「正直、その間の営業補償という概念が制作側にないんだよ。くどいくらい打ち合わせをするし、収録時間も長いのに……」
 テレビ出演を終えた鈴木隆祐氏がぼやく。でもメリットもあったそう。ほかの人気番組出演者はどうだったのか? 鈴木氏が徹底的に調査した。

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 6月にテレビ朝日系の『激レアさんを連れてきた。』に登場した熊田勇太さん(23)は、中1のときに仲間たちと撮影し、「チャリで来た。」と書き込んだプリクラ画像がネットで拡散。殺人犯の濡れ衣を着せられるなどの迷惑も被ってきたため、テレビ出演のオファーは断ってきたが……。

「『ともかく一度話だけでも』と言われて出向くと、ディレクターがすでに台本を用意していた。『気に入らないところがあれば、編集でいくらでもカットする』と。ギャラは1万円でしたが、そんなに熱意があるならと引き受けました」

 今では横浜のビストロ「ZIP」のエリアマネージャーだ。ゲストの女優・松岡茉優は熊田さんと同い年。「(熊田さんは)私世代のヒーローです!」と言われ、なにより嬉しかったという。

 2016年9月、『幸せ!ボンビーガール』(日本テレビ系)で週末に焼きそばなどを販売する自作キッチンカーでの奮闘ぶりをアピールし、7万円をゲットしたのが、こんのさおりさん(26)。テレビ出演が生活を好転させた好例だ。

「幟にも、テレビに出たと謳わせてもらってます。お客さんが『見たよ』と声をかけてくれることも。移動販売は週末に集中するので、平日のバイトは続けていますが、今はなんとか収支もトントンです」

「鈴木奈々さんがテレビのイメージのままで、とても優しく元気でした」というこんのさん。賞金は瞬く間に赤字補塡に消えたが、従来のショッピングモールでの販売だけでなく、さまざまな催事から声がかかるようになった。

 スターの幼馴染みが登場する『あいつ今何してる?』(テレビ朝日系)に出演したイラストレーターの伊佐治勉さんは、女優の秋吉久美子と福島県いわき市の中学で同級。フォーク歌手の顔も持つため、ノーギャラの代わりに、番組中で一曲披露するという交換条件を出した。

 いわき市立小名浜第一中学校の新聞部で伊佐治さんは部長、秋吉は副部長という間柄。副部長は当時から「週刊プレイボーイ」をこれ見よがしに部長に渡すなど、小悪魔度全開だった……。

「小野寺(秋吉の本名)は静岡から越してきて、会った途端にモノが違うと思った。デビュー以来、映画やドラマも正視できず、思いは中学生のまま。今でも夢に出てきます」

 だが、番組では伊佐治さんはロケ収録、秋吉はスタジオとすれ違い。本格共演できる日を、伊佐治さんは心待ちにする。

 フードファイターの草分けである赤阪尊子さんは、『TVチャンピオン』(テレビ東京系)や、後継番組『元祖!大食い王決定戦』で大活躍した。

「初期は優勝50万円、準優勝でぐっと下がって3万円。最近は優勝100万円、2位30万円みたい。それよりイベントゲストがよかったわ。いろんな物を食べさせられたけど、15万〜30万円くらいもらえた。

 最近は『水曜日のダウンタウン』にジャイアント白田くんや魔女菅原なんかと出た。ギャラは5万円もいかんかったけど」

 ちなみに7月、赤阪さんは『じっくり聞いタロウ』で、テレ東はノーギャラも多かったと暴露した。

 一方、山口智充のものまねタレントのぐっちゃん(46)は、2017年9月に『NHKのど自慢』が兵庫県加西市に来た際、本名の阿部学でエントリーし、1000人の応募のなかから、20人に選ばれた。

「歌ったのは町田義人の『戦士の休息』。司会の小田切千アナには『ぐっさんのものまねをしてほしいぞ』的な空気を出されましたね。

 本番前日の土曜、朝からオーディションがあり、最終発表があったのが夕方。出演が決まった人だけが、一人ずつ呼ばれるんです。しびれますね、あの瞬間だけでも出てよかった(笑)。

 でも、本番ではあまりにも鐘が鳴るのが早くて……。サビまで歌えなかった」

 と悔しがるが、出場の記念トロフィは一生の宝物だ。

 2017年5月、『新婚さんいらっしゃい!』(朝日放送)に「『TVチャンピオン』カレー王と元アイドル」として出たのが、金子載(50)・南(23)夫妻だ。

『TVチャンピオン』の「カレー王選手権」で2度の優勝を誇る金子さん。2015年に当時26歳下の地下アイドルの南さんと結婚。現在は五反田、武蔵小山でカレー店を経営する。

「ギャラは出ないんですが、子供の面倒を見る係でついてきた姉のぶんの旅費まで出してもらいました。ホテルの部屋が豪華でしたね」

 対して2017年2月、『パネルクイズ アタック25』(朝日放送)の「市役所職員大会」でパネル6枚ぶんの賞金6万円を獲得した小山真実さん(29)。大阪のスタジオまでの往復交通費と謝礼5000円、万年筆などのグッズをもらったという。

「放送ではカットされていたけど、司会の谷原章介さんが、解答者の所属する市のことを、いろいろ話してくれたんです。谷原さんは横浜出身で、よく行く野毛の友達の店を私には教えてくれました。

 予選に通過したあと、1年間のうちに自分の属性(職業など)に合った大会があれば、声がかかるんです。“美人の指定席”といわれる青の席を割り振られ、嬉しかったです(笑)」

 同番組に2回出演し、2012年にはぶっちぎりのパネル22枚を獲得した、埼玉県ふじみ野市の朝日天神神社の7代目宮司の冨田信太郎さん(45)は、2017年9月には『東大王』(TBS系)にも3人チームで挑戦。並み居る東大脳を相手に優勝を果たした。

「当時は、(現在の)賞金100万円ももらえず、賞品・出演料・交通費など一切出ませんでした。しかし、高学歴偏重の最近のクイズ番組に一矢を報いられたかなと(笑)」

 実力主義のクイズ界で、長年活躍し『クイズ$ミリオネア』でも100万円を獲得した冨田さん。素人のプライドは、ときにプロより強い。各局関係者もそれを意識し、番組作りに励んでほしい。

取材・文/鈴木隆祐
(週刊FLASH 2018年8月21・28日合併号)