背中に傷もあったイルカのハニー(写真は、PEACE提供)

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2018年1月末で閉館した千葉県銚子市内の水族館「犬吠埼マリンパーク」で、イルカがまだ他の施設に移されておらず、大丈夫なのかとネット上で心配する声が上がっている。

市では、「マリンパークと連絡がつかない」と困惑した様子だが、運営が民間のため、どうすることもできないようだ。

2万件ほどもリツイートされるほどの反響

「ひとりぼっちで、可哀想すぎる」「早く何処か引き取ってあげて!」。ツイッター上では、閉館してから、マリンパークに残されたメスのイルカ「ハニー」について、こんな声が次々に書き込まれている。

動物愛護団体でも、こんな現状に憂慮しており、そのうちの1つ「PEACE」(東京都豊島区)では、8月12日に活動ブログを更新して、マリンパークと市に「早くハニーを助けて!」などとはがきを出すアクションをするよう呼びかけた。

ブログでは、屋外のプールにいるハニーは、背中に日焼けによると思われる痛々しい傷が多数できていたとして、その写真をアップした。マリンパークに質問書を送ったが、回答は来ていないという。そこで、銚子市長にも送り、回答待ちだとした。現地では、水族館の飼育員が閉鎖後もハニーにエサを与えているものの、「いったい何が起きているのか全くわかりません」として、見本を参考に、気持ちを込めたハガキを送るよう訴えている。

この「はがきアクション」について、動物愛好家が20日にツイッター上で紹介すると、2万件ほどもリツイートされるほどの反響を呼んだ。

PEACEの東(あずま)さちこ代表は22日、J-CASTニュースの取材に対し、市からは、21日に回答が来たことを明かした。

銚子市「連絡がつかないが、どうこう言えない」

しかし、その回答を見ても、何か進捗がうかがえるような情報はなかったという。

東代表は、マリンパーク周辺の道路からハニーの様子を観察することができるとして、最近の様子についてこう話した。

「背中の傷は、ほとんど消えている状況です。水も、一番酷かったときほど濁ってはいません。でも、1匹だけで仲間もいないのは、群れで暮らすイルカにとってよくないでしょう。ゆくゆくは、専門知識があり、自然の海の環境に近い海外のサンクチュアリに受け入れてもらいたいと思っています」

銚子市の観光商工課は、マリンパークとのやり取りに困っている現状を取材に明かした。

「4月までは、譲渡先を探して相手方と交渉していると聞いていましたが、それ以降は、連絡がつかなくなっています。現地も、『私有地につき立ち入り禁止』とロープが張ってあって、中に入れません。イルカやペンギンは、目視できますので、生きているのを確認してはいます」

千葉県は、月1回立ち入り調査しており、8月に入って市が県に確認したところ、傷は治ってきており、きちんと飼育もされていると聞いたという。

「ハニーを助けて」と訴えるはがきは、次々に届いており、メールも含めると数百通もあると明かした。しかし、市では、「マリンパークは民間の施設になりますので、市からはどうこう言える立場ではないです」と苦悩を明かしている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)