新生・森保ジャパンにオススメの選手(5)
DF杉岡大暉(湘南ベルマーレ)

 チームを率いる森保一監督の目に、彼らのプレーはどう映っているのだろうか。

 インドネシアで行なわれているアジア大会を戦っているU-21日本代表のことだ。

 今大会は、五輪代表を率いる森保監督がA代表の監督も兼任することになって、初めて迎える公式戦である。

 兼任することのメリットのひとつは言うまでもなく、双方で戦術やコンセプトを共有できることにある。それゆえ、五輪代表選手のA代表への抜擢や、オーバーエイジの五輪代表への参入がスムーズになる。

「ここで力を示してくれた選手には、次のステップがあると思います」

 実際、指揮官も開幕前、9月に控える日本代表の親善試合への招集を匂わせている。

 無論、若き日本代表選手たちも、当然のことながらモチベーションを高めている。

「ここで活躍すれば、可能性は出てくると思う」(FW前田大然/松本山雅FC)

「A代表に入るのが目標なので、アピールしたい」(MF岩崎悠人/京都サンガ)

「A代表が近づいた気がする」(MF三好康児/北海道コンサドーレ札幌)

「日本代表入りへの絶好のチャンスだと思う」(DF初瀬亮/ガンバ大阪)

 過去にも、似たような状況があった。

 1998年から2002年まで監督を務めたフィリップ・トルシエの時代である。

 シドニー五輪1次予選の香港ラウンドを終えた1999年6月、そこで活躍したFW吉原宏太をパラグアイでのコパ・アメリカのメンバーに抜擢し、五輪世代に刺激を与えた。

 そして今、抜擢が求められている状況でもある。長谷部誠や本田圭佑が日本代表からの引退を表明し、日本代表はかつてないほど、世代交代の必要性に迫られているからだ。

 森保監督は、U-21日本代表の選手たちの目の前に”にんじんをぶら下げる”意味でも、早速9月の代表戦には誰かしら抜擢したいところだろう。

 はたしてグループステージの3試合(1○0ネパール、4○0パキスタン、0●1ベトナム)を終えた現時点で、結果を残したといえるのは、以下の4人だろうか。

 前田、岩崎、DF原輝綺(アルビレックス新潟)、DF杉岡大暉(湘南ベルマーレ)。

 その中からひとりだけ推すなら、杉岡になる。


アジア大会でもチームの主軸として奮闘している杉岡大暉

 そのひとつは、唯一J1のクラブでコンスタントに出場機会を得ている点だ。

 市立船橋高から湘南に加入して2年目。昨季はルーキーイヤーながら3バックの左や左ウイングバックとして、J2で37試合に出場した。

 戦いの舞台をJ1に移した今季もレギュラーを張り、ここまで20試合でピッチに立っている。この実績だけでも代表入りの条件を満たしているといえるだろう。

 さらに、戦術理解度とユーティリティ性にも非凡なものがある。

 森保監督が採用する3-4-2-1への理解が深く、3バックの左に入った今大会でも、くさびの縦パスを入れて攻撃の起点となったり、ウイングバックを追い越していく動きを披露している。さらに、後半から4バックに変更したベトナム戦では左サイドバックに入り、何度も攻め上がってクロスを入れた。

 それを可能にさせているのが、左利きであることと、もともとボランチだったことだろう。

 左足の前にボールを置いて、ピッチ全体を視野に入れ、縦への持ち運びが非常にスムーズ。対角線のロングボールも蹴りやすい。FC東京U-15深川時代にはボランチだったから、バランス能力に長けていて、ゲームの流れを読む力も備えている。過去の日本代表でいうと、トルシエ時代にフラット3の左を務めた中田浩二と似ているかもしれない。

「3バックの左とウイングバック、どちらもできるのが自分の強みだと思う。持ち運んだり、縦パスを入れたり、湘南でやっていることを出したら、森保さんに『いいプレーだ』と言ってもらえたので、自信を持ってやりたいと思います」

 3月のパラグアイ遠征の際、杉岡はこんなふうに語っていた。

 昨年5月、U-20ワールドカップに出場した頃は「いきなりメンバーに入って驚いた」と言うが、東京五輪代表は「中心になっていきたいし、U-20ワールドカップのときとは違う気持ちで臨んでいます」と自覚を覗かせる。

「外国人監督になるより、可能性は50%くらい上がったと思うし、そこは本当に意識する。ここでいいプレーをして、そのままA代表というのが理想の道だと思います」

 新監督がチームを立ち上げるとき、戦術をスムーズに浸透させるため、自身のもとでプレーしたことのある選手を招集することはよくある。

 ジーコが代表監督に就任した当初は鹿島アントラーズの選手が多く呼ばれ、イビツァ・オシムが日本代表を率いたときは、やはりジェフ千葉の選手がたくさん招集された。

 その意味においても、東京五輪世代のA代表の昇格――とりわけ、杉岡大暉の9月の日本代表戦への招集があってもおかしくない。