by Jonas Dücker

ハーバード T.H. チャン・スクール・オブ・パブリック・ヘルスで疫学の教授として働くカリン・ミッシェル氏が、講義の中でココナッツオイルが健康的な食材ではないと解説し、「純粋な毒だ」とまで発言したことが大きな話題を呼んでいます。

Harvard professor: Coconut oil is 'pure poison'

https://www.usatoday.com/story/news/nation-now/2018/08/22/harvard-professor-coconut-oil-pure-poison/1060269002/

This Professor Called Coconut Oil 'Pure Poison.' Is She Right?

https://www.livescience.com/63405-coconut-oil-poison-or-not.html

ミッシェル教授がココナッツオイルは「純粋な毒だ」と発言する様子は以下の講義の様子を収めたムービーで確認できます。講義のムービーは約50分と長いのですが、この中でミッシェル教授は少なくとも3回「ココナッツオイルは毒である」と発言しており、「ココナッツオイルについて急いで警告すべきことがあります。ココナッツオイルはあなたが食べることのできる最悪の食べ物のひとつです」とまで語っています。なお、ミッシェル教授はドイツのフライブルク大学にある腫瘍疫学研究所でディレクターを務める人物でもあります。

Kokosöl und andere Ernährungsirrtümer - Prof. Michels | Uniklinik Freiburg - YouTube

ココナッツオイルは健康食品として大々的に宣伝されている食品ですが、栄養士によるとココナッツオイルの宣伝文句として書かれているような健康面への効果を裏付けるデータはほとんど存在しないそうです。タフツ大学で栄養科学の教授を務め、アメリカ政府の食事ガイドライン諮問委員会では副議長も務めるアリス・リヒテンシュタイン氏も、The New York Timesに対して「ココナッツオイルの誇大宣伝を裏付けるようなデータはほとんどない」とコメントしています。

ココナッツオイルが本当に毒だというわけではありませんが、アメリカ心臓協会のデータによると、ココナッツオイルに含まれる脂肪分の80%以上が飽和脂肪酸であるとのこと。これはバター(63%)、牛肉(50%)、豚肉(39%)よりもはるかに多い割合です。なお、飽和脂肪酸を多く摂取することは心血管疾患のリスクを高めるとされています。



by Chris Liverani

メイヨークリニックが推進するヘルシーリビングプログラムのメディカルディレクターを務めるドナルド・ヘンズラッド氏は、「人々が一般的に信じていることと、実際のデータの間には断絶があります」と語るように、「健康である」とされているものが実は体に悪影響をおよぼすものであるということは往々にしてありえるもの。ヘンズラッド氏は、ココナッツオイルの代わりに不飽和脂肪酸を多く含むオリーブオイルやアボカドオイル、多価不飽和脂肪酸を多く含むキャノーラ油などの使用を推奨しています。

ココナッツオイルの使用を非推奨としているアメリカ心臓協会は、成人が1日に摂取する総カロリーの6%以上の飽和脂肪酸を食べないようにすることを推奨。また、アメリカ心臓協会は既に食品ガイドライン諮問委員会において、「ココナッツオイルには宣伝されているような相殺効果は存在しない」と報告しており、逆に、心血管疾患の原因となるLDLコレステロールを増加させる可能性があると指摘しています。

アメリカ心臓協会は飽和脂肪酸の危険性について警告していますが、食事から飽和脂肪酸を減らしたからといって心臓病のリスクが必ずしも低下するというわけではありません。なぜなら、人々の食生活は砂糖や小麦粉などで埋め尽くされているから。

また、脂肪は体が食品から栄養を吸収するための助けとなる重要なものであるため、一切摂取しないというのも問題となるため、「適した摂取量を守ること」が重要となりそうです。