのだが、庭キャンプが楽しすぎてすでに3カ月半が経過しているという。

「当初は引越し後すぐに家の建て直しを計画していたんですが、バタバタしていてなかなか着手できなかったんです。ある日、スノーピークの社長・山井 太さんの書籍を読んでいたら『テントから通ってくる社員もいる』という一文を目にして。これはおもしろそう! と自分も庭にテントを張ってみたのが庭キャンプのはじまりです」

以来、キャンプの楽しさにハマってギアを次々と導入。“玄関開けたらすぐテント”という手軽さもあいまって、設営以来、一度も撤収をしていないそうだ。

「職業柄、日中はクーラーの効いた防音の部屋で黙々と作業をして、夜になるとライブを行うイベント会場へ出向いていきます。この生活を繰り返していると、頭がおかしくなるんですよ(笑)。太陽を浴びないですし、自然との触れ合いがまったくないのですから当然ですよね。だから、あえて日常にアウトドア(非日常)を取り込んでみたら、結果、最高でした。四季を肌で感じることができるし、そよ風にさえも感謝できるようになりました」

暑くて不便な環境に身をおくことが想像以上に楽しく、音楽活動にもプラスになる発見がいろいろとあったとのこと。とはいえ、今年の猛暑はさすがにキツイのでは? と尋ねてみると、「バッテリーがあるので、そこに扇風機をつないで強モードにしてます(笑)。ガマンできないときはすぐに家の中に避難できますしね」とあっけらかん。

キャンプ=自然のなかで楽しむものと思いがちだが、まずは身近な庭でやってみるのは大いにありなのかもしれない。

テント前のリビングスペースにはさまざまな家具や雑貨をレイアウト。齋藤さんならではのカスタムも随所に光る。「先日、ロンドンの友人がわざわざテントに泊まりに来て、家の中には入らずにそのまま帰っていきました。それぐらい、この空間は我が家のメインリビング化しています」

庭キャンプが24時間体制の自衛団扱い まさかの近所のヒーローに!

齋藤さんが庭キャンプを継続しているもうひとつの理由が災害対策。

「ぼくは心配性なので、常にいろんなリスクに備えておきたいんです。キャンプの知識やギアは生きるために必要なものばかり。それらを緊張感なく、日常的にできているので、たとえ自然災害が起きたとしても冷静に対処できそうな気がしてます(笑)」

実際にセンスよくレイアウトされたギアの中にはサバイバルや人命救助に役立つものもチラホラ。そして、「庭キャンプの唯一のリスク」という虫対策も各種アイテムを取り揃えて万全の構えだ。

「庭キャンプのデメリットって、いまのところ虫ぐらいしか思いつきません。だから林業の方が愛用している強力な蚊取り線香や毒を取り除くリムーバー、そのほか各種虫除けグッズは欠かせません」

それにしても、住宅街のど真ん中でキャンプしていることについて、近所の評判はどうなんだろう?

「一見怪しいかもしれませんが、実はご近所からはすごく喜ばれているんです。このあたりは若い人が少なくなってきていて、町内はお年寄りが多いんです。だから毎晩ここで寝泊まりしているだけで、“24時間体制の自警団”としてヒーロー扱いですよ」

たしかに、住宅街で異彩を放っている一方で、治安維持には一役買っていそう。

「ただね、ぼくのイビキがうるさいみたいで。近所の笑いのネタにもなってます」

庭キャンプの影響は計り知れない。

ワールズエンドのスクイグル柄シャツをリメイクして作ったお手製のガーランド。見る人が見ればその価値がわかる垂涎モノの逸品。

九州の流木作家が作ったガーランドもサイトを彩るインテリアのひとつ。

インナーテントにはワッペンカスタムが随所に。生地に穴を開けないように、ボンドで張っている。

齋藤さんが愛用する「庭キャンプ」ギア

音楽プロデューサーとして世界的に活躍する齋藤さん。キャンプギアを選ぶセンスも個性的で独自の世界観を保っている。

首からぶら下げているのはアメリカでフィッシングギアを制作する「ゴーツェン」のランヤード。ここに灰皿やシャボン玉、ライターなどキャンプギアをぶら下げている。

「BGMは絶対ラジオ!」というこだわりで、サイト内には小洒落たラジオを数台完備。

ボート用に購入したディープサイクルバッテリーは、スマホの充電や扇風機で活用中。

明かりはキャンドルライトを中心に、複数個を併用している

左のガダバウトチェアは海外から取り寄せたデッドストックのオリジナル。ヘリノックスは脚にボール状のオプションを装着し、砂利での安定性を確保している。

愛用している虫よけグッズ。林業者が愛用する「森林香」を筆頭に、ポイズンリムーバー、虫よけキャンドル、赤くペイントした「どこでもベープ」など、万全の装備。

ペグのようなアイアンの脚を地面に打ち付けるだけで固定できる一脚スタンド。ドリンクなどを手元に置きたい時に重宝するグッズだ。

40歳のころから始めたというバス釣り。齋藤さんのお眼鏡に叶ったこだわりのルアーやロッドもサイト内にレイアウトされている。

【秋は“後ろ向き”にポジティブ!頑張らないキャンプ】

いわゆるキャンプは苦手だ!わざわざテントを張るのも大変だし、苦労して火を起こして料理を作ったり、挙げ句の果てに虻に刺されたり……。でも、そんな面倒臭がり屋な人でも、自然のなかでまったりはしたいし、みんなでごはんを食べたり、星空を眺めたり、川で遊んだりするのは好きだったりする。だいたい日々忙しく生活しているのに、なんでたまの休みに行くキャンプで頑張らなきゃいけないのか? 今回はそんなわがままなインドア派でも、一切頑張らないで楽しめる新定番キャンプ術を紹介します。

※『デジモノステーション』2018年10月号より抜粋。

textまついただゆき(編集部)photo下城英悟(GREEN HOUSE)出演齋藤久師