9月16日の阪神競馬場では、3歳牝馬によるGI秋華賞(10月14日)のトライアルレース、GIIローズS(芝1800m)が行なわれる。

 今春の牝馬クラシックは、アーモンドアイがGI桜花賞とGIオークスの2冠を制覇。ラッキーライラックが桜花賞2着、オークス3着、リリーノーブルが桜花賞3着、オークス2着と、3頭の馬が上位を占めた。


今春にGI2冠を達成したアーモンドアイ

 例年だと、このローズSは上記のような春の実績組が集まるものだが、今年はアーモンドアイが秋華賞へ直行する。さらに、ラッキーライラックは脚部不安のためローズSを回避し、リリーノーブルも脚部不安で秋休養を決めるなど、春の3強が不出走という珍しいケースとなった。

 とはいえ、今年も楽しみなメンバーが揃っている。登録18頭中、なんと10頭がディープインパクト産駒となるが、夏の上がり馬が春の実績馬相手にどんな競馬を見せるかがポイントになるだろう。

 春の実績組としては、GIIフローラS(東京・芝2000m)を勝ったサトノワルキューレ、GIIIフラワーC(中山・芝1800m)を勝ったカンタービレ、OP忘れな草賞(阪神・芝2000m)を勝ったオールフォーラヴが挙げられる。中でも、オークスでも3番人気に推されて6着に入ったサトノワルキューレ(牝3歳/栗東・中竹和也厩舎)が人気を集めそうだ。

 同馬はディープインパクト産駒で、母は南アフリカ牝馬チャンピオンという良血だ。勝利したフローラSは、4コーナーを16頭中14番手とかなり後方からの競馬だったが、そこから鋭い瞬発力を繰り出して一気の差し切りを決めている。

 また、その前のレースのゆきやなぎ賞(500万下、阪神・芝2400m)でも、後のGI日本ダービー4着馬であるエタリオウを差し切る強い競馬を見せた。3強がいないローズSなら主役になれる存在だろう。

 一方で、”夏の上がり馬”的な馬たちも魅力十分だ。サラキア(牝3歳/栗東・池添学厩舎)は前走の青島特別(500万下、小倉・芝1700m)を、2着に3馬身半差をつける1分39秒5のレコード記録で圧勝している。500万下とはいえ、古牡馬も出走するレースでのその走りは評価できる内容だ。

 同馬はデビュー時からスタートが課題で、これまでの5戦はすべてのレースで出遅れているが、ハイレベルなレースで戦い続けている。2戦目のGIIチューリップ賞(阪神・芝1600m)では1着ラッキーライラックと0秒7差の4着、3戦目のGIIフローラSでも1着サトノワルキューレと0秒2差の4着に入った。

 5戦目は牡馬混合のOP白百合S(京都・芝1800m)で2着。前走の青島特別では馬体重10kg増と成長を見せ、後方からの競馬が向かない小倉芝1700mのコースながら、出遅れから3馬身半差の圧勝と、かなりの地力強化がうかがえる。

 父はディープインパクトで、母はGI独オークス馬サロミナという良血。さらに母の父ロミタスは独チャンピオンサイアー(種牡馬ランキング1位)で、フランスのGI凱旋門賞を勝った名牝デインドリームの父でもある。一般的に、ドイツの血統は「早熟タイプ」より、3歳以降に本格化する「晩成タイプ」が多く、サラキアもこれからさらに強くなっていくだろう。

 センテリュオ(牝3歳/栗東・高野友和厩舎)も夏の小倉で2勝目を挙げてここに臨む1頭だ。前走の都井岬特別は3歳上牝馬限定の500万下、芝2000m。やや出遅れぎみのスタートから後方待機のレースとなったが、4コーナーでグイグイと進出し、ゴール前では力強い末脚を見せて豪快に差し切った。勝ちタイムは1分57秒6の好タイムだった。

 同馬は中距離適性を見込まれ、デビューから1800m以上のレースに出走。1着、2着、2着、1着と4戦して3着以下がなく、極めて安定した成績を残している。この馬もディープインパクト産駒で、全兄のトーセンスターダムは日本でGIIIきさらぎ賞、GIIIチャレンジCを勝ち、豪州へ移籍して6歳時にGIトゥーラクH(芝1600m)、GIマッキノンS(現エミレーツS・芝2000m)を勝利。さらに叔父トーセンジョーダンも、GI天皇賞・秋勝ち馬という良血だ。兄も叔父も古馬になって本格化した馬だけに、センテリュオもその道を辿るはずだ。

 以上、女王アーモンドアイへの挑戦権をかけたローズSは、サトノワルキューレの実績と実力に敬意を示しつつ、同馬を破る可能性のある2頭の上がり馬の台頭に期待したい。