各社からさまざまな新商品が登場する現在。でも、その商品って本当にいいモノなんでしょうか?よく考えてみると、ちょっとツッコミどころもありませんか?

「新商品ポリス」(タイアップ募集中!)では、新R25編集部が企業にお邪魔して、商品やサービスに読者目線(?)で切り込みます。はたして担当者はツッコミを見事跳ね返し、商品の良さをアピールできるのか…。

今回ツッコミに行ったのは、7月に発売となったこちらの新商品!


TENGAORIGINAL DENIM CAP」(左)、「TENGA ORIGINAL FULL CAP」(右)


TENGA ORIGINAL TOTE BAG」

オシャレなアパレルアイテムたちですが、何を隠そうあの「TENGA」のアパレルラインなのです!

ツッコミを入れさせていただくターゲットは、美人広報と名高いTENGA社・工藤まおりさん(前回工藤さんに取材した記事はこちら)。


【工藤まおり(くどう・まおり)】東京都出身。津田塾大学数学科を卒業後、リクルートグループの派遣事業に入社。2015年に株式会社TENGAに入社し、現在広報を担当している

編集部・天野:
今日は、いろいろとツッコませていただきます。

工藤さん:
お手柔らかにお願いします…

ツッコミ1:「トートバッグに入れてTENGAを持ち運びたい」なんてニーズなくない?

編集部・天野:
まず、率直にききたいのが、「なんでアパレルとかのグッズをつくるの?」ということです。

TENGAという“超実用的な商品”が人気なのはわかるんですが、「その帽子をかぶりたい」とか「バッグがほしい」なんてニーズあるんですかね??



編集部・天野:
たとえばこちらのトートバッグ。公式サイトでは「内側にはディープスロート・カップの入るポケット付き!」って書いてありますけど、入れて持ち歩きますか

工藤さん:
そのツッコミは想定通りです

弊社の商品は、「面白さ、馬鹿馬鹿しさ、真面目さ、かっこよさ」のバランスを考えてつくられているんです。このバッグも、「TENGAを入れるポケットがあったら面白そうじゃない?」という馬鹿馬鹿しいアイデアをかたちにしたんですよ。

編集部・天野:
馬鹿馬鹿しいのはその通りですけど、さすがにこれにTENGA入れて持ち歩く人は…?


一瞬ひるんだように見えたが…

工藤さん:
…いると思いますよ! 「ふだんは家族がいて家で使えないから、出張のときに持っていって使いたい」っていうサラリーマンの方もいらっしゃいますし…

編集部・天野:
出張に? TENGAのトートバッグで? サラリーマンが? 行くかなあ…

ツッコミ2:TENGAキャップかぶってたら「クセの強い人」って思われそうで普段使いしにくい

編集部・天野:
帽子についてもツッコませてください。

正面はオシャレなフォントで「Tenga」って書いてあるんですが、裏に「モロTENGA」のシルエットが入ってるんですよね。



編集部・天野:
正直、これを着用していたら「かなりクセの強い人だな」って思われちゃう気がするんですが…

工藤さん:
うーん、そうですかね…

それを言われると、むしろこちらの「LOVE ME TENGA」シリーズのほうが普段使いしづらいかなと思います。


こちらのシリーズは2010年から発売の、ある意味「定番」

編集部・天野:
ああー、よく見かけますね。映画『モテキ』で長澤まさみが着てて話題になったTシャツとか。

工藤さん:
そうそう。これを普段使いしてたら確かに「個性の強い人」だと思いますよ

だからこそ、「もっと日常的に使えるアイテムをつくって、イメージの幅を広げたい」と思って今回のトートバッグとキャップを企画したんです。

普段のファッションに溶け込みつつ、よく見たら「あ、TENGAじゃん」という楽しいアイテムをつくろうと。

編集部・天野:
ふむふむ…

ちなみに、「TENGAORIGINAL DENIM CAP」のほうのロゴにはなんて書かれてるんでしょうか? Mastur…

工藤さん:
「MasturbateBetter」。「よりよいマスターベーションを!」という意味ですね。

編集部・天野:
めちゃくちゃクセが強いロゴだった

ここで、工藤さんからの猛反論が…!

編集部・天野:
しかしですね…TENGAのグッズなのにロゴをオシャレにするってことは、ある意味“隠してる”ような印象も受けるんですよね。そのあたりはどうなんでしょうか?

工藤さん:
あの…ちょっと天野さんにききたいんですが、TENGAが注目される前の、いわゆるアダルトなグッズってイメージできますか



編集部・天野:
え…!?

工藤さん:
アダルトなグッズといえば、もう見るからに卑猥!っていうデザインだったじゃないですか。

今となっては皆さん見慣れたかもしれないですけど、TENGAが世に出た当初は、かなり斬新だったと思うんです。

編集部・天野:
たしかに…TENGA自体はまったくいやらしさのないデザインですね。

工藤さん:
そもそも私がTENGAに惹かれて入社した理由のひとつも、“デザイン”が「性というテーマを表通りに出す」というコンセプトを体現した、カッコイイものだと思ったからです。

TENGAはもともと、「嫌らしくない」「カッコイイ」デザインをすごく大事にしてる会社なんですよ。



工藤さん:
そう考えると、オシャレなアパレルを出すことも何もブレてないんですよ!!

編集部・天野:
なるほど…!

会社の「ブランドイメージ」をつくるって、とっても難しい

工藤さん:
8月22日から、百貨店の大丸梅田店で「iroha」のポップアップストアがオープンしたんです。

大手百貨店の、しかも婦人服売り場で販売できて。テレビや新聞にも大きく取り上げてもらったんですよ。



編集部・天野:
関西を代表するお店じゃないですか。すごいことですね。

工藤さん:
でも、喜んでくれる人が多かった一方で、疑問の声もあったんです。

百貨店のお客様には、アダルトグッズは“日陰の存在”だと思ってる人もいると思います。そういう人からすると、「なんでこんなグッズが百貨店に?」と違和感があるんでしょう。

「ブランドイメージをつくる」って本当に難しいことなんだな、と思わされました。

編集部・天野:
たしかに。いろんなイメージや偏見がある会社だけに、イメージアップの戦略も難しそう…

工藤さん:
「楽しい会社」でありたいから、ネットでウケるようなふざけたプロモーションもする。でもLGBTの方たちへの支援や、不妊治療関連商品など、真面目な側面も知ってもらう必要がある。

いろんな面を見せていきつつ、「TENGAの人格」を多くの人に受け入れてもらえるように努力しないといけないんですね。



工藤さん:
オシャレなグッズのデザインで訴えていくのもそのひとつ。ロゴをカッコよくしてるのだって、「面白さとカッコよさが両立するバランスって?」と、検討を重ねた結果なんですよ。

編集部・天野:
そうですよね…!無粋なツッコミばかりしてすみませんでした…

工藤さん:
いえいえ…。TENGAを受け入れられない人がいたって仕方ないし、その人が間違ってるわけでもない。

私たちは自分たちが信じるブランドイメージ像を発信しつづけるだけです。



安易な気持ちでアパレルアイテムのデザインにツッコみに行ったら、「ブランドイメージをつくりあげることの難しさ」をガチで語られてしまいました。

TENGAのアイテムは、どれも生半可な気持ちでつくっていない。当たり前ですが、その“アツさ”にやられた我々取材陣。

それ以来、毎日「TENGAORIGINAL FULL CAP」をかぶって出社しています


カジュアルな私服によくなじみます

〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=宮内麻希(@ haribo1126)〉