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◆廃止賛成が過半数を割った国はEU内2か国だけ!

 ヨーロッパでのサマータイムの導入は廃止されることがほぼ決定した。その理由は7月初旬から8月16日まで欧州連合(EU)28か国でインターネットを通して意見公募した結果、これまで実施されて来た1年に2回の時間変更に反対する意見が84%を占めるという圧倒的多数となったからである。

 この結果を踏まえてEUのユンケル委員長はサマータイムの導入を廃止するという案をEU議会に掛けることを決定。ユンケル委員長がこの決定をEU議会で審議することを迅速に決めた背景には、EUのリーダー国ドイツやフランスでこの廃止に圧倒的支持が集計されたことと、彼は来年5月の次期EU委員長に立候補しないことを内心決めているからである。よって、彼がEU委員長として在任している間にこの案件を前に進ませることを決めたようである。その裏付けとして、EUの大半の市民がそれを望んでいるからだとユンケルは表明している。

 意見公募の結果を国別に見ると、1年に2回の時間変更に90%以上が反対を表明した上位5か国はフィンランド95%、ポーランド95%、スペイン93%、リトアニア91%、クロアチア90%である。一方、過半数を割った国はキプロス47%、ギリシャ44%の2か国だけである。

 国別の意見提供者の多かった上位5か国はドイツ3.79%、オーストリア2.94%、ルクセンブルグ1.78%、フィンランド0.96%、エストニア0.94%。

 参加者の最も低かった国は英国で、僅か0.02%。それでも時間変更反対派が82%を占めた。(参照:「El Pais」)

◆健康面での弊害とエネルギー節約の利点も薄い

 この時間調整の廃止を決めるのに重要な要因となったのは、時間変更がもたらす健康面での弊害と、EU委員会の調査でサマータイムの導入でエネルギー節約になっているのは僅か0.5%から2.5%の効果しかないという結果が判明しているからである。(参照:「El Pais」)

 ということで、EUではサマータイムの導入は廃止されることが九分九厘決定である。では、それがいつから導入されるのかということになると、現在のEUの行政上のシステムから我々が時計の針を変更しなくても良くなるのは2020年か2021年になると見込まれいる。(参照:「El Pais」)

◆廃止ほぼ決定で浮上した新たな問題

 時間の変更の廃止がほぼ決まった現在、新たな問題が発生している。

 EUの各国は年間を通して一つの時間帯にするのに、夏時間を採用するのか、それとも冬時間を採用するのかということを各国が独自に決定しなければならなくなるということである。フィンランド、オランダ、デンマーク、チェコは冬時間を採用することを決めている。

 現在のEUには3つの時間帯が存在している。それが一斉にサマータイムを採用して来たのである。グリニッジの時間帯を基本にしている英国、アイルランド、ポルトガル、スペイン・カナリア諸島のグループ、それから1時間の時差のオーストリア、ベルギー、クロアチア、チェコ、デンマーク、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、ルクエンブルグ、マルタ、オランダ、ポーランド、スロバキア、エスロベニア、スペイン、スウェーデンの17か国グループ、そして更に1時間の時差でブルガリア、キプロス、エストニア、フィンランド、ギリシャ、レトニア、リトアニア、ルーマニアのグループである。

 サマータイムが廃止される前に、各国は周辺諸国との関係を考慮しながら夏時間を採用するのか、それとも冬時間で年間統一するのか決定することになるのである。(参照:「El Pais」)

 ところが、スペインはもうひとつ問題を抱えているのである。ヨーロッパの地図を見ればお分かりのようにスペインは経度から見て、英国のほぼ真下に位置しているのである。しかし、スペインはこれまでフランコ将軍のヒットラーのドイツと同一時間にすることを望んでヨーロッパ大陸の時間(先述したように、ドイツやハンガリー、ポーランドなどと同じ時間)を1940年に採用したのである。戦争終結後もそのまま時間の変更なしで今日まで来ている。