厳選!2歳馬情報局(2018年版)
第17回:フランクリン

 1990年代以降、日本の競馬界で勢力を拡大している”一族”がある。アイルランド生まれの繁殖牝馬バレークイーンからなる血統だ。

 バレークイーン自身、日本に輸入されると、いきなり大物を出した。1996年にデビュー3戦目でGI日本ダービー(東京・芝2400m)を制したフサイチコンコルドである。

 さらにその後、2006年生まれのアンライバルドがGI皐月賞(2009年/中山・芝2000m)を制覇。2頭のクラシックホースを世に送り出している

 それだけでも十分な偉業と言えるが、彼女が生んだ娘たちも繁殖牝馬となって、大舞台で躍動する逸材たちを次々に輩出しているのだ。

 なかでも、目覚しい功績を残しているのが、バレークイーンの2番仔グレースアドマイヤ。GI菊花賞(京都・芝3000m)をはじめ、GI有馬記念(中山・芝2500m)、GI天皇賞・春(京都・芝3200m)で2着という結果を残し、GIIを3勝しているリンカーンや、皐月賞を勝ったヴィクトリーらを出している。

 そのうえで、グレースアドマイヤの娘たちも大いに活躍。6番仔のスカーレットは、昨年の日本ダービーで1番人気に支持され、3着に入ったアドミラブルを送り出している。

 バレークイーンが日本にわたってきて、およそ25年。その月日のなかで、彼女からなる”一族”は日本競馬界で輝き続けているのである。

 そして、今年の2歳馬の中にも、同一族の注目馬がいる。栗東トレセンの音無秀孝厩舎に所属するフランクリン(牡2歳/父ディープインパクト)だ。


来春のクラシック出走が期待されているフランクリン

 同馬は、母ロベルタ、祖母グレースアドマイヤ、曾祖母バレークイーンという血統。そこに、日本屈指の種牡馬ディープインパクトを配合して生まれた子だ。

 ひとつ上の兄は、フランツ(父ディープインパクト)。こちらも、今春までに2勝を挙げて、GII京都新聞杯(京都・芝2200m)では1番人気に推された(結果は10着)。同馬も今後の飛躍が期待されるが、フランクリンはそんな兄以上の活躍が見込まれている。

 実際、この馬に関わるスタッフたちの評判はすこぶるいい。フランクリンの育成を行なったノーザンファーム早来の木村浩崇氏は、春の取材でこう語っていた。

「調教をするとき、他の馬がたくさん走ったあとは、馬場が重くなって時計が出にくくなるのですが、フランクリンはそんな馬場も問題にしないで進んでいくんですよね。普通の若駒なら、結構堪えるのですが。

 強い調教を連続しても体は減りませんし、期待は高いですね。クラシックを目指したい1頭です」

 同馬はすでに栗東トレセンに移動。入念に調整を重ねて、9月16日の2歳新馬(阪神・芝1800m)でデビューする予定だ。

 目前に迫った初陣に向けて、現在のフランクリンの状態はどんなものなのか。その様子と陣営の手応えについて、関西競馬専門紙のトラックマンが伝える。

「息遣いが少し荒いのは気になるようですが、陣営のスタッフは『能力は間違いなくある』と話しています。背中が抜群にいいみたいです。兄は少し硬さがあったものの、『こちらはいい意味で柔らかさを持っている』とのこと。

 調教では、まだ動き切れていないところもありますが、(初陣を快勝した)兄もデビュー前は同じような感じでしたから。それは、この血統の特徴でしょう。気にしなくてもいいと思います」

 素質の高さは間違いない。秘めた力をレースでも存分に発揮できれば、結果もついてくるだろう。 繁栄を続けるバレークイーンの一族からまた1頭、活躍馬が出るのか。フランクリンのデビュー戦に注目である。