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飲み会の幹事が多めにお金を徴収して利益を得るのはおかしい。何らかの罪にあたらないのかーー。弁護士ドットコムにこうした相談が寄せられています。相談者によると、幹事は参加者に対して正規料金の支払いを求める一方、お店には割引クーポンを提示し、差額分を自分の懐に入れているといいます。

例えば5人の飲み会で1人あたり4000円(税込)とすると正規料金は2万円ですが、「提示したら1割引」というクーポンを使うと、料金は1万8000円になります。浮いた2千円を全員に還元するのではなく、そのまま幹事がもらうというイメージです。

人によってはそれくらい気にしないという意見もありそうですが、クーポン利用の事実を知ってしまうとモヤモヤした気持ちになるのではないでしょうか。法的にどのような問題があるのか、上野一成弁護士に聞きました。

詐欺罪が成立する可能性

ーー本件について、法的にどう考えられますか

「参加者は、幹事から告げられた金額を信じて料金を支払っています。例のように、5人で総額1万8000円であれば、一人当たり3600円で足りるのですから、参加者からすれば、4000円ではなく3600円にしてほしいと思うのが普通でしょう。

クーポンを使ったことを伏せて正規料金を集金し、差額を幹事がもらうのは、幹事を含めて全員が正規料金を支払うものと参加者に誤信させ、正規料金との差額を騙し取ったとして、詐欺罪(刑法246条)が成立する可能性があります。また、民事上は、法律上の原因なく利得を得たとして、不当利得(民法703条)に該当します」

ーーわずか数百円のために裁判を起こすのは現実的ではなさそうですね

「参加者の立場からは、不当利得返還請求権に基づき、差額分の返還を求めることが考えられます。ですが、裁判までするというのは費用対効果の面であまり意味がないケースが多いかもしれません。

例えば、大規模な飲み会で、参加者も多数になり、被害総額が多い場合は、裁判などの法的手段を執る金銭的な意義も大きくなると思います」

ーー幹事としては、色々調整したんだから許してほしいという声も聞こえそうです

「幹事として店選びや出欠確認などに時間や手間をかけているというのも事実だと思います。ですが、幹事だからといって内緒でクーポンを使い、利益を独り占めしていたという事実を知ってしまったら、幹事に感謝していたはずの参加者としても、納得できない気持ちになってしまうでしょう。

理想論ですが、料金に傾斜をつけるなどして、オープンな話し合いで解決することができれば、幹事も参加者も気持ちよく飲み会ができると思います」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
上野 一成(うえの・かずなり)弁護士
労働事件では過去に使用者(会社)側を多く取り扱った経験から、使用者側の強い点も弱い点も把握している。平成29年10月には、大手スポーツクラブの支店長が名ばかり管理職にあたり残業代を支払う義務があるとする判決を獲得した。
事務所名:ウカイ&パートナーズ法律事務所
事務所URL:https://www.ukai-law.com/