UAE戦でアシストをマークしたボランチの渡辺。攻守に躍動した。(C)Getty Images

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 アジア大会・準決勝、U-21日本代表はU-23UAE代表に1-0で勝利を収めた。決勝は中2日の9月1日。U-23韓国代表との対戦が決まった。
 
 日本はグループステージ最終戦でベトナムに敗れて以来、決勝トーナメントは3戦連続で1点差ゲームを制してきた。このUAE戦も圧倒的ではなかったが、0-0で推移した78分、上田綺世が先制ゴールを挙げ、競り勝った。
 
 この試合で最も目立ったのは、中盤のダイナモ。ボランチの渡辺皓太だろう。前半にもバイタルエリアへ侵入し、旗手怜央とのコンビネーションでシュートに持ち込む場面は2回ほど見られたが、後半に入ると、さらに相手のバイタルエリアをかき回す積極性が強くなった。
 
 たとえば59分、渡辺は巧みなターンから狭いスペースを切り裂き、旗手へパス。リターンパスを期待しつつも、味方のシュートをお膳立てした。65分には自らの浮き球パスが跳ね返された後、鋭く反応してワンタッチパスを送り返し、上田のポストプレーから前田大然がシュートへ。細かいパスで味方を生かすだけでなく、カウンタープレスで奪い返し、次々に攻め立てる。渡辺が2次攻撃、3次攻撃の原動力となり、UAEに圧力をかけた。
 
 78分の先制ゴールも、渡辺が起点だった。
 遠藤渓太の折り返しをUAEがカットし、パスをつなごうと試みたところへ、スライディングタックルを浴びせて奪い返す。この瞬間、ゴールの匂いを嗅ぎ分けた上田がプルアウェイの動きでフリーになると、渡辺もこのストライカーを見逃さない。すぐに起き上がると、身体をひねり、すばやくも丁寧なラストパス。渡辺のプレス&アシストが効き、最後は上田が強烈なシュートを決めた。
 
 後半に入り、特に目立つようになった渡辺の躍動。その要因はUAEを含めた試合の状況にもある。
 
 3-4-2-1の日本に対し、前半のUAEは4-4-2を敷いたが、2トップは高い位置からチェイシングを行わなかった。27番のFWザイド・アルアメリは、神谷優太など日本のボランチに付いて下がり、自陣で待ち構えた。両サイドハーフも日本のウイングハーフに付いて下がり、両サイドバックも日本の2シャドーをマーク。
 
 UAEは全体的にマンツーマンで解決しつつ、突破されそうになったら、最終的にカバーリング範囲の広いセンターバックが処理する。そんなやり方だった。ともに中1日の試合だが、2試合連続でPK戦までを戦ったUAEにとって、コンディションはより厳しく、消耗を抑える戦い方を意識したようだ。
 
 しかし、前半のUAEはマークが振り回され、中盤に大きなスペースを空けるシーンが目立ち、そこを旗手らに突かれていた。マンツーマンのマッチアップでも、24番モハメド・アルメスマリは裏のスペース対応に弱く、遠藤渓太に対して後手を踏み続けた。岩崎悠人の裏抜けを含め、左サイドでは日本が優位にあった。
 
 ハーフタイム後、後半のUAEはシステムを4-1-4-1に変更した。27番アルアメリを明確に下げ、逆三角形の中盤に組み込む。これによって後半序盤のUAEは、中盤の安定性が増し、ポゼッションの時間も増えている。
 
 しかし、このシステム変更でUAEはファーストディフェンスが低くなった。逆に日本はDFが高い位置でポゼッションし、深く押し込める。それに伴ってボランチの渡辺が高い位置へ侵入しやすくなり、バイタルエリアの攻略、カウンタープレスと、積極性を発揮できる状況になった。
 
 これでベトナム戦から4試合連続、フル出場を果たした渡辺だったが、78分にアシストした後も動きは落ちず。むしろ、自分の好プレーに気持ちが乗っていく、若手らしい溌剌としたプレーだった。一方のUAEは疲労が重なり、時間とともにどんどん鈍くなっている。
 
 過密日程の影響もあり、決勝トーナメントの対戦相手は、3チームともに日本にボールを持たせてくれる戦い方ばかりだった。もちろん、カウンターは脅威だが、それに対して日本の3バックはよく対応している。このチームの場合、むしろベトナム戦のようにハイプレスを食らうほうが怖い。そういう試合をあまり経験していないのは、やや気になるところ。
 
 決勝の韓国戦は、どんな試合になるだろうか。手強すぎる相手だが、後悔を残さないように、しっかり培ったものをぶつけてもらいたい。
 
文●清水英斗(サッカーライター)